美術館に行くと、今までと違うものが見えるようになるか?その17
オランジュリー美術館コレクション「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」 横浜美術館 2019年12月18日(水)
今日の一枚は、アメデオ・モディリアーニ「新しき水先案内人ポール・ギヨームの肖像」。
フランスの画商ポール・ギヨームは、画家のモディリアーニを支援していた時期があって、その頃に描かれた肖像のようです。
モディリアーニは、瞳のない(白眼の)女性の絵のイメージがありますが、このポール・ギヨームの肖像はちょっと違います。
とてもカッコよく描かれています。絵のなかには「新しき水先案内人」とか、彼への尊敬を示すような言葉が書き込まれています。
ポール・ギヨームは、新しき水先案内人と書かれるくらいですから、モディリアーニの将来や方向性に強い信念を持っていて、それを言って聞かせていたことでしょう。そんなポール・ギヨームの強い信念ある内面を描き出しているように感じます。
このポール・ギヨームと、妻のドメニカが築いた近代絵画のコレクションが、後にオランジュリー美術館に寄贈され(実際には、ポールの死後ドメニカが売却らしい)、今回来日したものです。
ルノワールの「ピアノを弾く少女たち」は、モディリアーニとは全然違うのですが、二人の少女が美しく和やかに描かれていて、ルノワールの優しい眼差しが伝わってくるようです。
同じ構図で描かれた作品がいくつかあるようですが、この作品は背景が描き込まれずに、サッと描かれています。結果的に少女が際立って、明るい雰囲気の絵になっているようです。
ルノワールは、この絵を晩年まで所有していたようですから、自身も気に入っていたのかも知れません。