映画「きみたちはどう生きるか?」
世間の評価とは裏腹に、かなりよかった!
宮崎駿という人は元来こういう作品をやりたかったのだろう思わされる。
風の谷のナウシカはSF色の強いアニメージュに連載されていた。
そもそも70年代、80年代のSFには今振り返ると哀愁が漂うレトロさがある。レトロフューチャーというやつだ。
SFというジャンルが屹立していた時期でもあった。
「2001年宇宙の旅」で描かれる未来(今となっては20年以上前の、過去の未来だが)は、どこか懐かしい。
これらの制作時期独特の未来の描き方がある。真っ白なタイツのような服だったり、モノリスだったり、石への信仰だったり。無機質さが未来を感じさせたのだろう。核戦争で滅びた世界を匂わせる。冷戦化の金箔が作り出す観念なのか。
ちょっとそれるが、この感覚は無駄を排除してモノを所有しないミニマリズムに似ている気がする。
さて、今回の映画で描かれている世界観にもどこかレトロなSF感がある。ディストピア要素も、ナウシカっぽくていい。最近の作品にはなかった、個人的に好きな作風のほうである。
映画タイトルから感じる、最後の作品っぽさ。
本懐を遂げるようなSF回帰。思い残すことはないのかもしれないが、ここは天邪鬼な精神で、もう一回ポニョののような作品でちゃぶ台返ししてほしい。
そんなふうに妄想しながら、また次の作品を心待ちにしたいと思っている。
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