9月16日公開オススメ映画『クリーン ある殺し屋の献身』『ヘルドッグス』『よだかの片想い』
映画ライターの松 弥々子が、今週末、9月16日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。
クリーン ある殺し屋の献身
『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディが製作・脚本・音楽・主演を務めた映画『クリーン ある殺し屋の献身』。
入魂のこの企画でエイドリアン・ブロディは、ごみ収集人の「クリーン」を演じています。
このクリーンという男は、街のゴミを集め、ジャンク品を修理したり、荒廃した街の空き家を修理したりペンキを塗ったりしています。近所に住む女の子・ディアンダにランチを作ってあげたりも。
このクリーン、何やら過去がありそうで、自助グループに参加したり、何かのフラッシュバックで苦しんでいたりするのですが……。
『クリーン ある殺し屋の献身』という邦題からもわかるとおり、このクリーンは、元“殺し屋”だったりします。
今は寡黙なゴミ収集人ですが、その実力は組織の折り紙付き。
そんなクリーンが娘のように思っているディアンダが危険な目にあったとき、クリーンはふたたび立ち上がるのでした……。
言ってみれば、『ジョン・ウィック』、『Mr.ノーバディ』のような、“引退していた元◯◯が、何かをきっかけに昔取った杵柄で再び立ち上がる”パターンと言えます。それにエイドリアン・ブロディらしい陰鬱さが加わって、独特の味を感じさせる怪作に仕上がっていると言えるでしょう。
『クリーン ある殺し屋の献身』(94分/アメリカ/2021年)
原題:Clean
公開:2022年9月16日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:全国にて
Official Website:https://clean-kenshin.com/
© 2018 A Clean Picture, LLC All Rights Reserved.
ヘルドッグス
深町秋生の原作小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」を原田眞人監督が映画化した『ヘルドッグス』。
今や日本随一のアクション俳優となった岡田准一、どちらかというと優男のイメージが強い坂口健太郎の二人がタッグを組んで、ヤクザ組織でのし上がっていく姿を描くアクション・ノワールです。
『ヘルドッグス』というタイトルが示すとおり、まさに“地獄の狂犬”という表現がぴったりな登場人物たちが、意味不明に好き勝手に作品の中に存在しています。
ギリギリのところで生きているのが佇まいから静かにほとばしってくる岡田准一、サイコパスでハイテンションな坂口健太郎、彼らが見せる愛憎には、どこか中毒になりそうな蠱惑的な魅力が詰まっています。
また、MIYAVI演じるヤクザのトップのすさまじい存在感と圧倒的な意味不明感。彼の行動から目が離せなくなってしまいます。
実力派俳優陣が顔を揃え、躍動する映画『ヘルドッグス』。
好き嫌いは極端にわかれそうな映画ではありますが、ぜひその熱量をスクリーンで確認してほしい、注目の一作です。
『ヘルドッグス』(138分/日本/2022年)
公開:2022年9月16日
配給:東映、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場:全国にて
Official Website:https://www.helldogs.jp/
(C)2022「ヘルドッグス」製作委員会
よだかの片想い
島本理生の原作小説に松井玲奈が惚れ込み、主演が実現したという映画『よだかの片想い』。
顔にアザがあるゆえに傷つき、恋に臆病になっていた24歳の女性が、自分の体験が映画化されることとなり、映画監督に初めての恋をする物語です。
24歳での初恋にいっぱいいっぱいになったり、相手の気持ちがわからなくて疑心暗鬼におちいったり、ルッキズムに支配される世界で自分を支配してきたコンプレックスの正体を見つめることになったり……。
そんな、恋に一喜一憂する主人公の愛子を、松井玲奈がまっすぐに魅力的に演じています。
また、アイコの恋愛相手にして映画監督の飛坂を演じる中島歩も好演。
人あしらいがうまく、目的のためなら人を利用するしたたかさもある大人の男。そのずるさやとらえどころのなさまでもを魅力的に表現しており、だからこそアイコの微妙な感情の揺れが引き立っているのです。
いくつになっても、人は恋に臆病で、でもだからこそ、本当の自分と向き合った時に、それはより価値のあるものになる……。そんなことを感じさせてくれた、みずみずしい一作でした。
『よだかの片想い』(100分/日本/2021年)
公開:2022年9月16日
配給:ラビットハウス
劇場:新宿武蔵野館ほか全国にて
Official Website:https://notheroinemovies.com/yodaka/
(C)島本理生/集英社 (C)2021映画「よだかの片想い」製作委員会
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