表紙

【フィアスコリプレイ:閉じたる村落】④ ~熊伝説の村~第二幕二巡目

※このリプレイには近親相姦・獣姦・食人要素などが含まれております。

【舞台設定~第一幕一巡目】
【第一幕二巡目~転落】
【第二幕一巡目】

(NPC設定)・雑談などから生えてきたもの
・菊子 ごく普通の貧しい家に生まれた。箸にも棒にもかからない凡庸な女。使用人として鈴鹿の屋敷に入り鈴鹿父と密通するようになる。やがて子供を身籠りそれが熊の子であったことから、これで自分は鈴鹿の家に迎え入れられる筈だと喜んだが、別の男を夫してあてがわれ屋敷を追い出された。絶望した菊子は無二の親友である真雛に、鈴鹿の家への呪詛と、この村への呪詛と、熊の子を残し、村の外れ崖から身を投げた。表向きは熊の子を嫌った父親が妻子を捨てて逃げた為、それに絶望し自殺したことになっている。
・真雛 幼馴染の菊子をずっと愛し、一番の理解者として側にいるために親友を演じ続ける。慶には菊子の息子であるという意味での執着が強く、慶と通じ合って子を成せば自分も菊子の子を産めるくらいの気持ちでいる。村で生きるために結婚した夫のことはほぼ意識していない。菊臣のことは、菊子と昔した「私達の子供が男の子と女の子だったら結婚させましょう」という約束を果たしたいのに男に生まれた出来損ないという気持ちがあり、村を出る時に、お母さんの代わりに慶さんの側にいてという呪いのような言葉のみ残して連れて行かなかった。
・鈴鹿父 神社の婿養子。使用人の菊子を孕ませ、他の男をあてがって捨てる。十数年後、奇病の症状で寝込み、息子に慶の事を告白していたのを鈴鹿母に聞かれて帯で絞め殺される。
・鈴鹿母 鈴鹿父を絞め殺した後、鳥居横で首を吊って発見される。

・前回の第二幕一巡目で中央の残りダイスがすべて黒になってしまったため、第二幕二巡目は最後のワイルドダイス以外、すべてネガティブ結果のみで進行される。

【第二幕/二巡目】
■PC1:鈴鹿志緒(白2黒1)【確立】
村の儀式は中止、志緒は真雛に襲撃され、まだ命は繋いでいるもののほとんど動けない。慶は大志に撃たれ、大志と志緒の前には灰色熊が立ち塞がる。

【ポジティブ】
状況に耐えきれずに発狂。すべて忘れて幸せな世界で一人生きている。
【ネガティブ】弟が信じられない。と一瞬思ってしまい、最後の力で突き飛ばした。

⇒ネガティブ
慶が撃たれ儀式が中止になり、慶が鈴鹿姉弟の兄と聞いた志緒は狂乱に陥る。生まれてから自由なく生きていた志緒にとってはこの村の平和が全てだった。お腹の子供の事を告白し、大志から離れようと突き飛ばす事で志緒は儀式用の台から地面に転がり落ちた。

鈴鹿志緒:「——ごほっ」(両手で頭を抱えると絶叫した声が傷に響いて噎せるように背を丸くする。肩にかかる手にやっと気づいたように、乱れた髪の間から弟を見て)「なんでこんな事に、なんで、なんで…」
鈴鹿大志:「……姉さん。もう、終わるんだ。村はもう無いんだ。お役目なんて、もう必要ない」
鈴鹿志緒:「アタシはただ、何事も起こらず、平和なら——それ以外はなんでも良かったのに。ちがう、これじゃない、こんな。こんな…終わり方じゃなくて。 ねえ。兄って何、隠し事してたの、ねえ。大志。ねえ。」(己の事などすべて棚にあげたように、血にまみれた手で弟の袖をつかみ)
鈴鹿大志:「おれにとってこの村が平和だったことなんか一度も無かった!姉さんと兄さんをいずれ犠牲にするつもりでみんな知らぬ振りで生きて…!」
鈴鹿志緒:「そうしなければ、この村は成り立たないわ。 それにあれは兄さんじゃない。御熊様。御熊様よ」
鈴鹿大志:「村なんかどうでもいい。姉さんが生きててくれれば…!(傷口が焼け付くように痛み、目が霞む。姉の傷口も浅くはない)
………御熊様は死んだんだ。もう、自由になっていいはずなんだ、おれ達は。……姉さん。」
鈴鹿志緒:「自由よりも、平和の方が大事。だって、自由なんて、なかったもの。 なんなのか分からない。外のことなんて知らない。 それに」(言われる言葉は言葉として分かるが、拒絶するように首を振る)
鈴鹿志緒:「アタシには、どこにも自由な場所なんてない。子供がいる限り。 …此処にも、外にも、何処にも。」(重々しく吐きだすと、思い切り、弟を突き飛ばす。己が離れるために。あるいは弟を離すために)
鈴鹿志緒:(支えを失った身体が儀式用の台から落ちる際、突き飛ばした事にやった本人が驚いたように何か言いかけ伸ばした手は単に宙を掻いただけ。 灰熊の前へと転がり落ちていった)
鈴鹿大志:「今がそれだ!もうおれ達は自由なんだ!姉さん!……もう、これで最後なんだ」
(叫ぶ間にも灰色の死の影が迫る。せめて、一緒ならば。と覚悟を決め姉の身体を抱き締めたその時、全身に激痛が走る)
「……こど、も?」
(一瞬何が起こったのか分からなかった。気が付くと自分は地に臥し、姉がゆらりと倒れ転がり落ちるのを呆然と見ていた)
鈴鹿大志:(いつからか姉の調子がすぐれない様子を見ていた。気が付かない振りをしていた。自分だって、見ない振りをしていた——)
「………シオ!!」

