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中国は、デジタル人民元の邪魔になるもの(ビットコイン、QR決済)を許さない説
中国では、来月に開催されるオリンピックに合わせて、デジタル人民元を発行するようです。
「デジタル人民元に競合するものを規制しているのでは?」と言う観点から記事を書いています。
そもそも、デジタル通貨とは
一般に「中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)」とは、次の3つを満たすものであると言われています。(1)デジタル化されていること、(2)円などの法定通貨建てであること、(3)中央銀行の債務として発行されること。
上記3つを満たすものです。
デジタル通貨のメリットは「中央銀行の債務として発行されること」です。
たとえば、ビットコインなどの仮想通貨は、裏付けとなる資産がないので、資産の変動が大きくなります。
その一方で、デジタル通貨は、中央銀行による資産の裏付けがあることで、価値が安定します。
また、硬貨や紙幣を発行・管理するコストがかからない点もメリットです。
デジタル通貨のデメリットは、国家に決済情報を把握されてしまう点です。
北京オリンピックにデジタル人民元が発行されると、世界で2番目にデジタル通貨を発行した国となります。
ちなみに世界で初めて、デジタル通貨を発行した国は、バハマです。しかし、発行してから1年経っても、普及してはいないようです。
バハマのデジタル通貨、発行1年で普及せず 促進策課題-日経新聞
中国はなぜデジタル通貨の発行を急ぐのか?
資金の流れの把握したい
2020年 10月に開催された上海外難金融サミットで人民銀行デ ジタル通貨研究所長は、「デジタル人民元の中央集権的管理によりマネーロンダリングやテロ資金供与など の違法犯罪行為を防止し、取り締まることができる。」 と述べた
デジタル通貨でデメリットとして、「国家に決済情報を把握されてしまう」と前段で記載しました。
もちろん、国にとって個人あるいは会社の決済情報を把握するのはメリットとなります。
特に中国は、監視社会と言われており、町中にある監視カメラを通じて、当局が、人の動きを監視しているそうです。
そのような監視社会システムをより強固なものにするために、デジタル人民元を利用したいのでしょう。
人民元の国際化
さらに、中国が一帯一路国をベースに、単に経済的な結びつきにとどまらず、政治上、安全保障上のブロックを形成していく場合には、そうした国に対して、人民元の利用を半ば強制していくことが考えられるのではないか。中国を盟主とした連合体として、中国経済圏、人民元通貨圏を形成していくのである。
一帯一路と呼ばれる中国が推進する広域経済圏構想があります。これは、アジア、ヨーロッパ、アフリカなどの国に、インフラ投資などをする一方で、親中国圏を広げようという狙いがあります。
それらの国に、デジタル人民元を使ってもらうことで、経済的結びつきを強化する目論見があると考えられます。
デジタル人民元の邪魔になるものは潰される
ビットコイン
2021年9月にビットコイン全面禁止方針を打ち出しました。11月には企業によるマイニングを禁止しました。
これは、大量の電力を消費するマイニングが、中国当局の掲げる「カーボンニュートラル」の方針と対立することが理由として報じられることが多いです。
ビットコインを禁止する狙いとして、デジタル人民元が中国で普及するのにあたり、少しでも邪魔になるものを排除したかったと考えることもできます。
QR決済
中国では、アリババグループのAlipay、テンセントグループのWeChatPayがモバイル決済手段として大きなシェアを占めています。
経済アナリストのLinghao Bao氏は、「中国の消費者はWeChat PayとAlipayにどっぷりと漬かっているので、新しいモバイル決済アプリに切り替えるように説得するのは現実的ではありません」と述べています。
デジタル人民元を普及をする上で、大きな壁になるのがアリババとテンセントが運営するQR決済になります。
既に、広く国民に使われているQR決済を禁止すると、国民から反発が起きてしまいます。
反発を避ける為、QR決済を禁止するのでなく、アリババやテンセントなどに規制を課すことで、デジタル人民元の普及への布石をうっていると捉えることできます。
規制する理由は、あくまでもアリババやテンセントなどの独占的行為により、消費者の利益が失われることとしています。
デジタル人民元の普及を考えると、2021年にアリババとテンセントが規制の対象になったことは不思議なことではないでしょう。
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