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発達における「外向の段階」と「内向の段階」

こんばんは。

今回は、強みと発達の概念を掛け合わせる上で非常に重要な点の1つをご紹介します。

人生のステップ

我々は、特殊なケースを除いて幼少期からゆっくりと時間をかけて、自己という存在を社会の中で確立立させていく。(人生の前半)

そして、徐々に発達するにつれて確立したと思った自己は社会から与えられた「物語」に過ぎないことに気付き、改めて自己と向き合うことで強い苦痛と共に真なる自己への探求がスタートする。(人生の後半)

このステップをどれぐらいのペース、タイミングで歩んでいくかは大きく個人差があるが、基本的には誰もがこのステップを経ていくことになる。

外向の段階

人生の前半は、物理的な自分という存在の認識・他人という存在の認識にはじまり、社会(家族・友人・組織・コミュニティ・地域・国家)における自我の確立を行っていく。

自分が存在する社会の常識・価値観・規範・世界観を学び、それを自分の中に吸収しながら思考・立ち振る舞い・コミュニケーションなどを習得していきます。

皆さんも、自分が幼稚園や小学校からはじまって中学・高校・大学、そして社会出ていく中で、自分自身が徐々に形になっていく感覚を思い出すことが出来るかもしれません。

ウィルバーは、その段階を「外向の段階」と形容しているそうです。

その主題が時代や社会という外的な文脈の中で自己を確立することにあるからである。
引用:人が成長するとはどういうことか。

外向とは、意識が外(自分ではない方向。他者・社会)に向いている状態。
とにかく様々な活動を通じて身体的・精神的な経験を積み重ねていく段階です。喜び、哀しみ、苦しみ、楽しさ。
それによってこの世界の物語を理解し、取り込んでいきます。

この段階をしっかりと踏んでいないと、その後の人生において社会的に適合が難しくなったり、後半の段階で自己を探求し始める際に基礎が脆弱するぎることでその探求に耐えられなくなったりする可能性がある。

内向の段階

そこから、更に発達のステップを進めると自分が存在している社会を取り込み適応していくことだけでなく、今そこに存在している「自分」そのものを深く理解し、その自分の可能性や限界を探求していくことになる。ここからが、ある意味で真に自己を探求し始める段階といえるかもしれない。

ウィルバーは、その段階を「内向の段階」と形容しているそうです。

その主たる関心が、自己の内にひろがる巨大な内面世界を探求し、そこに答えを見出すことにあるからである。
引用:人が成長するとはどういうことか。

内向の段階において自己を探求し始まると、多くのリソースを内側の観察、対決、対話に充てることになります。

結果、一旦外から見える活動(目に見える形の成果)は弱まり、能力が下がったりエネルギーが弱まった様に見える可能性がすらあります。

更に、例えば経営者やリーダーなどの組織や社会全体に日常的に意識を向け続けていた人が、自分自身を見つめることに時間を割くことで様々な問題が発生することもあります。

しかし、この過程は真に目覚めるために不可欠な時間なのです。

自己の探求と強み

外向の段階は、世界が持っている物語に関心を持つ。
内向の段階は、自己の内側にある真なる独自の物語に関心を持つことになる。

それは、自分自身を囚われている物語から解放するための取り組みのようです。
映画や漫画などで、世界から解放されるために闘争する作品は数えればキリがないですね。

本当の意味で自分の強みを発揮するためには、どうして自分の内面を探求し、自己が持つエネルギーに気付く必要があります。
(外向の段階でも強みを活かすことは出来ますが、どうしても弱い状態であり真価を発揮することは難しいです。)

寄り添う

内向の段階における自己との対話は、膨大な時間と共に多くの苦痛・苦悶を伴います。

実存的なテーマといわれますが、今まで歩んできた道や価値観をリセットし、自分という存在を作り直す作業は、強烈な不安感や虚無感に襲われます。

こういった取り組み、ある意味で戦いの中でその痛みを理解し、寄り添うことが出来る人は非常に貴重です。

強み診断士として、まずは自分自身がその苦悩をしっかりと歩み、寄り添える存在となっていくことが大切であると考えています。

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西村太嘉
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