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【2020年12月IPO】オンデック株式会社の事業成長分析

今回は、2020年12月29日に東証マザーズに上場したオンデック株式会社です。事業継承に悩む中小企業の経営者が年々増えており、コロナの影響で業績影響を受けている企業も多くM&A市場が活発化しています。今後オンデックの事業成長をIRなどで確認する上で押さえておきたい点をまとめました。

この記事のまとめ(5分で読了)

オンデックの事業成長ポイントは以下3点となります。

1.コンサルタントの継続的な採用、拠点展開               

2.営業生産性(1人当たり成約件数×成約単価)の維持・成長

3.新規事業であるM&Aプラットフォームの収益化            

当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

経営陣プロフィール

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社長・副社長がJCBカードの同期入社で、一緒に立ち上げた会社となります。上場時の2名の株式持分シェアは70.06%(社長と副社長の持分は同数)となり、大きな割合の支配権を持っています。事業成長することと経営陣インセンティブが直結するため、事業成長≒株価上昇に関しても期待ができます。

外部環境分析

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伸びている事業は、外部環境の変化を捉えていることが非常に重要になります。M&A仲介ビジネスが成長する理由は、中小企業の社長が高齢化し、事業を引き継ぐ人がいない(社内でも社長候補がいない)という点です。事業の引き継ぎ手がいない中小企業を対象に、会社売却の仲介をすることで従業員の雇用維持や取引先の事業維持の一翼を担っています。

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M&A仲介ビジネスのポイントは、「事業売却案件」を如何に確保するかです。市場環境としては、売りたい人<買いたい人の構図になりますので、売りたい人を多く獲得できれば買いたい人は後から付いてくるという考え方です。今後も、事業を売りたい人が伸びていくことが想定されるため、M&A仲介ビジネスの継続的な成長が見込まれます。

ビジネスモデル

中小企業ターゲットのM&A仲介サービスを提供する同社。ビジネスモデルは非常にシンプル。事業KPIもわかりやすいです。

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M&A仲介ビジネスは、企業を売りたいオーナーと企業を買いたい投資家や企業をマッチングし、仲介手数料を得るというビジネスモデルです。ビジネスモデルは競合と同じですが、課金の仕方が異なりますのでM&A仲介ビジネスの課金モデルの競合比較を見てみましょう。

オンデック が対象とする企業規模

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オンデックがターゲットとする企業規模は、年商3億円〜数十億円規模となります。会社の規模が大きくなれば手数料金額が大きくなるため、仲介件数ベースでは全体の46%が年商1億円未満の案件ですが、売上構成は全体の16%となっています。これは、譲渡額が大きければ手数料売上が上がるためとなります。

課金モデル比較

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課金モデルの競合比較となります。手数料の算出ロジックに関しては、

総資産=総負債+純資産

ですので、日本M&Aセンターよりは手数料が安いと言えるでしょう。M&Aキャピタルパートナーズは株式譲渡対価に対して手数料が発生するため、単純比較ができません。

主要KPIの推移

ビジネスモデルは中小企業のM&A仲介ですので、主要なKPIは、

コンサルタントの人数 × コンサルタント1人あたり売上 = 売上

という式が成り立ちます。これに伴い、競合企業と比較しながら現状のビジネス規模を確認していきましょう。

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成約単価:百万円

競合の上場企業の主要KPIをまとめてみました。コンサルタントの数は各社採用に力を入れているため成長しているものの、1人あたりの成約件数・成約単価に関しては持続的に伸ばすことが難しいことがわかります。当社の成長性を考える上で、継続的にコンサルタントが採用できているか?が重要な指標となります。また、1人あたりの成約件数についても、現状オンデック は提携先からの紹介が全体案件の9割のため、コンサルタントを増やした分成約を積み上げられているか?≒紹介数も増えているか/新規営業を強化できているかも重要指標となります。

*オンデックは詳細数値は未開示。累計成約件数203件 成約単価34百万円

*M&Aキャピタルパートナーズは、大規模M&A仲介サービスを提供するレコフ社を子会社に持つため成約単価が高い傾向。

当社の強み

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売却案件の獲得が重要なM&A仲介ビジネスにおいて、当社は士業や金融機関との提携によって売却案件の獲得ができる仕組みを構築しています。現状、9割が紹介による案件となっており、積極的な営業は未実施であり事業成長の白地がある点となります。

既存事業の成長ポイント

既存事業を伸ばす上で、オンデック が掲げている施策は以下となります。

1.コンサルタントの人数 × 2.コンサルタント1人あたり売上 = 売上

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1.現在拠点は、東京・大阪となっており、コンサルタントの新規採用、拠点増加することで拡大する

2.積極的な営業を行い、売却案件を獲得する

今後事業進捗を確認する上では、

1.拠点展開が進んでいるか?                                                                                       2.コンサルタントの数は増えているか?                 3.コンサルタントの生産性は落ちていないか?

を確認しておくのが良いでしょう。

上場時調達資金の資金使途

上場して調達した資金は、次なる成長を目指す上での新規投資を実行する予定となっています。本社移転は既存事業の成長、M&Aプラットフォームは新規事業立ち上げとなります。

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新規事業として立ち上げるM&Aプラットフォーム市場について

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近年、中小企業のM&A市場では、当社がメインターゲットとしていないマイクロキャップ(年商3億円以下)の事業を中心にオンラインマッチングするサービスが登場しています。

具体的には、日本M&Aセンターの子会社が設立したBatonz、ベンチャー企業のTRANBI、ビジョナル(旧社名:ビズリーチ)が運営するSUCCEEDなどが代表格で、その他中小規模のサービスが乱立しています。

オンデックが立ち上げるM&Aマッチングサービスは、上図のように"買収をしたい会社に寄り添う"点が特徴です。既存のM&Aマッチングプラットフォームは、会社・事業売却したい人が情報を登録し、買いたい人が応募する形式を取っています。M&A仲介事業のポイントは「売り案件の獲得」ですので、競合他社がこぞって売り案件をいかに獲得するかを競っています。

買収したい会社に寄り添うプラットフォームということで、買い手を集め、どんな会社を買収したいかをヒアリングしてサーチするといったビジネスになるため、既存サービスとの差別化は図れていますが、どこまで当ビジネスが成立するか?は類似サービスが少ないため今後の確認ポイントとなります。買い手を集める難易度は、売り手を集める難易度より簡単ではありますが、オンラインで買収候補先を探す人は"買収単価が安い"特徴がある可能性が高く、受け取れる手数料と案件成立させるまでの人的コストが見合うか?がポイントとなるでしょう。

オンデックの株価水準(現状の株価は割高か割安か)

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各社指標

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上場直後ということもあり、競合企業とのPER/PBRで比較すると非常に割高な状態と言えますが、高い成長性を市場から期待されていることから今後の事業成長に期待です。

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