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医療マンガ大賞アフタートークイベント(2)第一部 ほむほむ・大塚編

いよいよ医療マンガ大賞アフタートークイベントの第一部聞き書きに入ります。今回は、ほむほむ先生こと、慈恵会医科大学、堀向健太氏(小児科)と、京都大学、大塚篤司氏(皮膚科)の選んだエピソードについてお話していただきます。司会は病理医ヤンデルこと札幌厚生病院病理診断科・市原真氏です。(以下敬称略)

各先生が選ばれたエピソードについてはブログ「犬と散歩する」の記事、または、コミチのサイトから読むことができます。



ヤンデル「では早速一部に入ります。えー、第一部ではですねマンガのお題となった元エピソードというのをいろんな方が選んだんですけれども、その委員の中から、SNS医療のカタチのコアメンバーである、慈恵会医科大学小児科の堀向健太、京都大学皮膚科の大塚篤司、そして京都大学外科の山本健人、この3名に登壇していただいて、お題のエピソード、選んだ理由について、ではちょっとトークセッションいってみようかなと思います。お三方、よろしくおねがいします」(会場拍手)

ヤンデル「では始めましょう。進行というかスライドを出していただけるんですね。はい、では第一部始めさせていただきます。エピソード審査員とマンガ審査員とあったんですけれども、左から偉い人、佐渡嶋さんです。すごいですこの方。ぼくちょっと震えました。こしのりょうさんマンガ家です。『N'sあおい』とかですね、『町医者ジャンボ!!』とかぼく大好きです。医療系のマンガいっぱい描かれています、こしの先生。あとメディカルノート代表取締役の井上先生という方、築丸志津子先生という方と、あと荒木田さん、この方副市長ですか、副市長が横浜市を代表しているんですね。というガチの審査員ですね。えー、流れなんですけれども、ぼくが余計な漫談をしていたおかげですでに7分押している。ではセッション。ここからなんですけれども、SNS医療のカタチエピソード裏話ということなんですけれども、(中略)次お願いします。ほむほむ先生が選んだエピソード。ここで文字だけ出してもみなさんわからないじゃないですか、ということで簡単に申し上げますけど、これはこのエピソードを全部みなさんにみていただきたいというよりは、医療マンガ大賞のホームページを見れば書いてあるんですけれども、要点だけ申し上げますと、これはですね、患者さん視点ですね。妊娠されて、その後残念ながらですね、エピソードの核なんですけれども、流産されてしまうんですね。それが最初、もしかしたらだめかもしれないというふうに一言言われた時に、この先生のリアクションが軽かったことにものすごくショックを感じたという方が、次に手術後、術後検診でやはり係留流産でしたと言われるんですけれども、このときに『残念でした』と一言つけ加えられたことに心を動かされている。なかなかちょっと奥深いエピソードですね。次をお願いします。こちらを選んだ理由というのを事前に堀向先生、ほむほむ先生に送っていただいているんですけれども、遠くの方は見えないでしょう。で、今日のイベントに関しては直接しゃべっていただきますからね。先生、こちらのエピソードを選ばれたときのお気持ち、聞かせていただければ」

ほむほむ「7分しゃべっていいんですね?」

ヤンデル「はい」(場内爆笑)

ほむほむ「7分押してるけど7分。ほむほむです。よろしくおねがいします(場内拍手)。えっとー、うちはあの全然医者家系でもなんでもなくて、凄い珍しい名字だと思うんですけれども、どうも世の中で名字的には46000番位らしいんですよ。全部合わせても200人ぐらいしかいないらしいんですけど、うちの奥さんは結婚したときに堀向姓が0.5%増えたって言ってましたけれども、まあそれはまあ別として、あのー、医療とは全く関係ない家系なんですね。うちの親戚には全然(筆者注:医者の)堀向はいません。ネットで調べたら静岡に一件、堀向医院ってあるらしいんですけれども全く交流ないですし、北海道の方に堀向先生というどうも歯科医の先生がいらっしゃるらしいんですけれども全く交流ないです。ということで、全然家族は医者のことは知らない。それで家族に話を聞いてると、今日例えば病院を受診をしました、こんなこと言われましたみたいなことをよく聞くんですよね。例えば某あの皮膚科医の先生はすごいゴルフ焼けをされていて、すごいなんか横にゴルフバッグが置いてあってみたいな感じの話をされている訳です。たぶんきっと僕が診療したときもおうちに帰って、あの先生にあんなにひどいことを言われたとか、ちょっといいことをいわれたとか、きっとそういうふうに言われてるんだろな。家族の団らんのえーっと話のネタになってるだろうな、っていう風によく思っていました。そのときにまあ、あのー、普段診療しているときは、えー家族がその、えー増えたときは、特にそうだったんですけれど、もうちょっとこうなんか話ができればなっていう風によく思っていました。で、ぼくは小児科医です。ですので実はお父さんお母さんが二番目がで子どもさんが一番です。でその子供さんをどうしようかいつも考えています。で、そのときにお父さん、お母さんをどう巻き込むか、というふうに考えてますよね。でそのときに、今日もそうだったんですけど子どもさんがおいでになって、たとえば処方箋出します。パーッと出てきます。でもその子はえーっとハンコをこう、ぼくのハンコを持って待っています。で、その子が押すんですよ。でお母さんが、まあまあまあまあ、ちょっと待ってよ、というふうに話をするんですけど、いいよいいよ、よし、いいや良く頑張ったなんて言って、ハイタッチして帰る。例えばそういったお子さんとか。入ってきたらとりあえず例えばいわゆる患者さんの椅子に座らずにここ(ほむほむ先生の膝の上)に座るとか。でもそういうふうなお子さんに対してはいろんな話をしてきたなって思ってきてるんですけど、えっとこれを読んだ時にお父さんお母さんにもうちょっと話がうまくできたら良かったなっていうふうに思ったんですよね。もう一言何かなかったのか。えーっとお父さんお母さんも感じてる訳ですよ。ぼくはアレルギーなんで、アレルギーの外来なんで、毎日すごくがんばっていただいてその結果を出されているわけですよね。外来も待ち時間長いし。大変ですよね。そういったときにどういう風にすればいいのかなとこれを見て思ったときに、外来が終わったときにあの本人とあの大体ハイタッチするんですけど、よく頑張ったねーって帰っていくときに、ドア開けてお父さんお母さん帰られるときに、お父さんお母さん、もしかお母さん頑張りましたねって言って終わって、ドア開けて帰るときに話をしようと、これを見て思いました。で、このあとはそれをするようにしています。でも、このその一言があるだけでも、ちょっと違うかもしれないと思うようになったので、これ読んだだけでちょっと心動かされたのかなあと、これを読んで思いました。たぶん7分34秒くらいしゃべっています」


