【総合評価◎】競馬場探訪:🇬🇧 英 アスコット競馬場/Ascot Racecourse
海外競馬に少しでも憧れを持つ方は必見。期待を全く裏切らない華やかさ。ロイヤルアスコットや他の重賞開催日に予定を合わせ、イギリス競馬の真骨頂を体験いただきたい。
アスコット競馬場 / Ascot Racecourse 概要
所在地:イギリス Berkshire County
創設:1711年
開催競馬:平地競争、障害競走
馬場:芝(右回り)
開催されるGIレース:以下のとおり
・ 総合評価 ◎
イギリス競馬という響きで想像する華やかな部分をその想像以上に美しく表した競馬場。色鮮やかな花で彩られたすり鉢状のパドック、バンドの生演奏が響くピクニックスぺース、高い吹き抜けにデザイン性と機能美を感じるメインスタンド、各所に位置する過去の名馬の名を冠したバーの数々、そして、その華麗な場内で談笑する正装した観客たち。どれもが競馬の優雅な側面を体現していて、競馬好きなら一度は訪れたい。特に、6月のロイヤルアスコット開催はイギリス王室関係者も出席され、格段に壮麗。
一方、華々しさに比して必要な経費も派手であることが頭の痛いところ。2021年夏開催の入場料は、GI開催日は最低30£、GI開催日以外は最低20£からで、入場エリアやレストランの予約有無等により青天井状態。ロイヤルアスコット開催は更に高価で、予約の時期次第ではあるものの入場料と場内での軽い飲食だけで100£程度はかかるとみておきたい。また、ロイヤルアスコット開催は、ドレスコードも厳しく、最も安価なQueen Anne Enclosureでも、男性はスーツにネクタイ着用が義務付けられており(女性はより詳細な規定があるためHP要確認)、イギリス長期滞在者ではない場合は旅行先にスーツを持ち込む煩わしさがある。ロイヤルアスコット開催以外は、一般の入場エリアはスマートカジュアルで問題ないことが多いが、詳細は訪問前に各自で確認いただきたい。
・ ロンドンからのアクセスの良さ ★★★
- London Waterloo駅 → Ascot駅 (South Western Railwayの直通電車で約1時間)
- Ascot駅→Ascot競馬場(徒歩で約5分)
・ 公共交通機関のみでのアクセスの良さ ★★★
【電車+徒歩】
アクセス容易。アスコット駅から競馬場への道のりは分かりやすく、迷うことはない。
・ 場内の雰囲気 ★★★
大レース開催日は非常に混雑するが、スタンド、パドック共に広く設計されており、何レースも前から場所取りをする必要は全くない(イギリスの競馬ファンにはそういう習慣もないようであるため、郷に入っては郷に従えで、一か所にとどまらず場内を渡り歩きながら気ままに楽しむのが自然体で良いと思われる)。
スタンド裏やスタンド前の直線の四コーナー寄りのスペースに、簡易のテーブルと机が用意されたピクニックスペースが大きく配置されており、ここを拠点にパドック等を巡るのも良い。なお、場内は社交場の様相を呈しており、競馬観戦よりも友人との会話を楽しみに来場したと思われる観客も多いが、一方で、正装しつつも競馬新聞と双眼鏡を手にレースを見つめる熱心な地元競馬ファンの姿も見られるため、例えば一人旅で訪れても臆する必要はない。
アスコット競馬場にはイギリスの競馬場には珍しく、競馬場グッズを販売する常設のショップがあるため、時間に余裕があればぜひ訪れたい。
・ レースの臨場感 ★★☆
巨大な競馬場であるため、ローカルの競馬場のような馬との近い距離感は味わい難いが、その分、歓声の大きさはイギリスの競馬場で最大と言っていいのではないか。
また、スタンド上部からは、東京競馬場のスタンドのようにレースを俯瞰して楽しむことが可能。加えて、5ハロン、6ハロン、1マイルの競馬で用いられる直線コースは、外側の埒に馬が集まる傾向にあり、スタンド前の芝生スペースから臨場感あふれる競馬を楽しめる。
・ 競馬場周辺の観光 ☆☆☆
アスコット競馬場周辺に特に観光地はない。レースの余韻に浸りながらロンドンへ直帰し、市内で打ち上げをするのが良いのでは。
・ 参考情報(競馬場のHP、写真等)
アスコット競馬場HP:https://www.ascot.co.uk/
関連写真:以下のとおり。なお、これらの写真はいずれもロイヤルアスコット開催日に撮影。他の開催時は、観客数や競馬場の雰囲気、一般のチケットで入場可能なエリア等に違いがあると思われるため、ご留意いただきたい。
↑ アスコット駅は郊外の小さな駅。競馬開催時も自家用車やハイヤー等を利用する観客が多いため、日本のGI開催日の競馬場最寄り駅のような混雑はない。
↑ アスコット駅からアスコット競馬場までの道中。林の中を抜けるとスタンドが見えてくる。
↑ メインゲートを入るとまず目に入るのは巨大なスタンド。右手は軽食のキッチンカーが並ぶピクニックスペースで、左手奥にパドックがある。
スタンド周辺の地図。薄い茶色の部分が一般エリアで、ピンク色の部分が(開催日により詳細は異なるが)ゲストあるいは高価なチケットを持つ者のみが入場可能なエリア。残念ながら一般エリアはゴール手前100m付近まででゴール前には進むことができない。ただし、ロイヤルアスコット以外の開催では、ピンク色のエリアのチケットも比較的入手しやすい。
↑ (開催日によるが)パドックも一般エリアとそれ以外はスペースが分けられている場合も。
↑ コース側から見たメインスタンド。イギリスはもちろん世界最大級のスタンドでありながら、デザイン性も抜群。
↑ スタンド付近から直線を望む距離感はこの程度。スタンド側が若干下がっているため、一番前よりも少し後ろの方がレース全体が見やすい。
↑ 埒沿いでの観戦はこのような距離感。馬場を見上げる形になるが、特に直線コースを使うレースは、外側の埒沿いに馬が集まるため、大迫力のレースを間近で見ることができる。
↑ ゴール後のカーブ付近から見たスタンド。
↑ ゴールの先には、直線付近とはまた別のピクニックスペースが。テント内では幾つかのグループがパーティーを楽しんでいる。
↑ パドック全景。
↑ パドックから望むメインスタンドの裏側。スタンドの大きさに合わせるようにパドックも巨大。
↑ パドックの中に集う関係者の装いも華やか。
↑ パドックの周囲は色彩豊かな花で彩られている。
↑ ロイヤルアスコット開催初日、第一レースの前にパドック内のウイナーズサークルで開催された騎手の紹介セレモニー。L. デットーリ(一番右)、R. ムーア(右から三番目)、O. マーフィー(同四番目)等、日本でも人気のジョッキーに加え、2021年のグランドナショナルを女性騎手として初めて制したR. ブラックモア騎手も参戦。
↑ パドック裏のピクニックスペース。バンドの生演奏を聴きながら飲むビールは最高。
↑ スタンド内は吹き抜けが高く、広々としている。
↑ スタンド内には屋根付きのカフェスペースも。
↑ 二階以上の観客エリアは更に限定的なチケットが必要。
↑ 場内各所にアスコット競馬場で名勝負を繰り広げた名馬の名が付いたバーが点在。こちらは、2010年のロイヤルアスコット開催のクイーンアンステークスを制したフランスの名馬GOLDIKOVAの名を冠したバー。
↑ 競馬場内のマンホールも馬仕様。
<以上>