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スターバックスの日本進出〜第17回勉強会〜

こんにちは!
インターン生の星野です。
今回からの新しい企画として、おすすめの本を紹介する勉強会を始めました!おすすめの本を共有し合うことで視野や興味分野がさらに広がっていくことを期待しています。

本の紹介

さて、第1回本紹介勉強会で取り上げた書籍はこちらです。スクリーンショット 2021-10-29 17.19.18

「日本スターバックス物語」(著者:梅本龍夫)

この本は、スターバックスの日本進出の舞台裏を描いています。日本にどのように進出し、拡大を図ったのかということが物語的に書かれており、立ち上げ期の奮闘や興奮が伝わってくる一作です。さらに、ただ進出の経緯を紹介するだけでなく、どのような戦略が立てられていたのかなど経営の裏側も垣間見ることができるのもこの本の魅力だど感じています。

後ほど詳細は説明しますが、進出当時日本ではアメリカのコーヒーが通用する訳がない、と考えられていました。しかし、今となっては街のあらゆる場所にスターバックスはあります。実際に私たちインベストメントブリッジのオフィス近辺にも2店舗あり、どちらの店舗も多くの場合席が埋まっています。スターバックスが日本で大人気であることは多くの方が納得してくださると思います。進出が難しい日本市場でどのようにして人気を博すようになったのでしょうか。

今日はこの本で紹介されている日本進出の際にスターバックスが行ったことを3つピックアップして見ていきたいと思います。

企業紹介

本題に入る前に、スターバックスの日本進出に関わった企業について見ていきしょう。

まず、スターバックスコーポレーションです。

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スターバックスコーポレーションは2020年度の時点で世界に3万店舗以上も構えており、非常に大きな規模でオペレーションをしています。日本には2020年度の時点で1,464店舗構えており、全都道府県にあります。また、同社はナスダックに上場しており、時価総額は飲料の企業としては世界で4番目に大きいです。(2021年11月18日時点)

そして、スターバックスの日本進出に欠かせないもう一つの企業がササビーリーグです。実はスターバックスコーポレーションはササビーリーグと合弁でスターバックスジャパンを設立して日本進出を果たしています。ササビーリーグは衣食住のオリジナルブランドやアライアンスブランドを展開する会社で、皆さんがおなじみのブランドも手掛けています。一つの例としてシェイクシャックが挙げられます。同社はシェイクシャックと独占契約を結んでおり、日本で開始させてから現在に至るまで運営も手掛けています。他にもアニエスべーやフライングタイガーを海外から日本に持って来ました。オリジナルブランドとしては、アフタヌーンティーやアコメヤなどがあります。

日本の市場環境

では、スターバックスの日本進出についてみていきましょう。先ほど少しご紹介した通り、当時の日本は決してスターバックスが入りやすい市場ではありませんでした。その理由としては主に2点挙げられます。

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1点目はアメリカンコーヒーに対する悪印象です。当時アメリカンは浅煎りの豆に多めのお湯を淹れたまずいコーヒーと考えられており、日本のコーヒーの方が美味しいということが常識として考えられていました。

2点目は日本の安いコーヒーチェーン店文化です。日本では80年代以降、(1)ファミレス・ファストフード店の浸透、(2)家庭でも美味しいコーヒーを淹れられる機器の出現、(3)顧客による利便性と効率性の追求の主に3点を背景として、セルフサービス型のチェーン店が急成長していました。セルフサービス型のチェーン店は非常に価格が低く、業界の認識としてはコーヒー1杯200円が価格の限度でした。実際にドトールは1杯180円のスタンダードを確立していました。

スターバックスはアメリカ発のコーヒー店であり、かつ、こだわりの体験を届けるためには200円ではコーヒーを提供することができませんでした。そのため、日本は非常に進出するのに難しい市場であったと考えることができます

潜在顧客の発見

では、いかにして日本市場に進出したのでしょうか?

