中島みゆきと瀬尾一三をつなげたのはCHAGE and ASKAだった
今週は、Chageさんがゲストで参加した瀬尾一三さんのスペシャルトークイベントが限定公開となって、話題です。
その中で、ひときわ印象に残ったのは、中島みゆきさんが瀬尾一三さんの編曲で楽曲を発表するようになったきっかけが実はCHAGE and ASKAだった、という話。
CHAGE and ASKAがレコーディングしているスタジオの前を中島みゆきさんが通りがかって、「この音は誰?」と訊ねたところから、瀬尾一三さんへのつながりが生まれたそうです。
これは、音楽史に残る伝説です。
瀬尾一三 スペシャルトークイベント(ゲスト:Chage)
ヤマハから発売となった書籍『音楽と契約した男 瀬尾一三』にもそのシーンが書かれています。
ヤマハ『音楽と契約した男 瀬尾一三』
そうなると、中島みゆきさんは、一体どの曲の編曲を聴いて、瀬尾一三さんの才能に魅かれた、ですね。
瀬尾一三さんは、1988年10月に初めて中島みゆきさんのシングル「涙-Made in tears-」の編曲を担当されています。
と、いうことは、CHAGE and ASKAで1988年3月に発表したアルバム『RHAPSODY』か1988年11月に発表したアルバム『ENERGY』の中のどれかです。
この2アルバムで瀬尾一三さんが編曲(アレンジ)を担当した楽曲は
『RHAPSODY』
「BELIEVE IT?」
「ロマンシングヤード」
『ENERGY』
「Energy」
「夢のあとさき」
「Far Away」
この5曲の中で、中島みゆきさんは、どの編曲に魅かれたか。
「BELIEVE IT?」は、ちょっと中島みゆきさんの曲調には合わない気がしますね。
「ロマンシングヤード」と「Energy」も、ノリはいいですが、中島さんの感性に合うかどうかと言われると微妙。
そうなると「夢のあとさき」「Far Away」のどちらかの可能性が高いですね。
私としては、壮大さと繊細さを兼ね備えた「Far Away」であってほしいですね。
CHAGE and ASKAと瀬尾一三さんが最後の最後に発表したのが「Far Away」ですし。
もはや、私の勝手な願望になってしまいました。
さて、CHAGE and ASKAのデビュー当時から編曲を多数担当していた瀬尾一三さん。
「ひとり咲き」や「終章」も、瀬尾一三さんの編曲です。
[LIVE] ひとり咲き / CHAGE and ASKA / HISTORY II ~PRIDE~
[LIVE] 終章(エピローグ)~追想の主題 / CHAGE and ASKA / COUNTDOWN LIVE 03-04 in SAPPORO DOME
デビュー当時から、天才編曲家瀬尾一三さんに編曲してもらったCHAGE and ASKAは、幸運ですね。
そんな瀬尾一三さんですが、CHAGE and ASKAのアルバムへの参加は1988年11月の『ENERGY』が最後となっています。
瀬尾一三さんは、1989年以降、中島みゆきさんの編曲だけでなく、コンサートも全面プロデュースすることになって、他のアーティストとの仕事がほとんどできなくなったそうです。
中島みゆきさんは、その後「浅い眠り」「空と君のあいだに」「旅人のうた」「地上の星」とミリオンセラーヒットを飛ばします。また「糸」は、長い年月をかけて日本を代表する名曲との評価を得ました。
これらの楽曲は、すべて瀬尾一三さんの編曲です。
地上の星 / 中島みゆき [公式]
瀬尾一三さんが中島みゆきさんの方へ行ってしまって、最大の編曲者を失ったCHAGE and ASKAは、1989年以降、どうなってしまったのか。
入れ替わるように、「PRIDE」をひっさげた新しい編曲者、澤近泰輔さんが現れるんです。
【アーカイブ生配信】澤近泰輔 / 60祭61祭ダイジェスト~還暦恋歌~
当時のエピソードと「PRIDE」演奏が6/29まで公開中です。1:22:05頃から。
その後の澤近泰輔さんの活躍は、もはやご存じのとおり。
瀬尾一三さんが中島みゆきさんと出会わずにすっとCHAGE and ASKAの担当をしていたとしたら、あの「PRIDE」のイントロは、生まれなかったかもしれない。
そう考えると、運命っていうのは、不思議なものですね。