人間は測定できるのか?~発達測定とアセスメントの付き合い方~
こんにちは。
さて、発達理論だけではなく、普段僕が接する機会も多い測定・診断というテーマへ入っていきます。
人間の「全ては」測定できない
まず、いきなりタイトルの回収です。
皆さんも理解されていると思いますが、現時点で我々は人間の全てを測定することは出来ません。
人間はあまりに多くの未知を含んでおり、自己を完全に理解することも他者を完全に理解することも、出来ていないのが現実です。
(未来の可能性はわかりません)
ですので、こういった測定ツール(アセスメント)でその人の全てを知ることなど、到底無理なのです。
では、発達測定やその他のアセスメントとは何なのでしょうか?
特定の領域
全ては無理でも、その人の特定の領域、特定の分野、限られた部分であれば測ることができるかもしれない。
比較的最近まで、人間の知能を単一の基準(例えばIQ※の様な)で測定することが知能全てを見ることと同一に捉えられていましたが、近年ではハワード・ガードナーの多重知性論(MI)などに代表されるように、知能には様々な領域があるという前提で話は進んでいます。
例えば、認知の領域の中の論理数学的な領域を測定するのがIQテストであり、それは人間の極一部の能力です。
多くの領域があるからこそ、多くのツールが存在しています。
ただ、今のLectica(レクティカ、発達測定の最先端組織)は、全ての発達に通底するものを測定しようとしているそうです。
発達測定手法の2つの構成要素
発達測定手法は、2つの構成要素からできているそうです。
というか、発達だけではなく多くの測定がそうだと思います。
・理論モデル
・測定ツール
この2つが無ければ発達測定は成り立ちません。
例えばキーガンの発達の5段階の理論モデルと、主体客体インタビューという測定ツール。
どちらも重要であり、信頼がおけるものであることが大切です。
ツールはツール
さて、ここからが一番お伝えしたいことなのです。
僕はおそらく普通の人よりは、かなり多くの診断ツールに触れてきました。
そして、そのいくつかを学び、実践し、向き合ってきました。
本来可視化することが出来ない、全てを測定することなど到底出来ない人間の内面を文字にし、様々なテストやツールを開発する意味とは何なのでしょうか?
その1つは、コミュニケーションツールとしての利用価値だと僕は考えます。
2年以上前の記事ですが、こちらにも書いています。
診断を通して、自己と対話し、他者と対話し、それを元に世界と深く向き合っていく。
結局、どこまで行ってもツールはツールです。
大事なのは、どう使うか。どう活かすか。
それで何をするのか。
もちろん、ツール自体が壊れてたり人によってバラバラだったりすると、難しいことも多くなります。
なので、ある程度信頼が出来るツールを見極めて。
なんのためにそのツールを使うのかをしっかり意識して。
短絡的な結論や決めつけではなく、対話を通してのコミュニケーションツールとして、使うのが大切だと改めて思います。
テクノロジーとはファルマコン(pharmakon)
これは、加藤さんの言葉です。
pharmakonとはギリシャ語で、薬と毒の両方の意味を併せ持つ概念。
この言葉は一般的には薬と毒以外に生け贄の山羊(スケープゴート)という意味があるそうです。
どんなものでも、使い方次第で薬にも毒にもなります。
本当にその通りだと思います。
できるだけ、みんなが幸せになれることに使いたいなと思います。
3-d-2.3.4
※そもそも発達測定の歴史はIQテストからはじまるそうです。
ピアジェとビネーが作ったと加藤さんは仰ってましたが、IQテストにピアジェがどの程度関わっていたのか僕には見つけられませんでした。
当初は、子どもの支援を目的にしていたのに、陸軍に優れた人材を採用するために使われたといった経緯があり、誤解されて広まったという歴史もあります。
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