こわいこわいカゲチャン(ホスト〈仮〉 源氏名 28歳)の話 5

 翌月はタクシーで祥悟を送り届け、玄関先で待ち受けていた母親に預けると悠人は無言で立ち去った。
 母親は祥悟を抱いたまま苦しそうな表情で悠人を見ていた。苦しみの中に、もしかしたら祥悟と残ってくれるのではないかという一縷の期待。それに気づかないように無表情で、無言で、悠人は背を向けた。今回は母親が悠人の背中に向かって彼の名前を呼んで引き止めようとすることはなかった。


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