🚩自動売買の大事な"安全性"の話~有事だからこそ~ ['23/11 新方式]

自動売買のロジックを評価するときに、
どれだけ儲かるかより、
どれだけ悪いケースが起きるのかについて、よくよく見る必要があります。

FXのEA(自動売買)では、
こういうときは「最大DD(ドローダウン)」を見ることが多いです。

ただ、私は日経平均先物で自動売買をしていますので、この点を視野に入れて、確認しておきたいと思います。

そもそも…

そもそも日経平均先物(株価指数先物)については、
証拠金取引であることを再確認しておきましょう。

先物取引の本質は、あらかじめ決められた価格で決済することを約束しているものです。
この約束の確証のため、一定の証拠金を差し入れる必要があります。
※以下、日経225miniの証拠金が15万円/枚としたとして話を進めます。

例えば、
日経平均が30000円だとしたとき、
本来、日経225mini5枚を取引するには、
30000(円)×100(売買単位)×5枚=1500万円
となり、
こんなに大きな金額を取引していることになります。
まずこの事実は、ちゃんと知っておく必要があります。

この1500万円の取引を、
75万円(証拠金15万円×5枚)を差し入れることで実現しているのです。

すごいレバレッジですが、
この証拠金が不足した場合、追加で差し入れなければ、取引を継続することはできません。

つまり、自分のロジックを走らせている最中、証拠金はいくらになっているかに留意し続けなければならないのです。

特に、最大ポジションのときに、証拠金はいくらになっているか、
それは大丈夫なのか、が、
このマネーマシンが崩壊しないかの基準となります。

【要確認】証拠金の新方式

この証拠金については、
2023年11月6日（月）に「SPAN方式」から「VaR方式」へ変更となっています。

多くの書籍やサイトでは「SPAN」という表記が残っていますので、注意が必要です。

いずれにしても、
取引に必要な証拠金は、取引会社によって異なります。
実際の証拠金額を必ずご確認ください。
また、証拠金には余裕を持たせることが必須ですので、方式の詳細やちがいについては、ここでは言及しませんが、VaR方式の特に重要な点は、
複数ポジションの証拠金額を自分で計算することはできないということです。
これまでと異なり、保有するポジション全体に対して取引所の定める方法により証拠金額が計算されるため、証拠金シミュレーション画面をよく見る必要があります。

詳しくは下記をご参照ください。

新証拠金計算方式（VaR方式）とは | 株式会社日本証券クリアリング機構

では、以下、マネーマシンが崩壊しないかの基準について、いくつか考えていきましょう。

🚩 重複サイン

仮にロジックが、1枚運用ではなく、何枚も積み重ねるスタイルだとしましょう。
この場合、証拠金のシミュレーションは相当重要になります。

具体的にはこういうことです。
あるロジックを、1回のサインに対しミニ5枚で運用することとします。(1ロット=5枚、といったイメージです)
さらに、このロジックは、チャンスがあれば同種のサイン(買いなら買い)を重複して出すことがあるとします。
すると、仮に5回重複してサインが出た場合、ミニ25枚を同時に建てることがありえるということになります。

このケースでは
ミニ1枚あたりの証拠金が仮に15万円とすると、15万円×25枚=375万円
となってしまいます。

想定以上に多額の証拠金が必要になるということです。

🚩 証拠金の変更

不測の事態により、証拠金が跳ね上がることがあります。

例えば過去の証拠金の履歴の中から、大きく跳ね上がったタイミングを見てみましょう。

※リーマンショックの直前期との比較
2008/09/22～2008/09/26 　420,000
2008/10/27～2008/10/31 　1,200,000

※東日本大震災・原発事故時
2011/03/07～2011/03/11 　270,000
2011/04/11～2011/04/15 　1,050,000

※感染症 緊急事態宣言
2020/02/25～2020/02/28 　720,000
2020/03/30～2020/04/03 　1,620,000

出典 プライススキャンレンジ（SPANパラメーター）/ SBIネオトレード証券
https://www.sbineotrade.jp/225/margin/price-scan-range.html

このような災害級の不測の事態を横にらみしつつ、
仮に暴騰・暴落において、2倍と設定しておきましょう。
すると、ちょうど運悪く、先ほどのケースと重なったとすると
必要証拠金は、30万円×25枚=750万円
となってしまいます。

まして、戦争・紛争、災害などではこの限りではなくなってしまいます。

🚩 値洗い

ここに、さらに、
保有建玉の単価が時価評価されることによる値洗いの影響を加味します。
含み損益は証拠金へ反映されますので、値洗いによって証拠金不足の発生の可能性はあります。

したがって、長期間にわたり粘りに粘って、結果プラスで終えるようなロジックであっても、その間の含み損で、ロジックが崩壊する可能性があるのです。

"最大DD"ではありません。"最大の含み損"を確認する必要があるのです。

まとめ

以上、先物での自動売買での注意点として、最大DDだけでない、「証拠金」にスコープを当てて考えてみました。

極端に悪い場合も考える必要があるのですが、現実問題としてどこまでを想定するか、そこはまさに個人次第です。
ただ私の感覚では、
取引を開始する時点で、常時、3分の1程度の証拠金となるようポジションを抑えておく
ことを目安としておくとよいと思っています。

参考になりましたら幸いです。