1. アートのことーさようなら原美術館、現代アートとの出会い
1979年12月に開館した北品川の原美術館が、2021年1月11日、その40年あまりの歴史に幕を閉じ、閉館。私がここを初めて訪れたのは翌1980年、最終日に、シャッターがおり門が閉じるまでを見届けた。
最後の展示は、「光ー呼吸 時をすくう5人」。佐藤時啓さんの原美をモチーフにした「光ー呼吸」の新作が胸をうつ。
一般客としては、美術館を出る最後の一人となり、「今でると注目されちゃいますよ」と言われながら、すでにしまっていた扉を開けてもらって出るとき、ずらっと並んだスタッフの方達に、なぜか拍手で送り出してもらってしまった。
コロナ禍で、ずっと日時指定の完全予約制、最後の12月26日~ 1月11日までの予約開始 12月14日10時に、最終日午後の予約完了、5分後に、思いたってもう一度アクセスしようとしたら、全くつながらず、30分ほどしてつながった時には、もう予約終了だった。
1938年建造の原邦造氏の邸宅をお孫さんの原俊夫さんが、当時まだ日本では珍しかった現代美術館として甦らせた原美術館。今はもう、中庭を含む館内は基本写真禁止になっているし、すっかり「美術館」らしくなっているけど、昔は半円につきでたサンルームに籐の椅子があってすわってくつろげたし、作品が写らなければ写真も撮らせてくれた。1988年には、カフェダールができたけれど、開館当初は、中庭にほんの2つ3つおかれたパラソルとガーデンファーニチャー、頼むと、美術館のスタッフが奥からコーヒーなどを出してくれた(邸宅時の配膳室を厨房にしていたらしい)。
美術館というか、素敵な洋館にくつろぎにきているだけみたいだった。
(写真:1980年前半の原美術館内部)
そのころは、まだ、現代美術はあまりピンとこなくて、作品を観にというより、その場が好きで、通っていた。
ずっと後になって、現代美術館は、作品単体というか空間全体が楽しい、と感じ始めて、現代アートが面白くなってきたのだった。
原美術館は、コンテンポラリーアートと出会った場所だった。
そのころの原美術館で覚えているのは、ピエール・レイノーの「ゼロの空間」とアルマンの「なまごみ」。
「ゼロの空間」はサイトスペシフィックアート、つまり常設だったけれど、「なまごみ」はいつの間にかなくなっていて、ずっと気になっていた。なぜ、こんなに「なまごみ」がもう一度みたいのかわからなかったけれど、原美術館というと、この「なまごみ」と中庭のガーデンテラスで飲んだコーヒーを思い出すのだった。古き良き原美術館への想いなのかもしれない。
最後の展示
光―呼吸 時をすくう5人
今井智己、城戸保、佐藤時啓の作品と原美術館のコレクションから佐藤雅晴によるアニメーション、リー・キットのインスタレーション
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