医療マンガ大賞アフタートークイベント(3)第一部 山本・ヤンデル編
京都大学、山本健人氏(消化器外科)、病理医ヤンデルこと札幌厚生病院病理診断科、市原真氏の選んだエピソードについてお話していただきます。司会は市原真氏です。(以下敬称略)
各先生が選ばれたエピソードについてはブログ「犬と散歩する」の記事、または、コミチのサイトから読むことができます。
ヤンデル「次いきましょう。これがまた視点がちょっと違うんですね。患者さんじゃないんです。作業療法士さんなんですね。で、この作業療法士さんに関しては最初にちょっとある方を受け持つんですけれども、この作業療法士さんの方がキャリアがまだ本当にスタートしたばっかりな、初めて担当した患者さんに、感謝されなかった。っていう、なんていうんですかね、そう最初の頃、その悔しさみたいなのがにじんでるんですね。で、最後の方に、これいいなとおもったんですけれども、作業療法士は黒子だって言われてたっけ。でも感謝されるっていうことだということが目的とか達成目標とかじゃないんだよなっていう風に本人の中で苦しい経験を元にですねやっとスタート地点に立てた気がしたって一番下に書いてあるんですけど、やはり成長物語というね。これを選んでいただいた、けいゆう先生次じゃあ、はい」
けいゆう「はい。あのー、ちょっとその前に、椅子が結構みなさんしんどいと思うんですよ、背中が。めっちゃうなずいてらっしゃるんで、はい。あのーお体とかを動かしていただいていいんで、僕はちょっとだけあるんですこれ(椅子に小さい背もたれがあるのを見せる)。これでだいぶん違うという。で、そんなことはどうでもよくって(ヤンデル「良くはない」。会場笑)。健康を気にする仕事なんで。あのー、ぼくこれ凄い好きなんですよね。何が好きっていうとね、あのー、自分が医者になってしばらくしたときにぶち当たった壁、感じたその天井みたいなところと同じものだったんですね。つまり僕は僕も医者家系じゃないので、医者の仕事って患者さんにありがとうって言っていただいて、すごく感謝されて患者さんのために自分のおかげで患者さんの病気が治った。その気持ちを前面に努める。そういうことに期待して医者になった、ところが、実際に医療現場にいると、実は医者が直接患者さんにできることが少なくて、患者さんがご自身で治療をしていく。そして病気を治していく。そのサポートするのが医療従事者。お手伝いをするのが医療従事者なんだっていうことを知ったんです。これは作業療法士さんの話をしてますけれども、医療従事者全部だと思うんです。作業療法士は黒子だというか。そもそも医療従事者は黒子だと思います。主役は患者さんです。で、たとえば具体的に言うと、患者さんと、治療中の患者さんと例えば外来で会えるのって最大でも週に1回なんですよ。ということは、7日のうち6日は患者さんと患者さんのご家族が、治療に向かって前向きに意欲的に、薬を飲んだり、生活習慣を整えたりとか色々なことをしないといけないんですよ。患者さんご自身がそういう意欲的に、前に向かって進んでいくのを我々はサポートすることしか実はできないと。だから『ありがとう』っていってもらえる。凄く感謝される。自分のおかげで治ったっていう感覚を得ようと思ったというのは実はすごくおこがましいことだったんじゃないかなっていう風にあのとき思った経験があって、その時にそうかって気づいたらそのスタート地点に立ってきましたという、そういうの凄く近いなって思いましたね。で、病は気からっていうね言葉がありますけど、ま、こっそりスピリチュアルの話ではないけど実はそういうところで患者さんの意欲をどうやって高めるかとか、自分にどうやって前向きになってもらうかっていうのを考えるのも医療従事者の仕事なんですよね。その気持ちをこう前向きにしていくというか。それが一番感じられて、はい」
ヤンデル「医療従事者目線で選んだのは山本先生。けいゆう先生です。で残りのお二方は患者目線なんですけど、実はお三方とも複数の目線なんですよ。ワンエピソードを語るのに。という話がしたかったんですよね、今日はね。コミュニケーションエラーに興味があるお三方なんで、コミュニケーションの糧になるような選び方をしてるんじゃないかなと、勝手に思ってましたけどその通りでしたということでした。ここでえっとお三方にもう一言ずつ聞いたらあと6分経つんですけど。実は僕もしゃべれと。次お願いします。長いんですけど、あんまり語る気はないんですけど、でもこれ描いてくださった方がいっぱいいらっしゃったんですよね。でどういうエピソードかというと、ぼくはですねハッピーエンドが嫌いなので、とっても悲しいエピソードしか選ばない。なんでかわかりますか? 他の方みんなやさしいんですね。