「損切り必要ない」を信じたら、損する
損切りする目的とは
損切りの目的は、大損失を避けることにあります。
投資をしていると、損をすることがあります。それは、別の取引で取り戻すことができます。
しかし、大損してしまうと、それを取り戻すのは、難しくなってしまいます。場合によっては、市場から退場といったケースも考えられます。
投資家としては、大損失をしてしまうことを避けることが優先課題となります。株価は自分の思惑に反して下落することがあります。下落局面で、損失を最小限にするためには損切りが必要です。
もちろん、損切りした直後に、株価が反発して、上昇することもあります。その時は「売らなければ良かった」と後悔するかもしれません。
しかし、更に上昇が続くのであれば、再び買い戻せば済みます。
株価が下がった後に、損切りをしないまま、更に株価が下がることがあります。
その場合、大きな含み損を抱えてしまいます。
これにより、多くの個人投資家は、塩漬け株を作ることになります。
なぜなら、株価が下落しても「いつかは買値を上回るだろう」と期待して、下落中も株を保持し続けてしまうからです。
「損切りは必要ない」っという考え方もあります
プロの投資家の書籍に「損切りは必要ない」という意見があります。
例えば、アメリカの著名な投資家バフェットの過去の発言を見ると損切りに否定的であることが分かります。
実は、プロの投資家の「損切りは必要ない」という意見には、前提としている条件が2つあります。
1つ目が「長期投資」です。
3年以上の保有を前提にすると、株価の短期の変動は無視するので、損切りが必要なくなります。
たとえば、3年後に株価が3000円になることを見込んで、1000円で株を購入したとします。2ヶ月後に、株価が500円になったとしても、気にせずに、3年後に、株価が3000円になるまで保有を続けます。
つまり、長期投資の場合、株価がたとえ半分になっても損切りする必要がないのです。
2つ目が「精度の高い分析」です。
プロの投資家は、時間をかけて決算書などを読み分析をします。
その分析の精度が高いので、長期的には、購入した株は、株価が上がります。株価が上がると分かっているので、下落しても売る理由はありません。
だから、損切りする必要がないとプロの投資家は考えるのです。
「長期投資」に耐えうる銘柄を「精度の高い分析」で選んでいるので、「損切りは必要ない」とプロの投資家は言っているのです。
「損切りは必要ない」というアドバイスを真に受けると、個人投資家は塩漬け株製造マシーンになってしまいます。
なぜなら、個人投資家で「精度の高い分析」ができる人は、ごくごく一部に限られているからです。
「損切りは必要ない」とはいえ損切りをするワケ
もちろん、「損切りが必要ない」と考えるプロの投資家も損切りすることがあります。それは、成長シナリオが崩れた時に損切りをします。
平たく言うと、「色々状況が変わって、想定した以上に株価は上がらないから、損切りをする」ということです。
たとえば、2020年の5月には、バフェットが航空会社株をすべて売却しました。
これは、3~4年後に、パンデミック以前と同じ水準で人々が飛行機に乗ることを見通せないので売却をしたそうです。
バフェットは、新型肺炎の情報が出ている2020年2月に、デルタ航空の株を買い増していました。それを「間違いだった」認めました。
どんなに優れた投資家でも、自分の思い描いたシナリオが崩れた際には、損切りをします。
そもそも人間は損切りが苦手
損切りをするのは、人間の心理に反します。
なぜなら、人間には、心理学で言う「保有効果」があるからです。
「保有効果」とは、人間が一旦保有したもの価値を高く評価し、手放したくないと感じてしまう心理現象です。
買った株がどんなに下がっても売らずに、塩漬け株を作ってしまうのもこの「保有効果」があるせいです。
また、人間は損失をすることや、間違いを認めることも嫌いであると心理学の研究で分かっています。
これらのバイアスがあるので、損切りをすることに抵抗を感じるのです。
なぜなら、損切りは「自分の間違いを認め」て「株を手放し」て「損失」をする行為だからです。
つまり、損切りする場面であると分かっていても、様々な心理効果が働くため、人間はできる限り損切りを避けようとするのです。
そういった心理現象に対処をして損切りをするためには、損切りルールの確立が必要です。
たとえば、「株価が買値の10%下落をしたら損切りをする」と言うルールを設定します。
そうするとルールにより機械的に判断するので、バイアスに基づかずに損切りをすることができます。
最後に
▼損切りラインの具体的な設定の仕方については、下の記事にアクセスしてください。
それでは、良い投資を。
サポーターになっていただけたら、とてもありがたいです。