ササビールーグのスターバックス立ち上げプロジェクトチームは、スターバックスが上陸する前に消費者調査を実施しました。この調査では、スターバックスの店舗での体験を疑似体験できるイメージボードや説明文を様々な年代の男女に見せました。そして、このアメリカ発のお店は日本のコーヒーチェーンと似ている業態であることを伝えた上で魅力を感じるか否か、値段はいくらだったら利用するかなどを聞きました。

調査の結果、当時コーヒーチェーン店の主要顧客であった男性の勤め人はコーヒー1杯に200円以上払いたくないという評価でした。一方で、今までコーヒーの主要顧客ではなかった女性からはポジティブな評価を得られました。1杯300円、400円、さらには500円以上支払っても良いとした方が60%もいました。非常に厳しいと考えられていた日本市場にスターバックスのコンセプトに共感し、良く評価してくれる「新しいタイプの顧客」を立ち上げプロジェクトチームは発見したのです。

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出店戦略

そして、スターバックスの出店戦略では、A商業地域のB地点を狙うことコンビニエンスストアの出店を参考にしました。
より詳しくそれぞれについて見ていきましょう。

ササビーリーグはこれまでブランドをスタートするにあたってA商業地域のB地点を狙った出店を行ってきていました。A商業地域は、銀座や表参道など潜在顧客が多くいる地域です。 そして、B地点は大通りなどの一本裏通りのことです。B地点は人通りが少ないため、大通りに比べるとより良い家賃などの条件の物件が見つけられます。ただ通常人通りが少ない一方、「半歩先」を求める客は、B地点にお店を構えた場合でも噂を聞きつけて来店してくれます。そこで、スターバックスの第一号店のロケーションとしても銀座4丁目(A商業地域)の松屋・三越の1本裏通り(B地点)の物件を選びました。

また、米国のスターバックスは「ドミナント戦略」を出店戦略としてとっていました。「ドミナント戦略」は、ある地域に集中的に出店をして競合他社を圧倒するという作戦です。日本でドミナント戦略を行なっている代表的な主体としてコンビニエンスストアがあります。たしかに、同じコンビニエンスストアが非常に近い距離にたくさんあることはよく見受けられますよね。日本でもスターバックスをドミナント戦略に従って出店していくにあたって、ドミナント戦略を実施して街中に店舗が溢れてもブランドが廃れない方法をコンビニから学び、参考にしたようです。

違いを創る

最後に、スターバックスは「やらない」ことを決めて顧客を選び、「違いを創る」ことを行ってきたことがこの書籍で紹介されていました。

その一例として取り上げられていたのが、禁煙の取り組みです。
今となってはスターバックスは禁煙というイメージが強いですが、実は出店開始当時スターバックスの店舗は分煙でした。

当時の日本は喫煙率が非常に高く、特にコーヒーの主要顧客とされていた男性の喫煙率は57.5%と過半数を超えていたのです。そのため、禁煙にすることは男性顧客の過半数を失う可能性を伴う決断だったのです。

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では、なぜ禁煙にしたのでしょうか。

それは、スターバックスが大事にしていたスターバックス体験を優先したからです。
タバコを店舗で許可しているとスターバックス体験の重要な一部分であるコーヒーの芳香がタバコの匂いで消されてしまっていました。

そこで、本当に大切にしたいこと、ブランドのコアバリューを最優先する決断を下したのです。

また、禁煙にすることでタバコの煙を苦手に感じている女性顧客には魅力的な場所になりうる点も禁煙に踏み切る後押しとなる観点でした。

最初に、ターゲットとしていた若い女性に禁煙を魅力的と感じてもらい、スターバックスを利用してもらえれば、続いて若い男性もタバコなしでコーヒーを楽しむことを歓迎するようになるのではないかと考えました。

スターバックスは3号店から当時では珍しい完全禁煙に踏み切ったのです。
このように、スターバックスは「やらない」ことを決めて、顧客を選ぶ行為を行ってきたのです。

終わりに

今回のノートでは「日本スターバックス物語」をピックアップしてご紹介いたしました!

本の中では、今日紹介した内容以外にもササビーリーグとスターバックスの出会いやフォロワーシップなどについて詳しく書かれています。

「この本を読みたい!」と思った方は是非スターバックスでコーヒーを片手にこの本を楽しんでみてください!


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