ASKA新曲「僕のwonderful world」レビュー
今週は、ついに3週連続配信のラストを飾る新曲「僕のwonderful world」が発売となりました。
ASKAさんの予告どおり「ジャジーな曲」ですね。全く違うタイプの3曲を立て続けに作り上げるASKAさんの振り幅の大きさには驚かされます。
e-onkyo「Weare」
「僕のwonderful world」レビュー
落ち着いた雰囲気を持つ男性のすがすがしい朝の場面を切り取った作品だ。
ビルボードクラシックスとASKAバンドの融合したライブ『higher ground』の流れがあったからこそ出来上がったような印象がある。
ASKAは、この楽曲のモチーフをルイ・アームストロングの「What a Wonderful World」と明かしている。「What a Wonderful World」は、ベトナム戦争の時代に、平和な世界を夢見て描いた楽曲。
一方、現在は、世界中がコロナ禍で苦しみ、沈んでいる時代。平穏な1年前が懐かしく感じられるほどである。
だからこそ今、ありふれた、すがすがしい朝に、素晴らしい世界を感じてしまう。
「僕のwonderful world」は、そんな今が詰まった歌だ。
ありふれた朝とはいうものの、楽曲に出てくる、起きる前に見ていた夢、そして、今を過ごす日々は、苦境や険しさがほのめかされている。
そこから、ASKAならではの巧みな比喩で、希望を描き上げる。
ASKAは、近年、こういったジャズをベースにした楽曲を時おり制作している。この楽曲を聴いて、「思い出すなら」が最初に浮かんだ。
「思い出すなら」は、夜の世界で、「僕のwonderful world」は、朝の世界。
なのに、つながりを感じてしまった。穏やかな情景を描いている共通点からだろうか。
「僕のwonderful world」は、心が穏やかになるようなストリングスとピアノの演奏が全編に渡って癒しの効果を生み出している。情感豊かなイントロとアウトロをしっかり作り上げ、歌の伴奏でも鮮明な景色を浮かび上がらせる澤近泰輔の編曲が素晴らしい。
この主人公が朝の情景に希望を見た光。カーテンの隙間からだろうか。差し込んできて、腕にリボンをかけたようなその光に、私も、現在の閉そく感からの道しるべを感じずにはいられない。