違う冬のぼくら プレイ日記
違う画面を見ながらコミュニケーションとりつつ進める協力プレイゲームが好きだし、ドット絵も可愛いし、面白そうだな~!と思っていて、ちょうど興味持ってる友達がいたから軽い気持ちで誘って遊びました…。軽い気持ちで…。あえて前情報は入れず…。
作者様の過去作をほとんど知らなかったので(ひとりぼっち惑星だけ知ってた)、想像してたよりずっと重いしグロいしディストピアだな?!という驚きはありつつも、とても感情を揺さぶられる良いゲーム体験でした。終わったあといっぱい話したくなった。こんなゲームを一緒に遊べる友達がいてよかった。
ちなみに、1周目が5時間半、2周めが3時間弱くらい。1日でがっつり走り抜きました。ちなみに、早期アクセス中ということで途中何度か落ちたりはしましたが、ステージごとにセーブもしっかりされてるので特に問題なく遊べましたよ!
以下、2周めを終えてのネタバレ感想・考察。
わくわくする要素の多いゲームでしたが、まず良かったのは「見えてる世界の違いがマジで肌で感じられる」とこですかね…。
ちょっとした会話の違和感、キャラ動作の違和感、からの「ひょっとしてそっちからは見えてない?」「え?何が?」みたいな確認。
動物側の私が首がもげる描写に騒いでるとき、すべてロボットのパーツにしか見えていない友達が「え?」と平然としてるのが、よく知る友人が全く別の世界の生き物みたいに感じられて、ゾッとして最高でした…。
それから、2回挟まれた「会話禁止コーナー」での別行動もドキドキさせられた。そのあとで、会話禁止中に得た情報をもとに判断を迫られるシーンが来るけど、やっぱり人は自分の目で見たor耳で聞いた情報を重視しちゃうな~と改めて感じた。じいさんの生い立ちを聞いたら同情しちゃうけど、やばい殺人シーンを目の当たりにした側は「このじいさんやばい!」という危機感でいっぱいになってしまうので…。
あと、異形に変わってしまった子供が石を投げられるっていうのは、シンプルに可哀想すぎて、もはや最悪すぎて最高でしたね…。「この化け物、全身から変な液流してる~!」とか言ってたのが、子供の涙だったと知ったときのいや~な感じたるや…。これ、自分で操作して石を化け物めがけて投げられたらもっと最悪だったかもしれないですね(嫌な提案)。
何が「この世界の本当の姿」なのか?
考察とまで言える立派なものはならないけど、何が「この世界の本当の姿」なのか、ということについてちょっと考えたい。
老人の家にいくと現れる、自称AI。やたら重い初出情報をペラペラ話しだすのでこっちも「情報が多い!!!」と気が動転しますが、その中で「この世界の本当の姿」の話にも触れる。AIの存在自体が異質だし、犬たちがプログラミングされてるとかいうのが本当なら、このAIから見えてる機械の世界が本当なのか?
そもそも、パズルゲーム部分での、人間がコピーできるとか、コピーした人間は使い捨てとか、頭が外れるとか、そのへんの仕組みも「機械の世界」がベースになっていると思うと、しっくり来る。崖から落ちて壊れた犬や老人が直せるというのも同じく。
それと、ラストで町長の像にたどり着くところでは、「機械の世界」の像は電波塔みたいな形をしていて、この電波塔が激しく動きだしたことで主人公たちは元の世界の見え方に戻ることができた。なお、この電波塔の変化は「動物の世界」の視点からは全く検知できないようになっている。
そして何より、2周目のラストの本当の最後のところで、めちゃくちゃいいシーンだったのに、すべてをぶち壊すかのように機械の景色が差し込まれるんですよね(あまりに愕然としてスクショ忘れちゃった)。これは「動物の世界」側でプレイしていた人も同様に。「これがホントの景色なんだよ!残念でした!!!」とでも言ってくるかのように。
そんなこんなで、「この世界の本当の姿」は「機械の世界」なんじゃないか?と仮定すると、以下のような考え方もできる。
町長の像という名の電波塔によって、「機械の世界」が「人間の世界」に見えるフィルターが全員にかけられている。
冒頭で鹿の死体を見たときに、何らかの原因で「青い服の子」はそのフィルターがはずれて「機械の世界」が見えるようになった。「緑の服の子」はフィルターがバグって「動物の世界」が見えるようになった。(きっかけは鹿の死体そのものよりもハルくんが近づいたのが原因とかもあるのか?)
