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夜明けの一本杉 Vol.12~千代ずし~

第12回となる今回は、千代ずしの大将 村田成司さんのお話をお届けします。こだわりのつまった美味しい能登前寿司をいただけるお店として地域内外の人から愛される千代ずしさん。そのこだわりの背景にはお客さんのことを第一に考える姿勢と、村田さんの”まんで”深い七尾愛がありました。(森)


人 対 人

ー一本杉で商売をする上で、大切にされていることは何ですか。
一本杉にくるお客さんは、「一本杉のあのお店に行きたい」「このお店のこれを買いたい」と何か目的をもって来られる方が多いと思うんですよ。そういったように、お客さんに「一本杉の千代ずしじゃないと」と選んでいただけるような魅力の強いお店でありたいなと思っています。

ーなるほど。魅力的なお店であるために、特に力を入れているところはありますか?
一番力を入れているのはお客さんの期待を裏切らないことです。来て良かったな、食べて良かったなと思っていただけるようなお寿司を提供したいです。良い魚、良いシャリを使っているのもそのためです。とにかく来ていただいたお客さんのことを第一に考えて、その方たちに感動していただくためのことをしようと思っていますね。

ーお寿司の美味しさはさることながら、そういった大将のお人柄もお店の魅力になっているのではないでしょうか。
自分でいうのもなんですが(笑)、それはあるんじゃないでしょうか。こういう商売って、商品 対 お客さんではないんですよ。人 対 人なんです。その間をつなぐ接着剤のようなものが商品で、自分の場合はお寿司だったりするんです。

ーお寿司を媒介として、お客さんと大将がつながっているんですね!
まさにそういうことです。なので、お寿司にこだわるのはもちろんですが人と人とのつながり、コミュニケーションも大切にしています。お寿司の説明にしても、お客さんに何か驚いていただいたりなるほどと思っていただけるように、1つでも2つでも印象に残るものをと工夫しています。

ーでは、ご商売をされてきた中で印象に残っている出来事があれば教えてください。
一か月ほど前かな。若夫婦とおばあちゃんが店にいらっしゃいました。おばあちゃんは一人暮らしをされていて、若夫婦が被災されたおばあちゃんの所に片付けでいらっしゃっていたみたいです。それでおばあちゃん何食べたい?と聞くと、お寿司と。珠洲や輪島なんかは被災して開いていないお寿司屋さんも多いもんで、七尾まで来てうちでお寿司を食べてくださいました。そのおばあちゃんが帰り際に私に「今年初めて生のお魚を食べた」っておっしゃって嬉しそうに去って言ったんです。そういう姿を見ると寿司屋をやっていて良かったなと思いますし、お客さんが求めているものを提供し喜んでいただけた瞬間が何より嬉しいとつくづく思います。

大将とお話しできるカウンター席は特等席です!

3つの”者”

ーもし一本杉に新しいお店ができるとしたら、その店主さんはどのような人であってほしいですか?
まず出身が七尾でなくてもいい、とにかくたくさんの人に来てほしいという思いがあります。人が来てくれるだけで地域は活気づきます。聞いたことがあるかもしれませんが、地域を良くするためには3つの”者”が必要なんです。

ー3つの”者”…..というと?
1つ目に若者、2つ目によそ者、最後にばか者。若い人の感覚やエネルギーは地域にとって大きなプラスになる。よそ者は、地域の人では分からないその土地の良さを見つけてくれます。そしてばか者は柔軟な発想を持ち、これまでの常識や当たり前を壊して新たな風を生み出してくれます。この3つの要素を持つ人にどんどん来てほしいですね。来てくれることに抵抗は全くないので。

ーなるほど、たしかに。
そういった方に来てもらうためには、やっぱり「一本杉、楽しいところだよ!」っていうのを発信していくことかな。SNS投稿もそうですし、森さんみたいにお店の人と近い距離で関わって、より深いお店の魅力を記事にしてくれる人も必要ですよね。インターン生が発信したものや企画した新しいものを見て、また新たな人が一本杉の良さに気付いて地域に来てくれたら良いと思います。

ーありがとうございます!では、復興後の一本杉はどのようになっていてほしいですか。
もっともっと多くの人が遠方からでも来てくれるような商店街であってほしいです。七尾っていう地名が京都や金沢とおんなじくらい世界中の人に知ってもらえているような、それくらい魅力的な土地になっていたら良いなと思います。

まんでいいとこ、七尾

ー最後に、好きな七尾弁を教え!てください!
もう(他の取材で)出たかもしれないけど、これは「まんで」ですね。

ーえっ、初めて聞きました!
あはは、聞いたことない? よく言われるのは「成司さんとこの寿司、まんで美味いわ~」って。物事の最上級です。今風に言えば、”超〇〇” !(笑)
まんで美味いは超うまい。超とかすごいとか、最上級の言葉が七尾弁では「まんで」になります。

ーなるほど。その心は?
能登のファンの方やボランティアで来てくださった方だとか、他の地域から七尾に来てくださった方々が「七尾はまんでいいところだ」と思ってもらえるようなお寿司を提供したいと思っています。自分のお店に限らず、来た人に七尾の食はまんで美味しい、七尾はまんで住みやすい、七尾の人はまんで優しいと感じていただきたいですね。

ーありがとうございました!

取材日:2024/9/12

店舗情報
千代ずし
石川県七尾市松本町ニ25−1
https://maps.app.goo.gl/t8dQHhsNgo9VkCrk6
営業時間:11:30-14:00,17:00-22:00
定休日:水
電話番号:0767-57-5316


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