当事者だからわかること(1)〜就労支援の現場から〜
自身、発達障害を持ちながら、障害や病気がある方の就労支援をさせていただいている、指導員のいおりです。
「障害者のくせに障害者の指導ができるんかぃ」と突っ込まれそうなものだが、
いや、実際そんなことを言う人にまだお会いしたことがないが、
「障害者だからできるんじゃぃ」、と切り返してやろうと思っている。
障害者の就労、マジしんどい。
この言葉のリアリティを理解できる人が、どれだけいるのだろう。
このしんどさが、身に染みているという人はどれだけいるか?
私自身、若いうちは持ち前の愛想の良さと言語能力の高さで面接を切り抜けてきたが。
しかし、30も後半に差し掛かり、職場を転々としているとなると、それも通用しなくなっていく。
無理をして仕事を続けたことで、体の状態も辞める度に悪くなり、
経済的な問題も、どんどん大きくなっていく。
酸素ボンベの残数が、少しずつ減っていく。
そういう、リアルな現実を体験してきた。
本当、もうこれ以上先はないぞってとこまで追い詰められて、
なんとか今の仕事をさせていただくことができた。
仕事を始めてみて、
「うわ、何これ、めっちゃ天職っ♡」って思ったけど、
同時に、「次は無いな」って危機感は常に覚えている。
職場のロッカーの影、でかいカマ持った死神が
「そろそろ辞めたくなってきた頃じゃ無いっすかねぇ?」
って視線でのぞいてくる。
そういう切羽詰まった気持ちが、
「早い段階で働けるスキルを身につけとけ」
「人間関係で躓かないように工夫しろ」
「長く働けるよう、心をケアしろ」って言葉に
リアリティを与える。
私は、福祉の現場経験はないペーペーだが、
『障害者が就労できないという現場』は知り尽くしている。
発達障害歴でいうと30年以上、結構ベテランの域に達している。
こういう『しくじり先生』的な人材って、重宝されると思うし、
実際、今の職場でも重宝されている。
自分の経験や痛みが、役に立っているって感じている。
だから、私は、この仕事を続けたい、この道で生きていこうって考えている。
いや、というか、
障害者に働き続けることを教える施設で、
働き続けられなくなるようなことだけは避けたいよね。
運転の出来ない教習所の教官みたいだから。
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