仮想通貨・暗号資産とは何か?
仮想通貨・暗号資産とは何か?
仮想通貨が通称となっているように思いますが、資金決済法の改正(令和2年5月1日施行)により、法令上、「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されているようです。本記事では基本的に通称に従い仮想通貨と呼びます。
仮想通貨とはなにかを、日本銀行は以下のように説明しています。
「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、次の性質をもつものと定義されています。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
引用:日本銀行
必ずしも暗号化されている必要なないように思われます。現在はビットコイン等の仮想通貨は、実際に通貨としてものの購入ができるようになってきているために、仮想通貨から暗号資産へと名称を変更したのかと思います。
仮想通貨の種類
仮想通貨はcoindeskによれば3,000以上の種類があり、そのうちの13種類が日本で買えるようです。(2020年5月15日現在)
参考:coindesk
ビットコイン、イーサリアム、テザーが時価総額のトップ3となっています。
ビットコインの特徴から仮想通貨の特徴を知る
仮想通貨は前述の通り、3,000以上ありそれぞれに異なります。そのため一口に仮想通貨はどのようなものかを説明することは困難です。そこで、ここでは仮想通貨のうち、特に時価総額の高いビットコインとイーサリアムの特徴を掴むことで、仮想通貨の理解を深めたいと思います。
まずビットコインですが下表のような特徴を持っています。さらに特徴を独断で絞り込むと以下かと思います。
システムが発行(国や政府、企業が管理しない)
発行上限が決まっている
送金手数料が少額
取引履歴が公開
参考:http://www.jasfp.jp/ishida.pdf
送金手数料が安いという点でビットコインは優れた通貨と言えるかと思います。また、政府の保障がないために、信用度が低いとされることがありますが、反対に政府による操作等の影響を受けないというメリットもあり、国が傾いた時などに買われることもあります。発行上限があるので大量発行によるインフレの発生はおきない、というメリットもあります。
ちなみにビットコインを大雑把に説明すると、ブロックチェーン技術を利用したデジタルな通貨です。ビットコインは取引履歴をブロックという単位でまとめ、これをチェーン状にして記録します。この記録は複数のサーバに行います。
人間に例えると、みんなに「Aさんに100円をあげた」と伝えることで、100円はAさんのお金だとされる、といった感じの仕組みです。ちなみに、みんなが知ってるので、その100円を取るのが難しい、というのがビットコインのセキュリティのイメージに近いかと思います。
ところで、ビットコインの話においてよくマイニングという言葉が出ますが、これは先ほどの「取引履歴をブロックという単位でまとめ、これをチェーン状にして記録」する作業のお手伝いであり、これを行うと対価としてビットコインをもらうことができます。下の図がわかりやすいかと思います。
出所:ZUU
このマイニングは無限にできるわけではなく、上限があります。そのため、通貨のインフレが起こらないのです。実際の、金や銀にも採掘(マイニング)の上限があるのを模した仕組みとなっているのです。
ちなみにビットコインが全て発行されたあとは、マイニングはビットコインの取引手数料の対価として行われることとなるようです。
参考:コインテレグラフジャパン
なお、ビットコインは仮想通貨において時価総額が一番であるのみでなく、その他資産と比べても下図のように非常に巨大な時価総額となっています。
ビットコインの時価総額は全ての暗号資産(仮想通貨)の時価総額の6割を占める、と言われています。
本記事では、省きますがビットコインについてはクジラと呼ばれるビットコインの大量保有者の問題や、マイニング時に消費される電力が大きすぎるといった批判があったり、またテスラをはじめ多くの企業がデジタルゴールドとして、金や現金の代わりとなる新たな安定/投資資産とする目的として買い始めているなど、多くのニュースがあります。
参考:Coindesk
イーサリアムとは?
