筋の良い仮説の作り方
こんにちは!今回は、「筋の良い仮説の作り方」というテーマでお話しします。コンサルタントとして、クライアントに価値ある提案を行うためには、効果的な仮説構築が不可欠です。ここでは、仮説と仮説思考の概念、価値ある仮説とは何か、そして良い仮説を作るための具体的な方法について解説します。
仮説と仮説思考とは?
まず、仮説と仮説思考の概念について改めて確認しましょう。
仮説とは
仮説とは、情報収集の途中や分析作業以前にもつ「仮の答え」のことです。問題の解決に向けて、最初に仮の答えを立て、それを基に情報を収集し、検証していくプロセスを指します。
仮説思考とは
仮説思考とは、情報が少ない段階から常に問題の全体像や結論を考える思考スタイル、あるいは習慣のことを指します。戦略コンサルタントは、ファームに入社後に徹底的に仮説思考を叩き込まれます。短期間で経営陣に対して面白いメッセージを出すためには、網羅的に調べる(=網羅思考)だけでは時間が不足するため、最初に「仮の答え」を書き、それを検証していくことで最短で答えに辿り着けるように進めていきます。
良い仮説とは?
価値ある仮説とは、「相手が興味があることに対し、相手が知らない視点を提供すること」です。例えば、相手が既に知っている当たり前の話をしても、全く面白くありません。また、仮に相手が知らないことでも、関心が無い話をしてしまうと「だから何?(=So What)」という反応をされてしまいます。
どうやって良い仮説を作るのか?
良い仮説を作るためには、「圧倒的なインプット」が必要です。戦略コンサルタントの世界でも、経験のあるパートナーと若手では、仮説の筋の良さが圧倒的に異なります。パートナーは、これまでのプロジェクト経験や幅広い業界での勝ちパターン(=アナロジー)から、特定のイシューに対して過去の知識を適応できます。一方、若手メンバーはそのようなインプットが無いために、ただの思い付きになってしまいます。
したがって、仮説思考を何のインプットも無しに効率的に進めるというのは間違った考えです。若手は経験が無い分、業界紙や書籍をDay0で読み込み、短期間で猛烈なインプットを行った上でプロジェクトに臨まないと良い仮説は出てきません。
仮説構築力を鍛える方法
マインドの視点
間違ってもいいから仮の答えをもつ 情報収集を行うものの、網羅思考になり情報の渦に溺れないように時間を切って、その時点の答えを常にもつようにすることが重要です。これができないと、スタンスが無い、や「So What?」と言われてしまいます。
先輩コンサルタントの中には、毎晩自分の仮の答えを1日のスタディを通じてブラッシュアップすることを習慣にしている人もいます。
スキルの視点
日常的にビジネスモデルをインプットし続ける 自分の担当する業界紙や新聞、四季報などに徹底的に触れておくことが重要です。情報を収集するだけでなく、どのようなメカニズムで動いているのか、なぜそのようなことが起こっているのかという視点で整理し、自分の思考の引き出しとして整えておきます。
元ボストンコンサルティンググループ、そしてドリームインキュベーターの社長を務めた山川氏は、著書「瞬考」の中で、良い仮説を出すためには以下が重要だと述べています。
徹底的に自分は四季報を頭に詰め込んだ。そうすることで、他のコンサルタントよりも多くの会社のビジネスモデルを知っていて、それが良い仮説を作るのに役立った。
四季報を詰め込むのは一例ですが、圧倒的にインプットに触れ続け、それを「メカニズム」として整理し、実際に仮説構築に適用していくことで仮説構築力が上がっていきます。
まとめ
筋の良い仮説を作るためには、仮説思考を身につけ、情報収集の途中や分析作業以前にも仮の答えを持つことが重要です。価値ある仮説を提供するためには、相手が興味があり、かつ知らない視点を提供することが鍵です。また、圧倒的なインプットを行い、ビジネスモデルを理解し、常に仮の答えを持つ習慣をつけることで、仮説構築力を高めることができます。
これからも、皆さんにとって役立つ情報を発信していきますので、どうぞお楽しみに。
BizInvestor
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