美術館に通うと、今までと違う目を持つことができるか?(26)
『憧憬の地 ブルターニュ - モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷』
国立西洋美術館
2023年5月28日(日)
モネや黒田清輝もありますが、基本的にはゴーガンと、ゴーガンから影響を受けたポン=タヴェン派・ナビ派の絵が見どころです。
世界的には、ゴーガンはゴッホと同じくらい高く評価されているらしいのですが、日本ではゴーガンは、そこまでの人気はないように思われます。私にとっても、そこまでではありません。
ゴーガンの影響を受けたナビ派となると、ゴーガンとは違った印象を持っていて、ピエール・ボナールやポール・セリュジエなど、結構いいねと感じています。
今回の展覧会を見ながら、「印象派は好きだけど、その後のゴーガンはイマイチで、さらにその後のナビ派は好きって、我ながら、どういうことだろう」と疑問に思いました。
それで改めて考えたのですが、典型的なゴーガンはタヒチの裸婦的なイメージがありますが、このあたりのゴーガンの絵は、どぎつくて、ちょっと取っつきにくいのです。
浮世絵っぽいベタ塗りとか、目に見えるものだけでなく内面を表そうとする意識とか、ゴーガンの要素には理解できることが多いはずなのですが、色の組み合わせがどぎつくて、イマイチ共感できない、ということなのではないか。
その点、ナビ派は、色の組み合わせが、日本人好みだからかも知れませんが、共感できるのです。
ということで、今日の一枚は、ナビ派のポール・セリュジエ「急流のそばの幻影、または妖精たちのランデヴー」。全体的に秋のような色づかいの中、木々の向こう側の幻影のハッとするような美しさ。
題材や技法はゴーガンの影響を受けているのでしょうが、わたしの目にはゴーガン的には見えません。
そんなことを考えながら、国立西洋美術館の常設展も見て回りました。
国立西洋美術館自慢のモネの睡蓮は、やっぱりいいね。
ピエール・ボナールや、トーマス・ドニもいいと思うんですよね。
今回、キース・ヴァン・ドンゲンも印象に残りました。名前を覚えておくことにします。