でもですねマンガにするならバッドエンドで終わりたい。そういうぼくのなんかだらしない試みを跳ね返すような、複合的なエピソードがとっても多かったんですよね。でも実際これとっても長くて申し訳なくて、あとでぜひ細かく見ていただきたいんですけど、単に敗れたとか、単にダメだったっていうエピソードではないです。ではないんですけど、これ書くのとっても長くかかるんですよ、しかも要約すると患者さんの一番大事なときに居られなかったみたいな残念エピソードになっちゃうんですけど、そこをどういう風に膨らませるかなという嫌な感じがあったんです。そうしたらスタートアップのイベントっていうのがこの医療マンガ大賞であって、佐渡島さんっていうなんか、しゃべり方の癖のある人いるでしょう。あの、すごい天才編集者が、『このエピソードマンガにできたらもうそれだけですごいよね』って一言発言したんです。その一言で檄文みたいなもんで、(俺は佐渡島さんの目に留まってやるぜ!)みたいな、マンガ家たちがうおーって気負ってきてですね、それを横目に見ながら(うわあ、佐渡島さんの一言でみんなチャレンジしておもしれー)と思ってたんですけど。けれども、あの言葉は暗にこんなの選ぶなよと思ったのかもしれませんが、僕自身は医療をマンガで扱うハッピーエンドだけで終わっちゃうってうそでしょ。というので、ちょっと混ぜてみました。とてもいいエピソードです。後で読んでみてください。これのマンガの大賞作だけじゃなくて他のマンガもですね、とっても苦労していますみなさん。なのでちょっと味わいがあるので。大塚先生が仰っていたんですけれども、今回のエピソード全部読めますのでね。ハッシュタグをかければ。ちょっと消えつつあるんで急いでいただきたいと思います。コミチとかでみると全部見られるんですよマンガも。あのーですねえ、受賞作以外も面白いですから。本当に。ね。じゃあ、ぼくはもういいからみたいな顔をしてるでしょあなたがた、とくに大塚」
大塚「あのー、ふたりがいい話をするから……」
ヤンデル「あなたもいい話してるじゃない」
大塚「けっこう勉強になる。ぼくこれねえ、言っておかなきゃいけないのが、あのお、ほむほむ先生ってすごい特別なんですよ。本人は普通っておっしゃってるんですけど、患者さんがね、患者さんにハンコ押させるとか、帰るときにお父さんお母さん頑張りましたねとか、声掛けてる医者って本当に少ないんじゃないかなと思って、ぼくそんなことやったら泣くなと。それが今普通じゃないけど、多分こうやって発信し続けることで標準になってくんじゃないかなっていうのはちょっと思ってて、MKタクシーみたいな感じ?(会場爆笑) 分かります? このニュアンス。分かるかな? 分からない? MKタクシーって、分からない方に説明しますけど、俺喋りすぎだけどね」
ヤンデル「大丈夫! 大丈夫!」
大塚「あのータクシーなんだけども、ホテルマンのような振る舞いをするタクシーのコンセプトのもとで、ドアを開け閉めしたりだとか丁寧にやるんですよね。MKさん最初出たときにはすごい叩かれたんです。あんなサービスはみたいな感じで、でもそれがスタンダードになってきたら、他のタクシー会社も同じようにちゃんとお客さんに丁寧にするっていうのがスタンダードになりつつある。堀向先生のやっていることってぼくそれに近いんじゃないかなって思ってて、何か小児科の先生ってこういう形だと患者さんもお父さんお母さんも安心だよっていうモデルを見せてくれてくれてるんじゃないかなと思って今聞いてました」
ヤンデル「あのーえっとー実は大塚先生の切り口ってあなたがたに台本渡してもなかなか出てこないです。なんでかっていうと、医療マンガ大賞でエピソード募集して頭に想い浮かぶのって、患者と医者のやりとり、病気になった患者のつらさとかの患者目線がすごい多いんですけど、もちろん患者目線の方も深めたいんですが、医療者がどう考えるかって目線で割と一貫してるの。この男(大塚)は今日そこに一貫性を決めたんですよ。複数の目線の中から選んで。という話が色々出たら面白いと思っていたやつを早速していただいたので誠にどうもありがとうございます。時間がちょうどいい。えーっと、山本先生とかテレビに出た感想とか言わなくていい?」
けいゆう「ちょっとだけ、みれるのでえ」
ヤンデル「あるんかい」
けいゆう「三分の一くらいアーカイブされているのでぜひ。見てください」
ヤンデル「Twitterの写真見たらアナウンサーにしか見えなかった。あー、本、告知する?」
けいゆう「ぜひ買ってください」
ヤンデル「第一部はここまでにします。お三方に拍手をおねがいします」
(場内割れんばかりの拍手)
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