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星月夜 ゴッホの見た夜空
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ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。
オランダ出身で、フランス印象派の巨匠です。
わたしと彼との共通点は統合失調症を生涯の友とすること。
わたしはゴッホの作品が大好きで、彼の作品のアートパネルを居間に掛けたり、書斎の本棚にフォトフレームに入れた彼の絵画の写真を飾ったりしているのですが、わたしが彼の作品に惹かれる最大の理由は統合失調症とは別のところにあります。
その理由は彼が描く満点の星空に芸術の無限の可能性が垣間見られるからに他なりません。
「糸杉と星の見える道」「星月夜」に観られる壮大な天の川のうねり。
実を言うと、わたしにも夜空があんな風に見えることがあるのです。
月明かりのなかに星のまたたきが綺麗に見える星空の美しさは格別のものですし、北海道の田舎に住んでおりますと、夕暮れの後に近所のコンビニまで歩く道すがら、ふっと夜空を見上げると、そこに大きな月と星星がある光景に思わず脚を止めて眺めてしまうことがあるんですね。
ゴッホには夜空があんな風に見えた。
星も月も変わることなく輝いていて、いま見える星の光は遥か何億光年も昔にあの星を出発していま私たちの目に飛び込んで来ているのです。
それに比べたら、ゴッホがこの作品を描いたのは1890年代。
いま我々が生きている2023年と130年ちょっとしか違わないのです。
宇宙の中にいて、いかに自分たちのスケールが小さいかを思い知らされるではありませんか。
ニューヨーク近代美術館の永久コレクションとなっている「星月夜」は彼が修道院に併設された精神病院で静養しているときに描かれたものです。
精神を病んでいて、疲労の極致にあった彼の中で、フランスの夜空はあれほどまでに壮大に見えたのです。
彼の短い人生のなかには暗いテーマの作品も確かにあります。
しかし、プロヴァンスやアルルの田園風景を描いた彼の作品には素朴な農夫の休憩や黄金色に輝く収穫前の麦畑を描いた明るいものもたくさんある。
最期は拳銃自殺で命を断った彼ですが、太陽の下で南仏の風景を描いていた彼の顔には優しい笑顔があったと私は信じたいです。
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