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2024年9月前半日経平均相場の振り返り



①    日経平均チャート

9月前半相場を振り返ると、日経平均株価は8月後半の小幅な右肩上がりから一転3日から11日までの7営業日連続で下落した。
7日間の下げは3081円(8%)に達した。
外国為替市場で円相場が急上昇するなかで、外需株への売り圧力が強まった形だ。

②    為替チャート

9月に入ってから、円高・ドル安と日本株安が再び連動するようになった。
特に第2週目は円の動向に合わせて株価指数先物を売る、短期筋とみられる動きが活発であった。
11日には一時1ドル=140円台後半まで急伸した。

③    日銀の中川審議員

今年1月以来、約8カ月ぶりの水準となる、これは日銀の中川順子審議員が秋田市で講演し、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、金融緩和の緩和度合いを調整していく」などと述べ、今後の追加利上げに前向きな姿勢と受け止められた。

④    FRB利下げ

一方で、米国では米連邦準備理事会(FRB)が今月17~18日にある会合で利下げに踏み切るとの見方が強く、焦点は利下げの幅に移っている。
中川氏の発言を受け、日米の金融政策の違いが浮き彫りになり、日米の金利差が縮小するとの思惑から円買いドル売りが進んだのである。

⑤    騰落銘柄

日経平均が7日続落した間の構成銘柄の騰落をみると、下落率のトップは太陽誘電で21%の下落。
ディスコやレーザーテック(いずれも20%安)、川崎重工(19%安)など外需銘柄が上位を占める。
上昇率の上位はZOZO(7%高)や花王(5%高)など内需銘柄が並ぶものの、力強さには欠いている。

⑥    裁定取引

さらに裁定取引に伴う現物株の買い残高は、東京証券取引所が11日発表した6日時点で1兆1184億円と1月以来8カ月ぶりの少なさだった。
前の週と比べて4548億円減った。
このように裁定取引の解消に伴う現物株売りも後押しした格好だ。
しかし12日の東京株式市場で日経平均株価は8営業日ぶりに反発し前日比1213円高の36833円で終えた。

⑦    米エヌビディアCEO

米半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者はゴールドマン・サックス・グループのテクノロジー会議に出席し、その中での発言を好感し日米でハイテク株を買い戻す動きが広がったものである。
ここに来て「二番底」への懸念が台頭して来ただけに、一部は払拭されたようだ。
 さて今月も話題として2つ紹介しておこう。

⑧    ピック話題1(サカナAI)

1つ目はサカナAI(東京・港)についてだ、サカナAIとは2023年に米グーグル出身のデビット・ハ氏とライオン・ジョーンズ氏、外務省出身でメルカリ執行役員などを務めた伊藤錬氏の3氏が創業した、生成AIの開発会社だ。
そのサカナAIは今回米エヌビディアから資金調達したと発表した。
これによりサカナAIはテクノロジー業界で奪い合いになっているエヌビディア製の高性能な半導体を確保し、日本発の生成AIの開発に弾みをつけることになる。
サカナAIは2024年1月にNTTやソニーグループなどから資金調達しているが、今回の調達でサカナAIの企業価値の評価額は11億ドル超に膨らむ。
日本で創業した企業としては最速でユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)到達となる。今後の活躍に期待したい。

⑨    ピック話題2(逆イールド解消)

もう一つは米国債券市場で10年債の利回りが2年債を下回る「逆イールド」が2年ぶりに解消したことだ。
以前、逆イールドが発生したときにレポートしましたが、解消となりました。
セントルイス連銀が公表するデータによると、米10年債利回りから2年債利回りを引いた利回り差は11日時点で0.03%だった。
10年債と2年債の利回り差は2022年7月以降マイナス圏が続いてきたが、8月下旬に散発的にプラス圏に転じ、9月6日以降はプラス圏で推移している。
以前より米景気後退局面では、景気後退入りの数か月前に逆イールドが解消するなど、逆イールドは景気後退入り直前に解消することが多い。
景気後退を前にFRBが大幅に利下げに動くことで短期金利は低下する。
半面、将来の景気過熱を見越した利上げが意識され、長期金利の低下が抑えられることで解消するとされる。
ただ今回の逆イールド解消はそう長くは続かないとの見方も少なくない。
景気減速はあるが、景気後退を示すような悪材料はない。
行き過ぎた利下げの織り込みが修正されれば、2年金利が上昇し徐々に逆イールドに戻りやすい。というものだ。
再び逆イールドのもどるのか、解消状態が続くのか。
米景気の先行きを見通す上でも、市場の警戒が続きそうだ。
 

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