ビットコインに次ぐ時価総額となっているのがイーサリアムです。Coindeskは以下のようにイーサリアムを説明しています。
簡単に言えば通貨としてのみでなく契約行為にもできるもので、取引期間の短縮化や人件費の削減、サーバ費用の削減に繋がるとされています。
ビットコイン(BTC)が決済に利用される仮想通貨であるのに対して、イーサリアム(ETH)は分散型アプリケーション(Dapps)のプラットフォーム内で使用される通貨として開発された経緯がある。イーサリアムの独自の特徴の一つとして、スマートコントラクト機能が挙げられる。スマートコントラクト機能とは、簡単に説明すれば、契約の自動執行のことであり、条件を満たした場合に自動的に契約を実行するための仕組みのことを指す。契約情報はブロックチェーン上の書き込まれるため、改ざんされるリスクが少なく、契約の履行に第三者を介する必要がないため、コスト面でも競争力があると言われている。
引用:coindesk
最近話題のNFTですが、Coindeskによれば、NFT取引の大半は、イーサリアム(ETH)で行われており、例えば、Beepleの6900万ドルのNFTに対する支払いは、NFTファンド「メタパース(Metapurse)」の匿名の創業者であるMetakovanがイーサリアムで行ったようです。
参考:Coindesk
NFTが何かと言うと、「暗号資産(仮想通貨)の基本技術として知られるブロックチェーン(分散型台帳)に存在するデジタル資産」であり、「NFTの作品は誰でも見ることができるが、購入者は正式な所有者としてのステータスを手に入れ、デジタル上で自慢する権利のようなものを得る」ことができます。
引用:ロイター
IMFは「デジタルマネーはネットワーク効果で普及する」と報告しており、イーサリアムは時価総額でビットコインに劣っているために、この点では不利であるものの、スマートコントラクトという明確な強みがあり、今後の価値の向上が期待できるところではないかと思います。また、トウシドリはイーサリアムの方がより広くブロックチェーン技術を活用しているという点でイーサリアムに強く期待しています。
参考:コインテレグラフジャパン
その他の仮想通貨
その他の仮想通貨も紹介すると、時価総額3位のテザーは米ドルとペッグ(為替レート固定)された仮想通貨です。送金コストが比較的に少額であるメリットを享受しつつ、米ドルとペッグされているために、ビットコインなどのように急激な資産が増減する、というリスクを回避することができます。
他にはリップルが有名かと思います。ここの最大の特徴は中央集権的であり、いち企業が管理しています。そのため、人為的管理が、強みでもあり、弱みでもあります。リップルにはSECによる訴訟問題がある点については留意がいるかと思います。
参考:coindesk
その他の仮想通貨についても知りたい場合はこちらのサイトが参考になるかと思います。
仮想通貨への投資方法
仮想通貨への投資方法は大きく2つが現在あるかと思います。
①仮想通貨自体へ投資する方法と、②仮想通貨と関連する企業へ投資する方法です。
ちなみにカナダではすでにETFでの投資も可能なようです。
参考:Bloomberg
①の場合は、仮想通貨取引所/販売所にて投資することができます。取引所/販売所では大きく手数料等が異なるので注意が必要です。
以下のサイトにて様々な仮想通貨取引所/販売所や投資の方法が説明されています。なお、基本的に利益が20万円を超えると確定申告が必要な点や、取引所/販売所では何度か流出事故などが起きている点にはご注意ください。法整備などがまだ十分にされていない、とトウシドリは認識しています。手数料やスプレッドの仕組みなど、初心者には分かりにくいものも多くあり、気軽に始めるような投資商品ではないと思っています。サイバー攻撃やシステム障害など様々なリスクがあり、そのリスクは株式以上ではないかと思います。
②の場合は、仮想通貨と関連する企業への投資を行い間接的に仮想通貨へ投資する方法です。以下のようなタイプがあります。
仮想通貨を大量に保有する企業
仮想通貨をマイニングする企業
仮想通貨を利用したビジネスを行う企業
など
具体的にはブロックチェーンまで含めて考えると、MARA, CLSK, MSTR, CAN, TRIT, EBON, SI, RIOT, WKEY, EQOS, SQ, PYPLなどがあります。
仮想通貨の注意点
仮想通貨の注意点は数多くあります。仮想通貨の多くは、価値を保証する主体がありません。0円にもなりうるものです。また、取引所/販売所のシステムが脆弱である場合も多く、サイバー攻撃やシステム障害のリスクも比較的に高いです。
それから、ギャンブル的にマイナーな仮想通貨への投資を行うケースもよく見られます。リターンが非常に大きい場合もありますが、前述の通り仮想通貨など通貨の価値はネットワーク効果により高められる側面が強くあります。新興、弱小通貨はこの点で非常に不利な立場にあるということを留意すべきかと思います。そもそもでいうと、仮想通貨というものはオープンソースでその技術が公開されているので、個人でも簡単に作れるものであり、しかも仮想通貨作成のプラットフォームまで提供されています。トウシドリが勝手にコインをつくり、それを仮想通貨として流通させる、といったことが可能なのです。こちらで仮想通貨の作り方が説明されています。
また、基本的に利益が20万円を超えると確定申告が必要なので、忘れずに確定申告をしましょう。なかなかに手間です。
仮想通貨の世界は複雑です。ここまでで説明した以外にもハードフォーク・ソフトフォークと呼ばれるアップデートの話もあります。また、通貨の発行は国家の主権そのものでもある国もあり、仮想通貨は国家の主権を脅かす存在として捉えることもできます。インドのようにビットコインを禁止している国もあります。さらに、今までは、仮想通貨の強みの一つに低い送金コストがありましたが、この強みは薄れつつあります。中国が通貨のデジタル化を国家主導で進めており、多くの企業もそれに協力しています。そして、日本でもデジタル化の計画はあります。
理解していようがいまいが、値動きには関係ありませんし、理解したからといって儲かるわけではありません。しかしもし投資する場合は、トウシドリとしては、よく仮想通貨を勉強したうえで仮想通貨投資にチャレンジしてもらいたいと思っています。
最後に
オススメはしませんが、参考情報として、トウシドリはビットコインとイーサリアムへ投資しています。また、SQやPYPL、MARAを通して間接的投資も行なっています。
長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
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もしご要望多いようであれば、仮想通貨の続編も書いていきたいと思います。
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