"個人投資家に機会損失は無い"
別記事で書いたように、資産形成が「雪だるま」のようであるなら、雪は溶けずに積もる必要があります。
しかし、温かいところでは雪は積もってもすぐ溶けてしまいます。
すなわち、資産は溶かしてはいけません。
「損を出さない」ということが大事です。
それは当然ですが、
「負けない」ことよりも「勝つ」こと、
そして、「より快く勝つこと」を指向し、
私も「逃がした魚は大きい!もったいない!」とか、
「もうちょっとイケたな」と思うときがあって、
自分の投資ルールを変えてしまったことがあります。
「もうちょい粘ってみよう」とだらだらステイしたり、
逆に退却したあとも、未練たらしく値動きを見て、
「あー、もっと留まっていたら良かったなー。チャンス逃したなぁー」と思ったりしたこともあります。
でも、あるときふとした瞬間、こう思いました。
私は世界のすべてのチャンスを見ているわけではないんだと。
(機関投資家は必ずしもそうでないかもしれませんが)少なくとも大半の個人投資家は、世界中のすべての金融商品を見ているわけではない、という事実です。
今この瞬間にも、世界のどこかで、儲けられるチャンスが生まれていて、それで儲けている人がいて、毎時毎分、私はそれを見逃しているのです。
つまり、「人生、機会損失だらけ」です。
今たまたま、目の前にあり手を伸ばしたら届きそうだっただけのチャンスに、気づいただけ。
それは世界のチャンスのほんのひとつ。
本当にたまたま、今、近くにあった「そのチャンス」に気をとられ、その一瞬の気の迷いで、ルールから外れてしまったり、無用なリスクをとってしまったりしてはいけないのです。
マーケットは巨大です。すべてに通じることはできません。
少なくとも、資金力にも情報収集力にも限界のある個人投資家には、世界中のチャンスをとらえることなどとってもできません。
自分の分野を選び、そこに、腰を据える必要があり、そこで成績を残せばそれで十分だと思うべきです。
自分が安値で買って高値で売り抜けて喜んでいるなら、
買った時、誰かは売ってしまっていて、
売った時、誰かは買ってしまっているわけです。
マーケットとはそういう場だということを改めて思うと、
「今日も損を出さなかった」、それで十分です。
そして、資産形成にまた一歩、近づいたことを確認できれば、それでいいのです。
なので、ちょっと欲に気持ちがなびいたときこそ、個人投資家に機会損失なんて言葉はないのだと、私は、自分に言い聞かせて、日々謙虚にトレードに向き合うようにしています。