ヤンデル「ありがとうございました。いや、ていうか、聞き入っちゃって。(中略)患者さんの視点エピソードを医者の立場で、読み解くっていうのはすごい複雑で面白いなあというふうに思いながら今聞いていました。しかもこの方はマンガをこれから書けっていうエピソードで自分の診療方針を変えたりしているんですよね。面白いですね。あなた、なにひとり大賞やっているんだと(笑い)いやいや、時間はですね、けっこうあるので大丈夫なんです。(中略)このまま次のエピソードを見てみましょう。はい、次をお願いします。大塚先生エピソードです。こちらも、患者さん目線なんですけど、これはまたちょっと練られていて、ぼく簡単に説明しますけど、この方は乳がんの手術で入院されているんですけど、看護師さんを見ているんですね。なので新人の看護師さんがやってくるんですけど患者さんがですねその新人の看護師さんが針がうまく刺せないのを見ていて、でもやさしいんですこの方。この新人の看護師さんが髪洗うとき、すごい上手だったねって褒めるとその看護師さんが感動して泣いちゃう。涙ぐんじゃう。で、やさしくしてくれてうれしかったんです、みたいなことを言われたんですという患者さん目線からのエピソードで、なかなかちょっと複雑で面白いですよね。というのを選んでいただいたのは大塚先生です。はい次いきましょう。はい、こちら選定していただいた大塚先生ぜひ」


大塚「はいあのですねこれ普通に喋ったほうがいいですね」


ヤンデル「おや? 特殊にしゃべっても」


大塚「いや、ほむほむ先生があまりにもいい話をしたあとでプレッシャーが……。あのですね今回エピソードは皆さんハッシュタグを追うと、結構見れると思うんですけど、ホントにいろんな切り口で皆さんエピソードを書いてくださっているんです。で、ぼくは結構普段忙しいので、全部読むのはめちゃめちゃ大変だったんですけど、凄い面白かったんですよね。で、全部読んだときに思ったのがそのもうなんかもういいよって、人生だなっていう風に思ったんですよ。あのー良いときもあれば悪いときもあるし、感謝してる気持ちもあれば人を恨む気持ちもあったり、怒ったりだとか、泣いたりだとか、笑ったりだとか、っていうのが今回エピソードを全部読んでそれが全部入ってきたんですよね。でこれを選ぶのってものすごく難しいなと思ったんです。そのそれぞれの切り口でいいメッセージがあったんですよね。で、どれを選ぼうかなと思ったときに、僕が医療で大事にしてるのは何だろうって考えたときに、やっぱり、幡野さんもそうなんですけど、幡野さんもそこにいらっしゃってるんですけど(中略)幡野さんのすごいなと思うのは患者さんの立場からやさしいっていうことを仰ってるんですよ。恐らくですね、病院の中で医者も忙しくて余裕がない。患者さんもつらい苦しい痛いで余裕がないときに、やさしいを出せる人ってのは強い人だなと、ぼくは思って、で、エピソードを見てた中でやさしいっていう視点を出してる方っていうのが、今回のエピソードが一番心にささったんですね。本当に自分が点滴失敗されて痛いと思った看護師さんちょっとやだなと思ってたりしてる中でシャンプー、頭洗うのが上手って思うやさしさ。やっぱり強さもないとできないし、多分そういうちょっとしたやさしさをみんなが持ち寄れば病院てすごく良くなると思うんですよね。で僕は思ったのでこれを選びました」

ヤンデル「エピソードの選び方が面白いですね150何個あったやつを、一番いいのを選んだのは人それぞれ違うんですね。やさしさがちょっと増えてほしいっていうニュアンスですね。しかもそれをマンガ家の方が、マンガ家を目指してる方とかが描くことで、さらにそれが広がっていくということで。なるほどねえ。横浜市も喜ぶでしょう。(大塚先生に)あなたこのあと幡野さんとすごいやりあってもらって、ぼく少しそこで休憩したいんです。だからあなたと幡野さんの話はまたあとで聞きます。でも思っていたよりすごいいい話でした」

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つづく



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