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#50 商標登録の成功確率

こちらのnoteの内容は音声でもお聞きいただけます↓
https://stand.fm/episodes/603efa8a0ec06399e0693cc4

以前の配信で、せっかく商標出願しても、
実体審査で拒絶されてしまうことがあると、ご説明をしました。

拒絶理由は全部で40個くらいあるので、
やはり事前に調べていても、どうしても引っかかってしまう可能性があるんですね。

ただ実際は、長年この仕事をしている感覚でいうと、
拒絶理由の9割は、3~4つの理由に集中しているなという実感があるので、
それに気をつけていれば、クリアできる可能性は高いと思います。

★商標登録の成功確率

では、商標登録の成功確率はどれくらいなのでしょうか?
これについて、特許庁は数字を公開しているわけではないので、
統計に出ている数字を元に推測することになります。

審査期間が1年くらいかかるので、
その点を考慮して、
一昨年度の1年間の出願件数と、
昨年度の1年間の登録件数を、
比較して数字を出してみます。

※参照:特許出願等統計速報(令和2年12月分(令和3年2月24日作成))
https://www.jpo.go.jp/resources/statistics/syutugan_toukei_sokuho/document/index/202012_sokuho.pdf

まず一昨年度1年間の
平成31年1月から令和元年12月までの国内出願の出願件数は、
171,323件です。
一方、昨年度1年間の
令和2年1月から令和2年12月までの国内出願の登録件数は、
124,167件です。
したがって、
出願件数に占める登録件数の割合、
つまり商標登録の成功確率
約72.4%ということが言えます。

★正確な数字ではありません

もちろん、この数字は必ずしも正確な成功確率ではありません。
実際には審査を早める方法を使うケースがあるので、
同じ年度内に出願から登録まで終わってしまうものが数字に含まれていません。
また、登録可能性はあるのに、事情によって途中で権利化を断念することもあります。
これは登録されなかった方にカウントされてしまいます。
ただ、だいたい7割ちょっとくらいの確率で登録されるんだということがわかるかと思います。

この数字を高いと見るか、低いと見るかですね。

★成功率は、誰が出願書類を作るかで変わる

ただ注意が必要なのは、
ご自身が出願をした場合と、
弁理士に頼んで出願した場合とでは、
成功確率が異なるということです。

当然、弁理士に依頼せずご自身で手続きされた場合は、
成功確率が下がってしまう
のは否めません。
今は出願の仕方くらいは調べればいくらでも出てきますが、
肝心な出願内容に拒絶理由がないかどうかは、
なかなか専門的な知識が必要
だと思います。

それから、弁理士事務所がよく「成功確率9割以上」とか
「登録査定率95%!」などと謳っているので、
すごく優秀で頼りになる弁理士であるように思われるのではないかと思います。

ただこれも、そこそこ実力のある弁理士に依頼すれば、
普通に9割くらい
にはなります。
弁理士の中でも商標を専門に扱っている人に依頼して出願した場合は、
さらに成功確率が高く
なります。
したがって、そこまで優位性を図る指標にはならないかなと思います。

★本当に大事なこと

大事なのは、単に登録されるかどうかではなくて、
登録した後に、10年20年と、自分のビジネスを守ってくれるのか、
ブランドとして活用することができるのか

というところなので、
そこまできちんと考えて権利をとってくれる弁理士を探すのが、
ベストな選択だと思います。

以上、商標登録の成功確率は、大体7割くらいで、
弁理士に頼めば9割くらいは当然ですが、
本当に重要なのは登録を取った後なので、
ぜひそこまで考えてくれる弁理士を選んでください。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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保屋野光繁★☾弁理士
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