【IPO】288A ラクサス・テクノロジーズの新規上場における株価考察・初値予想
2024年11月12日、ラクサス・テクノロジーズの東証グロース市場への上場承認が公表されています。
本日はラクサス・テクノロジーズの会社概要・事業内容、IPO時のオファリング概要、目論見書記載価格の考察、初値予想について考えていきたいと思います。目論見書上で開示されている細かな情報なども勘案した株価考察もしておりますので是非最後まで読んでください。
ラクサス・テクノロジーズの会社概要・事業内容
ラクサス・テクノロジーズは、日本国内でブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」を提供し、消費者に高品質なブランドバッグを手軽に利用できる機会を提供しています。このサービスは2015年2月に開始され、定額制でバッグを利用でき、サステナブルな社会の実現に貢献することを目的としています。特に、ブランドバッグという資産をリユースし、メンテナンスしながら長期間使用し、最大限の価値を引き出すことに焦点を当てています。
「ラクサス」のサービスは、主にスマートフォンアプリやインターネットを通じて提供されており、ユーザーはブランドバッグを好きなときに使い放題で楽しむことができます。リユース市場を活用してバッグを調達し、専門スタッフによるメンテナンスで高い品質を保ちながら、資源の循環に貢献しています。さらに、「買えちゃうラクサス」というサービスを通じて、ユーザーが気に入ったバッグを購入できる選択肢も提供しています。
事業モデルは、ブランドバッグをシェアリングという「使用価値」と、時間経過によって残る「時間的価値」を最大化することにあります。これにより、バッグのライフサイクルを通じて収益を得る「モノの価値循環モデル」を構築しています。また、BtoB/C向けの販売ルートも開拓し、バッグの市場価値に応じた最適な販売方法を選択しています。
主な収益源は月額会費で、シングルプラン(9,800円/月)やダブルプラン(13,600円/月)を提供しています。会員の多くは30代から40代の働く女性で、日常生活や通勤、旅行などでブランドバッグを利用しています。また、ユーザーインタビューに基づき、購入を躊躇していた層に対して、気軽に試すことができ、気に入れば購入できるという点において「ラクサス」は非常に好評であるとされています。
会員の66%は12ヶ月以上利用しており、安定した会員基盤を築いています。会員数は18.1万人に達し、継続的に新規会員を獲得しています。価格改定後も会員数は増加しており、顧客獲得コスト(CAC)は約2.9か月で回収されています。さらに、レンタル中のバッグを購入する「試用販売」のサービスにより、アップセルの機会も提供しています。
詳細な事業内容についてはラクサス・テクノロジーズが提出した有価証券届出書の【事業の内容】を読むとよくわかると思いますので、ここでの説明は割愛しますがご一読いただくことをおススメします。(下記URLは有価証券届出書のうち証券情報の記載がない東証HP上の「Ⅰの部」です)
https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/mklp77000000l73f-att/12LaxusTechnologies-1s.pdf
IPO時のオファリング概要
上場承認日 :2024年11月12日(火)
仮条件決定日 :2024年11月26日(火)
条件決定日 :2024年12月4日(水)
上場日 :2024年12月13日(金)
ラクサス・テクノロジーズは日本の投資家だけではなく、一部の海外機関投資家(欧州及びアジア)にも販売が行われます。一定規模の時価総額とオファリング金額となる場合に選択するIPO時のオファリング方法となります。
主幹事証券・シ団のフォーメーションは以下の通りで、計9社です。
主幹事証券:みずほ証券
シ団:野村證券、SBI証券、松井証券、楽天証券、極東証券、岩井コスモ証券、東洋証券、ひろぎん証券
目論見書記載価格は281円です。
目論見書記載価格をベースとしたオファリング金額は公募(国内+海外):約18.3億円、売出:約2.6 億円、オーバーアロットメントによる売出し:約3.1億円で、合計すると約24.1億円のオファリングなので、2024年のIPOの中では小規模な部類かと思います。
目論見書記載価格の考察
目論見書に記載されていた想定価格は281円です。
今回は目論見書記載価格を使ったフルダイリューション(希薄化の影響を与えるすべての要素について考慮した)ベースの時価総額を以下のように計算しました。
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