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人の数には入らない

かつての精神科には職員の暴力が付き物で、それは現在でも続いていることを常々訴えているわたしですが、ひとつ、素朴な疑問があります。

「なぜ、暴力が院内で行われているのに、同じ医療業界の職員やナース達は改善の声をあげてこなかったのか?」という疑問です。

「どこに訴えていいか判らなかった」ということもあるでしょうし、「自分のクビや給料が可愛かった」というのもあるでしょう。

しかし、いちばん大きいのは、「精神障害者は殴られようが蹴られようが仕方のないひとたち」という大きな差別意識と偏見です。

事実、我々がいくら声を上げても社会は何一つ助けてはくれなかった。

「知らなかった」とか「私たちも騙されていた」などと懸命に責任から逃れようとする人々は医療関係者の中にすら いまだにいます。

実際には医療関係者の間で精神障害者を差別する「プシコ」という表現が昔からあるにもかかわらず、です。

医療に携わる人間には「ナイチンゲール誓詞」という絶対の規律がある。

それなのに、相手が精神障害者となると、誓いなんてものは無視して構わないという不文律がまかり通る。

この矛盾に明確に回答してくれたナースは わたしの知る限りひとりもいません。

要するに医療関係者ですら「プシコはひとの数に入っていない」ということを認識しているということになります。

われわれに対するような暴言や暴力を内科や外科など他の診療科で患者に行ったとしたら職員は果たしてどうなったでしょう?

おそらく彼らは「それをやったら我が身が危ない。だからやらない。マスメディアが怖いから」と全員が言うでしょう。

他の診療科なら許されないが精神科はそうではない。プシコは人の数に入っていないから、というのは まさしく差別以外の何物でもない。

閉鎖病棟での我々に対する職員の理不尽は精神障害者を過剰に危険視し、「殺られる前に殺れ」という気持ちを隠そうともしない偏見にある。

私が出会った精神障害者は殆どが穏やかで大人しい人々ばかりでした。


職員やナース達に暴力的な挑発をされたときを除けば.........................。

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