仕事としての狩猟
現在では狩猟は1つの仕事という位置付けになりつつある。
というのも、狩猟者の減少に伴い野生動物の増加が著しく、農作物への食害や車と接触する交通事故などの弊害を生むようになり、自治体からの業務委託という形で有害鳥獣駆除という仕事ができた。
具体的には自治体で指定された有害鳥獣(鹿や猪)などを狩ると一頭につき数千円から数万円の報奨金が支払われるという仕組みが1番オーソドックスと言える。
しかし、この仕組みには致命的な欠点がある。
根本的な解決には至らないという点だ。
なぜ解決しないのか?理由は簡単である。
報奨金の制度というものは、一頭につき幾らという仕組みであるが故に、たくさん獲ればその分たくさん稼ぐことができる。
たくさん獲るためには、たくさんの獲物が必要となる。
つまり、鹿や猪の総数が減れば減るほど獲れる確率が下がり、結果として得られる報奨金が減る。
そう、頑張れば頑張るほど首を絞める結果になるのだ。
最初はそんなことを知らず、駆除業務を始める者もいるが、最終的にはこの仕組みの欠陥に行き当たる。
駆除業務に従事する者としては、山に獲物がたくさんいる状態がずっと続いてもらえた方が好都合である。
だが、自治体や住民はそれでは困る。
駆除を進めれば駆除員と自治体、双方にメリットがある状態にしなければこの問題は解決しない。
つまり、報奨金制度を根本的に改善する必要がある。
私個人としては、選りすぐった駆除員に固定給を支払い、個体数の調整や畑のネットに引っかかった動物の対応、駆除依頼の窓口になってもらうと良いのではないかと考えている。
要は、猟師が猟師として食っていける仕組みを構築するのだ。
自体は急を要する。
獣たちは、自然は、絶対に待ってはくれない。
彼らは毎年発情期を迎え、そして確実に個体数を増やす。
その増加数は鹿であれば年間、生息頭数×1.2〜1.3倍だ。
100頭いれば1年後には120〜130頭。
そのまま放っておけば更に、120〜130頭×1.2〜1.3倍になる。倍々に増え続けてしまい増加数が大きくなる。
そして、自治体にもよるだろうが大抵は駆除が追いついていないのが現状である。
毎年毎年、頭数が増え続けるため、1年に増える数も相当なものになっている。
これは、虫歯の様に早めに対処しなければ取り返しのつかない状態になる。
ただでさえ少ない猟師ではどうやっても対応できない状態になる。
猶予は正直もうない。
だが、残念なことに大抵の自治体では大した動きはない。
おそらく、あと10年もすれば気づくのだろうが、その頃にはもう既に手遅れである。
私にできることはあまりないが、せめて自分の住んでいる町の頭数をなんとか減らそうと日々考えている。