ラストに町長の像の効果で、主人公たちのフィルターが正常に戻った。
もともとはみんな機械の体だけど、ハルくんは何らかの原因で人間の体になった。その姿はフィルターが外れた・おかしくなった状態だち人間に見えるけど、フィルターがかかった状態ではバグって化け物の姿に見えてしまう。
メタ的な見方ですが、作者様が外に出してるSteamゲームも「機械たちの村」が設定みたいだし、このゲームが「機械の世界」前提でも何らおかしくないかもしれないですね…。
ついでに気になったことを書くと、「機械の世界」視点でラストの方に出てきた、犬と頭のパーツをぞろぞろ並べてあった場所。あそこは一体何だったんだろう。この世界での失敗作? 予備? もしくは、老人が殺したけど使わなかったパーツを埋めた人間たち? なんであろうと、この景色は「機械の世界」視点からしか見えないけど、他の世界フィルターで見たらたいそうグロいだろうな…。
ハルくん……!
他に、ハルくんについてはけっこう謎が多くて以下のような妄想をしてるんだけど、全部勘違いかも。テキストをちゃんと読み直せたら明らかな間違いとか確認できるかもですが、このゲーム、読み直すのにも友達が要るんだよな~!!!
老人を崖から突き落としたのはハル? 父または母に似た人が追われているのを見て、やってしまった? 最初はそそくさと逃げていたのと、主人公たちと会ったとき老人についての話でちょっと歯切れが悪かったのはそのせい?
3年前、ハルが家出して山に行った際に、何らかの事件・変革が起きて、みんな機械の姿になった? 山にいたハルだけ事件を免れて人間の姿を保っている? でもそれだとハルが「自分だけが異形に変化している」みたいな認識がおかしいか~。あと町長の像ができたのも別に3年前とかは書かれてなかったな。
パケモン知らないのはなんでだろう? ルビー・サファイヤがもうすぐ出る世界線だったら、3年前にはすでになんらかのパケモンはこの世にあるはず…教育方針で知らない、というのも違いそう。ハルがきたのは違う世界線?
老人とハルは同じ山に住んでて、これまで互いの存在は知ってたのかな?
細かいことはいいんだよ
ここまでウダウダ書いてきたけど、細かいことはもう別にいいんですよ。なんか実際、ゲームが終わったときはいろんな感情で胸いっぱいになってしまったので…
主人公たちみたいに昔は仲良かったけど疎遠になってしまった、終わってしまった関係って、誰しも人生にたくさんあると思う。それを思い出すときに「あ~もう連絡取ってないな~」「連絡先知らないな~」とか寂しい気持ちになりがちだけど、終わってしまったという悲しさじゃなくて、「あのときは最高だった!」みたいに、そのキラキラした最高部分だけ切り取って人生が肯定できるっていうのすごく良いよ…!! そういうの抱えて生きていこうな!!!と思った。
で、その「失われた思い出を忘れずに生きる」考えもめっちゃ好きだけど、2周目のラストで主人公が友達に連絡しようとして母親に電話したのはそれはそれでエモでしたよ…!!冒頭では宮沢賢治もどうせ読まないよ~とかなんとかウダウダ言ってたくせに!!!アクション取りやがった!!!
しかもふたりでハルくんに会いに行く、という。異形の者の寿命はわからないけど、まだハルくんも元気にしてるといいな…。
2周めではハルくんに石投げたあとハルくんの姿がちょっと戻って、ハルくんも良い思い出を抱えたまま一生を生きようとしてたのがわかったからね…ぜひ会いに行って、思い出を更新して欲しい…その際にはまた殺人事件とかに巻き込まれないことを祈る…。
まあ、そのあとで謎の機械の景色が差し込まれて愕然とはするんだけれども…。ラストのあたりは他にも、異母兄弟の可能性示唆されたり、シーソーで二者択一迫られたり、ハンカチ見つかったり、ずっと感情が上がったり下がったり一喜一憂で忙しすぎたな…。
そんな感じで丸1日かけてしっかり遊んだこのゲーム。ゴールデンウィークの良い滑り出しになりました。友だちに聞いたら、作者様の他作品もなかなかディストピアで楽しそうな世界観だそうなので、そのうち他のもやってみたいと思います!
おまけ:わかりづらかった3本道パズル
最後におまけ。
最後の方に出てくる、3本道で1つだけ正解がある、を3回続けるパズル。これがなかなかわかりにくく、1周目はいろいろ試しているうちにまぐれで行けてしまったけど、2周目で理解したのでここ書いておきます。
3種のアイコンのうち、「動物側」と「機械側」で見えているアイコンが違う道があり、その道が正解。
なので、機械側は見えているアイコンを説明し、動物側はその説明と見えているアイコンが一致しない道を行く必要があります。
ラストあたりはずっと生首状態で操作はわりと余裕のある機械側ですが、こういうパズルがあると意外と気が抜けないですね。