名作/迷作アニメを虚心坦懐に見る 第6回:『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』
フィクションにおいて、戦争のおぞましさや悲惨さを伝えようとするとき、そこには大別して二つの方向性が認められる。一方で、軍人が残虐な行為に手を染める様子を執拗に見せたり、愚かな政治が開戦の決断にいたる過程を丁寧に描いたりすることによって、戦争における「加害」の側面を強調することがある。他方で、末端の兵士が戦場で無惨に死んでいく様子を接写したり、民間人が無差別攻撃で次々に命を奪われる様子を大写しにしたりして、戦争における「被害」の側面に力点を置くこともある。
社会学者の福間良