2025年慶応法学部日本史論述答案例

慶応法学部2025年大問Ⅲ
設問要求①…史料A~Eを読み、空欄Ⅹの人物が開いた宗教の名称とその特徴を簡潔に述べる。
    ②…この宗教と朝廷の関係について
    条件…200字以内

答案例
 真言宗は山林修行を積み、秘密の呪法の伝授・習得によって悟りを開こうとするもので、唐で流行していた密教の一種である。空海は著書の『三教指帰』で仏教の道教・儒教に対する優位を論じた後、遣唐使で留学し、長安で恵果に学んだ。帰国後、空海の真言宗は朝廷において国家・社会の安泰を祈った。特に加持祈祷によって災厄を避け、幸福を追求する現世利益の観点から皇族・貴族の支持を集め、嵯峨天皇から平安京内に東寺を賜った。(200字)

慶応法学部2025年大問Ⅳ
設問要求①…享保期において、米および諸色(米以外の諸商品)の価値はどのような状況が続いていたか。
    ②…①により旗本・御家人が経済的に困窮する理由
    ③…幕府は元文金銀の発行によって、旗本・御家人の経済状況を改善するためにどのような仕組みで物価調整をすることを狙ったか
  条件①…文章(1)・(2)と史料を読む
  条件②…280字以内

答案例
享保期、豊作により米価は安く、金安・銀高により銀遣いの上方からの物資に頼る江戸は金遣いのため、諸色の高い状態が続いた。旗本・御家人は支給された禄米を換金して生活品を購入するため、米価安で収入が減り、諸色高で支出が増え、経済的に困窮した。米の品質と享保期に流通していた金銀の品位が釣り合っていないことが米価安の要因の1つであったため、幕府は米と金銀の品位のつり合いをとって米価を上昇させ、銀安へ誘導して諸色を下げるため、金銀、特に銀貨の品位を大幅に引き下げた元文金銀を大量に発行し、鋳造した金銀を臨時収入とせず、市場に放出することで、市場の貨幣流通量を増やした。(280字)

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