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[イプリオの事例紹介] メール配送スターターキットはスパムメールに効くのか?

こんにちは。中の人3号です。

「イプリオの事例紹介」シリーズです。このシリーズは株式会社イプリオの業務の内容やサービスの詳細を、私達イプリオがどのように考え、進め、解決していったのか、ということを「事例の紹介」と言う形で、皆さまにお伝えしてまいります。
今回は、実際のサービスは本当のところどのような効果があるのか?ということを検証します。


はじめに

イプリオではGmailの送信者ガイドラインに対応するメールシステム、メール配送スターターキットを提供しています。

これは新規のメールサーバ構築時の適用はもちろん、既存のメールシステムにアドオンする形で導入することも可能です。

今回は最近あった既存メールシステムにメール配送スターターキットを追加する事例を元に、メール配送スターターキットがどの程度効果を発揮するのかを簡単に紹介します。

メール配送スターターキットとは

イプリオのホームページ メール配送スターターキット | サービス | 株式会社イプリオ を参考にしてください。

仕様・特徴

メールサービスに以下の機能を提供します。

  • グレイリスティング

  • メール認証 (SPF, DKIM, DMARC)

  • DKIM 署名

  • ARC 署名

  • ウィルスチェック (オプション)

提供形式としては以下のような形をご用意しています。

  • 新規メールサーバを構築してメールボックスの内容を移行する

  • 既存メールサーバのフロントエンドにフィルター機能を持ったサーバを構築する

  • 既存メールサーバに内蔵する形でメール配送スターターキットの機能を実装する

導入による変化

対象システム

1000アカウント程度を収容しているメールサーバです。
メールの受信には POP3 とウェブメールが提供されておりますが、ほとんどの利用者が POP3 を利用しています。
ユーザーがメールの転送を設定できるようになっており、ウェブメールを使う場合はGmailに転送するように運営側から伝えられています。

メール配送スターターキット導入前は一日に届くメールの数が3.5~6万通となっていました。

メール配送スターターキットの設定

以下の機能を利用しています。

  • グレイリスティング

    • 再配送期間の短かい送信元があったため、一時拒否期間を5→3分に変更している

  • メール認証 (SPF, DKIM, DMARC)

  • DKIM署名

  • ウィルスチェック

ARC署名については転送時のenvelope from書き換えを行わない設定としているため、行っておりません

今回は既存のメールシステムのリソースに余裕があったため、同居する形でメール配送スターターキットを導入しています。

メール流量

メール配送状況(ローカル配送・受信拒否)

導入以降、一日に届くメールの数は2万通前後まで減っており、メールボックスに配送されるメールはおよそ50%削減されました。

拒否されるメールも大幅に増えていますが、これは導入直前からスパムメールが詐称している送信者のドメインが変更され、メールが届かないドメインになったためです。このようなメールは導入前から受信を拒否するようになっていたため、メール配送スターターキット導入の効果と言えないのがちょっと悲しいです。

受信拒否理由

拒否理由

導入後の拒否理由として出ているのは主に次の3つです。

  • 4.7.1 Try again later

    • グレイリスティングによって一時拒否されたものです

    • ボットによるスパム配送では再送を行わないことが多いため、一時拒否でも受信するメールが削減されています

  • 5.7.1 Email rejected by DMARC policy

    • DMARC認証に失敗した場合、送信者ドメインのDMARCポリシーがrejectとなっているメールを拒否しています

    • 送信者ドメインのDMARCポリシーをrejectとしているドメインは少ないため、拒否しているメールの数は限られています

  • 5.7.1 Email rejected by DMARC policy as quarantine

    • DMARC認証に失敗した場合、送信者ドメインのDMARCポリシーがquarantineとなっているメールも隔離せずに拒否しています

    • このメールサービスがPOP3主体で運用しており隔離フォルダの提供が難しかったため、運用者の判断で拒否するようにしたものです

    • かなりの量のメールを拒否していることがわかります

またメール流量の項目で述べた導入直前からの拒否メールの急増ですが、4.1.8 Sender address rejected: Domain not found がそれに当たります。グラフでも導入直前から既に増えていることが見て取れます。

まとめ

今回は既存のメールシステムにメール配送スターターキットを導入した事例を元に、メール配送スターターキット導入による効果がどのように出るのか、届いたメールの流量、メールを拒否した理由といった点からご紹介しました。

メール配送スターターキットではグレイリスティングとDMARC認証といった技術を使ってスパム受信を減らすことが可能です。

もしスパムメールが多いがランニングコストのかかる商用のスパムフィルタ導入まで踏み切れない場合はご相談下さい。

お問い合わせ

本件に関するお問い合わせ、お仕事のご依頼などは「イプリオのお問い合せページ」より、お気軽にご相談ください。


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イプリオのエンジニアズ
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