こちらの戦力を把握させないことが最大の戦略であるという話(『愚者の渡しの守り』より)
今月6月の、「Samsung ブックベネフィット」(毎月指定された本から1冊無料で読めるサービス)は『愚者の渡しの守り』を選んだ(というか、どれでも良かったので選んでもらった)。
本書は、1890年頃の「ボーア戦争」の経験から著者が学んだものを「戦術の入門書」としてまとめたものである。
その後は、入隊したばかりの兵士が必須で読むべき本として活用され、第一次世界大戦後改めて世界的に評価れた本である。
この本のとにかく面白いのは、
「よし!これだけ準備すれば絶対に負けないぞー!」
と作戦を練っては見事に敵にボコボコにされ、その度に新しい「教訓」を得て、夢落ち。また最初の状態にタイムループして、
「前回の反省を生かし、今回こそ負けないぞー!」
と新たな作戦を練っては、何度もボコボコにされる主人公の残念さである。
最終的に、主人公は戦争で勝つための「22の教訓」を得て勝つことができるのだが、全部紹介してもあまり意味がないと思うため、ざっくり主人公の学んだ教訓をまとめる。
1、「まあ、もうみんな移動で疲れてるし今日はもう寝て、防御線の準備は明日やろう!」
→ その日の夜に敵がやってきて死亡
2、「完璧な塹壕を作れ!よし、これで準備完璧だぜ、みんなお疲れ!」
→ 地元の農民(敵の味方)に兵隊の位置などを密告され死亡
3、「地元のやつはどんな奴でも信頼せず捕まえろ!これでこっちの作戦内容がバレることはない!今度こそ完全勝利だぜ!」
→ 本格的な塹壕を作った結果、向こうから守備位置バレバレで良い標準となり砲撃打たれて死亡
4、「くっそ、どんなに強い防御陣を作っても、その結果敵に位置がバレてしまったら何かしら対策が練られてしまう。そうだ!もう守備は弱くて良いから、とにかく相手に位置がバレないようにしよう!そこに隠れながら、相手が必ず通る道を射程範囲にすれば良いんだ!」
→ 最も低い位置に陣を取り、敵から最後まで見つかることなく、奇襲に成功して勝利!
ざっくりまとめるとこんな感じである。
さて、ここから私たちの生活において取り入れられることは何だろうか。
(タイトル通り)
「こちらの戦力を把握させないことが最大の戦略である」
ということが現代でも通じることではないだろうか。
どんな強みにも必ず弱点がある。
自分の強みを自慢げに晒し「どうだ!俺すごいだろー!」という行為は相手に自分の位置と戦力の規模、そして自分の弱点を教えているようなことと一緒である。
加えて、狙う側は相手の見えないところから十分に作戦を練りながら、奇襲をすることが可能になる。
少し連想されたのは、ホリエモンがライブドアの株を多額で持って煽られていたとき、しっかりと裏では有料メルマガを基盤収入として毎週配信をしていたことや、何よりも『孫子の兵法』と結論が似ているということである。
すなわち、優れた戦術家がたどり着く先はいつの時代でもどこの場所でも同じなのかもしれない。