創作 僕は自転車で (28)
もう花瓶はいらない。
うちで使えばいいんだけど、失敗の証拠みたいで、できれば見たくなかった。でも、捨てる、っていうと、母はぼくのちょっと投げやりな態度に心を痛めるだろう。
本当は、楽しんで花を摘むつもりだったその朝、ぼくは花と水を捨てた空の花瓶をリュックに詰めて、しょぼくれて自転車に乗った。
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