生理にまつわる今注目のサービスってどんなもの?
近年、様々な国で生理にまつわる問題が社会課題として取り上げられています。
女性の健康の問題をテクノロジーで解決するサービスは一般的に「フェムテック」と呼ばれています。しかし、弊社では女性特有の健康課題をテクノロジーで解決することで、男女の違いから生じている格差を解決するという観点から「ジェンダーテック」に含まれるものとして捉えています。
今回は、日本においても様々なサービスが登場し、注目度の高い生理にまつわる社会課題とその代表的なサービスをご紹介したいと思います。
生理の貧困とは?
問題の一つである「生理の貧困」という言葉をご存知でしょうか?
このような問題を解決するために、日本でも教育機関や自治体、さらには民間企業などが動いています。
新たなサービス
ここでは動きの一つとして民間企業が提供しているテクノロジーを活用した新たなサービスについてご紹介いたします。
OiTr(オイテル)
OiTrとは商業施設・オフィス・学校・公共施設などの個室トイレに、生理用ナプキンを常備し無料で提供するサービスです。
■開発した企業
オイテル株式会社
■仕組み
個室トイレに置いてあるディスペンサーに専用のアプリをダウンロードしてかざすと無料で生理用ナプキンを一枚取り出せます。1人につき2時間に1枚受け取りが可能で、25日間で7枚まで利用できます。ディスペンサーにはデジタルサイネージがついており、広告を流すことができます。その広告収入によって利用者に対して無料で生理用ナプキンを提供しています。
■コンセプト
OiTrは女性たちの心や体の負担を軽減することを目的に開発されたサービスです。経済格差やジェンダーギャップといった不均衡の是正に寄与したいという願いでOiTrの普及に取り組んでいます。
・OiTrホームページ
https://www.oitr.jp/
こちらのOiTrは2021年2月に商業施設で実証実験を行い、同年8月にサービスの提供を開始しています。2022年3月までに全国で導入施設数が100ヶ所、設置台数 1,317台になっています。最近では、5月13日に上智大学でサービスが導入されました。学生が生理について課題意識を持って、学校側と一緒に導入が進められたそうです。
toreluna(トレルナ)
torelunaとは、スマホアプリとトイレ内のディスペンサーが連動することで、ナプキンが無料で受け取れるサービスです。
■開発した企業
ネクイノ株式会社
■仕組み
torelunaが設置されているトイレで専用アプリを起動し、ディスペンサー横にあるQRコードをアプリ上で読み込みます。するとデジタルサイネージに一定時間のお知らせ映像が表示され、その後ナプキンが受け取れます。ナプキンを1枚受け取るとアプリ上で2時間ロックがかかり、1カ月に受け取れるナプキンの枚数は7枚が上限となっています。一定時間のお知らせ映像を流すことで持続的にサービスを提供できる仕組みとなる予定です。
■コンセプト
torelunaは「利用者にとって有益な情報」を提供することが前提のサービスです。アプリ(または画面)の機能を用いて、トイレというプライベートな空間で利用者のリアルな声を受け取れることも特徴です。広告主がよりよい製品やサービスを構築し、世の中のあたりまえをふやすために活かせる仕組みづくりも目指しています。
・公式サイト
https://nextinnovation-inc.co.jp/service/toreluna
torelunaでは、2022年5月9日よりイオンモール幕張新都心ほか全国5都市9箇所で実証実験が行われています。
・実証実験を取り上げたNHKの記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220512/k10013622711000.html
ここまで新たなサービスを紹介してきましたが、今まで生理にまつわるサービスが無かった訳ではありません。これまで各地の自治体などでは市役所に行けばナプキンを無料でもらえたり、学校の保健室に行けば無料でナプキンをもらえたりといった施策が行われてきました。しかしこれらは決められた場所に取りに行かなければいけないというハードルがあり思うように広まらないという声もあります。さらに日本では、生理について他者とオープンに語ることを避ける風潮があります。こうした背景から、トイレの個室という誰もが気軽に利用できるプライベートな空間が着目され、テクノロジーを活用した新たなサービスが生まれたのではと考えます。
課題
こうしたサービスはOiTrで100ヶ所、torelunaで実証実験の段階ではありますが9ヶ所と広がりを見せています。しかし、全国規模で見るとまだまだカバーされていない地域もあります。さらに利用者の視点で見ると、それぞれに専用のアプリが必要でどこにどのサービスが設置されているか分かりづらいなどの課題もあります。
将来は全国のどの場所に行っても、位置情報などからそれぞれの設置箇所が分かるような新しいサービスがあると利用者にとってもいいのではないかと感じました。
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