サリエリ先生番外編〜私が漫画を描く訳〜
今回は漫画ではなく、私がこの漫画を描き始めた経緯をお話したいと思います。
そもそもの始まりは小学校5年生の時に観た映画「アマデウス」でした。天才だけど奔放なモーツァルトを凡人の宮廷楽長サリエリが毒殺する衝撃作です。当時私はピアノのレッスンでモーツァルトを弾いており、ピアノソナタK.545の第2楽章にどハマりしていました。
それからお年玉を握りしめてモーツァルトのCDを買ったりしていた時、母が「アマデウス」を見せてくれたのです。高潔なモーツァルトを想像していた私はあの変な笑い声のモーツァルトに失望するどころか
「あんな美しい曲を酒飲みギャンブル中毒下ネタ大魔王が作ったのか!素晴らしい!モーツァルト万歳!」
とますますハマってしまいました。ギャップ萌えってやつです。それから大学ノートにモーツァルトの二次創作漫画を描く毎日。我ながら変な小学生です。当時はサリエリには目もくれませんでした。サリエリ=悪のイメージがついていたのです。
時は流れ高校生になり自他ともに認めるモーツァルトオタクに成長した私は学校でとある本を見つけます。
水谷彰良著「サリエーリ 生涯と作品 モーツァルトに消された宮廷楽長」
当時はまだ新版が出ておらず、見るからに学術書という風貌でした。
サリエリ…?ああモーツァルトの…まあ結局毒殺はしてなかったらしいけど…まあいいさ読んでみよう。
帰りの電車で読んでみることに。
そこに文章で描かれていたのは妻と子供たち、そして弟子を愛し、同僚やその家族が安定して暮らせるように奔走する心優しい宮廷楽長でした。
「何これめっっちゃ良いやつやんけ…」
この人がいなかったらウィーンの音楽界はもっと別のものになっていたのでは?もっと有名じゃなきゃいけない人じゃない?ていうか何より何故こんな優しい人が根も葉もない噂に心を痛めなきゃいけなかったんだ!!!
見事にサリエリ沼に落ちました。
夢中になって読んで何回も何回も借りては返すを繰り返すうち…
「これを漫画にしたい」
とまで考えるように。特にサリエリの家族の描写をちゃんと描きたい(サリエリ先生第8話の部分です)。
しかし今ではない。勢いだけで描き始めて途中で終わらせるなんてことしたらサリエリが悲しむ!!
さらに時は進んで2024年夏。
それは突然やってきました。
「サリエリの漫画を描きたい」
そこからは速かった…
頭の中には漫画のページがどんどん出来上がり、サリエリやモーツァルトやその他愉快な仲間たちが勝手に動きまわります。
それはまるで
「自分たちのことを描け」
と言われているような心地です。こうなったらもう後には引けず。新版を購入しネタになるところには付箋を貼り、iPadのお絵描きアプリを開いて数十分でコマ割りとセリフを入れ、頭の中の原稿を写すように描きます。
1話を描けばその先2話、3話が頭でできている感じです。この感覚は久しぶりでした!
もちろん誰かにこのお話を読んでもらえればとても幸せなことだと思います。でもそれ以上に私は彼が笑って泣いて、時々怒って、こんな風に生きていたんだという軌跡を漫画で読みたかった、という方が近いような気がします。
マイナーな音楽家かもしれない。でも彼は間違いなく素晴らしい才能を持っていました。(凡人だったらウィーンに連れて行って貰えないし楽長にもなれません!)そしてその才能を最大限に活かして人生を全うした人です。これはこの先のお話を楽しみに待っていただければと思います!
長々とありがとうございました🙇🏻♀️