SEKIRO 難しすぎ問題・タフすぎ問題
【切っ掛け】「SEKIRO」についてググってたら検索サジェストに「難しすぎ」「難易度おかしい」とか出てきたので気になり追っかけてみたら英語圏でSEKIROを巡って「難易度」「ゲームのアクセシビリティ」論争が起こっていたっぽく、これは自分にはなかった発想だったので衝撃を受け、何が問題なのか知りたくなりました。
SEKIROの難しさを巡って、英語圏で議論があったようですね。たかがゲームかと片付けることもできますが、真面目に考えてみるとかなり深い話題ですし、自分も数十時間を捧げた身なので真剣に考えてみようと思います。
議論の引き金となった騒動の詳細はこちら。
まとめると、
①PCのチート機能を使ってSEKIROをクリアしてレビューを書いた記者が居た。⇐非難殺到 (You cheated not only the game, but yourself.~~~)
②いくつかのゲームレビューサイトや著名ゲーム開発者が記事の主張を擁護or非難
ここから見えてくる議論は「SEKIROなどの高難度ゲームにイージーモードを搭載すべきか否か」と「身体障害などで通常の製品をプレイしにくい人への配慮・忙しさでヘビーユーザーほどゲームに時間を費やせない人への配慮=ゲームのアクセシビリティをもっと広げるべきではないか」です。
この二つは混同されがちですが一旦分けて考える必要があります。厳密には後者の議論は前者の議論を内包しています。ゲームのアクセシビリティについては下記の翻訳記事が正しいことを言っていると思ったのでどうぞ。
https://jp.gamesindustry.biz/article/1904/19041601/
アクセシビリティは必然的に難しさについてのことではまったくない ―いくつかのケースでは脱線して関連しているが。それは,ゲーム内のアイテムを見分けられるようにさまざまなな形態の色盲用のオプションを用意すること,すべてに適切に字幕をけること,難聴者のため音声キューの代わりにビジュアルキューのオプションを追加すること,あるいは,視覚障害者のためにテキストやHUD要素のサイズを調整させることなどを意味する言葉だ。さらにこれは,標準の装備を使用できない人々にアクセス可能なコントローラをサポートすることを意味する場合もある。そしてまた,アニメーションの速度や別の面からの「難度」を調整することを意味することもある。例えば,反応時間やhand-eye coordination(※目で見て手が反応するまでの時間)に影響が出る状況で,またはより大きくより遅い制御装置の使用が必要な場合などでだ。
先ほどの二つの議論に戻ります。自分はSEKIROにイージーモードを搭載すべきではないと思います。これはソウルシリーズの生みの親の宮崎英高さんも述べています。
『SEKIRO』のディレクターである宮崎英高氏は、GameSpotのインタビューに応じた際に、同作に難易度の選択肢がない理由について、全てのプレイヤーに達成感を与え、同じ水準の議論に参加し、同じ水準の喜びを感じてもらうためだと説明している。フロム・ソフトウェアとしては、難易度の選択肢があると、遊び手それぞれのゲーム体験に相違が生じ、プレイヤーベースが分散してしまう。そうした点を常に考慮して、ゲームをデザインしているという。
「困難を超えた先にある喜び・達成感」がこのゲームの核になっているのに、それを体験しないのはもはや同じゲーム体験とは呼べないでしょうね。下記の記事に良い例えを見つけたのですが、フロムの死に覚えゲーは「黙って俺のラーメンを食え」と言ってくる頑固なラーメン屋のラーメンみたいなものだと。確かにそんなものだと感じます。その店に来といて「あの店みたいな優しい味のラーメンを出せ」と主張するのはナンセンスです。味わえない人は好みが違ったんです。他の名店を探しましょうよ。
一方でゲームのアクセシビリティが異様に狭い点は改善の余地があるでしょう。自分も色盲だったり難聴だったりしても健常者と同じくらい熱い戦いがしたいです。昨今のゲームはポリティカルコレクトを推してくる側面がありますが、こちらを優先してほしいです。
(脱線)いろんなゲームをプレイしてきた人ならわかると思いますが、イージーモードやハードモードの実際の難しさはゲームによってバラバラで、公的に統一された基準は存在しません。「あのゲームのイージーがこのゲームではハードと同じくらい難しい」なんてよくある事です。そのため建設的な議論をするには「自キャラのHPをめっちゃ増やす」とか「敵の数を減らす」とかのことを考えなくてはなりません。個人差がありますし、開発リソースもありますからとても難しいですが。ですがまさしく開発者が考えていることです。今回の議論はこれまで開発者たちが死ぬほど考えてきたことだと思います。SEKIROだけでなく、ゲーム業界全体の議論です。
(まとめ)
「難しすぎてクリアできない」以前に「身障のせいで満足にスタート地点に立てない」=「感想すら言えない」立場の人を救う機能が搭載されることを祈ろう、議論しよう。