エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

ややもすると、SF映画の一作で埋もれてしまうところをアカデミーで複数の賞を受賞したことで、特別な作品となった。
映像表現は本作でまた一つ上のステージへ押し上げられた。このレベルは文字を並べた脚本で表現することは不可能だ。

冒頭から、話の展開の斬新さに圧倒されるが、よく考えると、とある家族の再生の物語である。

バースとはユニバース、宇宙のことで、マルチバース、つまり複数の宇宙が存在する設定だ。

シュタインズゲートでは複数の世界線、パプリカでは夢世界がある。主人公の望む世界(線)にするため、何度もやり直したり、抗ったりする。主人公が歩む時間軸の中で事態が改善されていく世界を構築していくというものだ。
対して、本作・エブエブは、マルチにバースが存在しても、結局同じ運命を歩むことに気付かされるということ。そこに感動がある。

マルチバースの世界がおもしろい。映画館で見ていたら、前半は笑いが起きていたのではないか。くだらなさが満載である。しかし、くだらないほどにラストの結末が研ぎ澄まされていく。

SF作品がちゃんと評価されたのもうれしい。日本のアニメ監督へのリスペクトもすばらしい。

ぜひ、作品を見た方々の意見を聞きたくなる。

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