ウクライナとロシアとプーチン②完
さて、ごきげんよう哀れな人類諸君
今回私は主に4冊の資料から、なぜプーチンがキエフ砲撃という一見狂ったような行為にまで及んでしまったのか?
という疑問の解決を試みた
まずはそれらの資料を説明しようか
まずはプーチンの世界
2016年に発行された、プーチンの軌跡を辿りながら彼の人間的本質に迫ろうとした素晴らしい資料である
これは本当に良著であったので、この度のことが気になる方は目を通しておいて損は無いと言いきれる
続いてはこちら、ミトロヒン文書だ
こちらの資料は主にソ連の工作組織KGBについて詳しく記してある
これも非常に良い資料だと感じた、☆5である
こちらは上記の資料を読み進めるにつれ、プーチンが近年サイバー戦争に傾倒していたと感じたので読んだ資料だ
これもかなりのボリュームではあるが、ロシア以外の情報工作の歴史を詳しく記している
マニアックな1冊である
最後のこちらの資料であるが、この度の世界の動きについて日本の視点から何か書かれている資料は無いか、と求めて読んでみた
プーチンというよりは、世界情勢全体について広くコラム形式で記してある
さて、最後の資料にこんな興味深い記述があった(意訳している)
外交ほど実利主義的なものがあるであろうか
外務省東亜局長 石射猪太郎
つまり外交、つまり国家間のやりとりはメリットによって決定されるということだ
この度の侵略もプーチンにとっては国内外にむけて利益のある行為と認識していると推察される
その上で、私の推察を順に記していこうと思う
①プーチンのロシア世界
ミレニアム・メッセージなどでわかるように、プーチンの言う「ロシア世界」は西側諸国の価値観と大きく異なる部分がある
その根源はロシアという過酷で不毛な大地がゆえの「集団主義」であると言える
大昔から、ロシアで集団から離れ孤立した者は、どれだけ屈強な人間であっても生きては行けなかった
②工作員であるということ
プーチンはゴリゴリの元KGB工作員である
西側諸国の価値観に一定の理解は示しているものの、根本では全く理解していない
プーチンの言う「世界」とは「ロシア」であり、世界のためとはロシアのためだ
オバマも「プーチンは違う世界に生きている」と言っている
その国家主義者的思想のためか、もしくは長年KGBの工作員として、大統領として徹底的に情報をコントロールしてきたからか、プーチンは自分の理解できない思想、方針を「西側諸国の情報操作による陰謀」と捉えがちであり、すべてロシアを崩壊させるためだとしか認識できていない
これはかつてのレーニンやスターリンに通じる部分でもある
情報を操るものは、自分が得た情報も操られていると思い込むのだ
③ハイブリッド戦時中という認識
また、プーチンは2010年代より「ハイブリッド戦争」という言葉を使い、兵器以外(情報、経済、スパイなど)
を用いた戦争について述べている
そして、西側諸国や中国もそれを用いて常にロシアを侵略しようとしていると思っていたフシがあるし、ロシアはそれに対抗していると思っている
その中で近隣国はNATOに切り崩されつつあり、国家主義者的思想ゆえ、また工作員であるがゆえ、経済的な面も含めてプーチンは疑心暗鬼に焦っていたのかもしれない
④プーチンは20年前の政治家
そして、プーチンの思想の根本はミレニアム・メッセージの時から20年間変わっていない
80〜90年代のソ連崩壊のような状態を誰も望んでいない!あんなのはゴメンだ!とずっと言っている
が、時代と世代は大きく変わり、今のロシア国民の多くはその感覚は無い
しかし、プーチンはそのズレを認識することができなかったのではないか
あるいは誰も悟らせようとしなかったのか
プーチンは選挙勝利後にこんなことを言っている
「選挙中は誰もが好きな方針を求めて好きな事を言えばいい、だが結果が出たら、次の選挙までは仕事の時間だ 各自自分のすべき仕事をするんだ」
プーチンは全ロシア国民も自分と同じように母なるロシアに殉ずると信じていたのだろうか?
大統領である自分の「社長命令」に喜んで自らの自由や権利よりも集団の意思を尊重すると?
恐らく、そこにいたのは長期個人独裁政権に疲れきった、飽き飽きしていた人々でしかなかった
そして砲撃は命令として行われ、古い政治家は晴れて世界の認める狂人となった
さて、以上が私の考察、推測であるが
プーチン以外の人間、ロシア以外の国に責任が無いとは言わせない
トランプ前大統領がかつてこんなことを言っている
「ウクライナで問題が起こった時、ロシアが強硬になった時、だれも我々ほど気にしているように見えない。ウクライナで問題が起こっても、我々はさほど影響を受けない。遠く離れているからだ。しかし彼らの隣人でさえ、ウクライナを話題にしているように見えない。ドイツや他の国々をみてみても、あまり関わっていないようだ。なぜもっと関わらないのだろうか?」
いやあ、本当に哀れだね人類は
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