鈴鹿志緒→黒ダイス→(白2黒2)

■PC2:慶(白1黒2)【解決】
慶:(傾いでいく視界の中、駆け寄ってくる菊臣の姿が見えた。こんな時だというのに嬉しい気持ちが湧いてくる。彼の傍だけでは抑えている感情が緩む。彼の傍でなら人でいられるような気がしていた)
慶:(しかしそんな気持ちもすぐに消えていく。気付いてしまった。彼の顔に、病の影があることに)
慶:(儀式。志緒は。村人は)
(救う。救えない。救えない。どうして。その為の自分なのに。どうして。救えないなら、自分がこんな姿に生まれたのは。菊臣の傍にいられないのは。どうして…)

【ポジティブ】役目を果たして菊臣や奇病に倒れた村人を救い、自分の存在は意味があったと思いながら死ぬ
【ネガティブ】消えて行く意識の最後に見たのは、己の腕が菊臣を吹き飛ばすところだった

⇒ネガティブ
檻に駆け寄った菊臣は石で鍵を壊し、慶を抱き起こす。しかし大志の銃に撃たれて慶としての命を失った黒熊は、熊神として蘇り、菊臣を鋭い爪の一撃で吹き飛ばした。

和村菊臣:(黒い巨体が横たわった檻に駆け寄る。母も、灰色の熊のことも、意識から消える。今はただ、大切な人の身だけを案じて、閉ざされた檻の粗末な鍵を拾った石で乱暴に殴りつけて開け放つ)
和村菊臣:「慶! しっかりしろ、慶!」(縋りつくように膝を折って、倒れた体に両手で触れて起きろと揺する)
慶:(毛に覆われた巨躯は揺すられても微動だにしない。垂れたままの頭の下からくぐもった声がぽつりと)「…きくおみ…」
和村菊臣:「慶……?」(微動だにせず頭を上げようともしない様子に焦りと不安を浮かべ、両腕を巨躯を抱き締めるように回して、身体を折って地に着いた彼の顔に己の顔を近づける)
慶:(腕を回せばその毛が血に濡れていることが伝わるだろうか。名前を呼んだのは、相手の呼びかけに応えたのではなかった。それが意識を失う間際最後の言葉)「……」(ゆっくりと巨体が起き上がる。間近で菊臣を見返す瞳には光がない)
慶:(自分の身を抱く腕を身じろぎ一つで解いた。鋭い爪が生えた腕が、菊臣の身体を突き飛ばす)
和村菊臣:(赤い血が回した腕を濡らす。起き上がる身体からまだ手は離さず、膝を折ったままの姿勢で慶と向き合う。ごく近い距離で見詰める瞳の昏さに、生まれて初めて彼に恐怖を感じた)
和村菊臣:(腕が離れる。恐怖を感じたことを恥じるように、また手を伸ばそうとした刹那)「け——」(獣の腕力を持った腕によって突き飛ばされた)
慶:(向けられた表情は見慣れたもの。いつからか、村の人間は皆同じ顔をして見えた。それを彼が自分に初めて向けたものだと認識することは出来ずに。彼が言いかけた言葉が何を示すものかも、もうわからない。自分の手が突き放した彼の姿を見る。それが最後の記憶)
慶:(立ち上がった巨体から滴る赤黒い血が地面を濡らす)「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」(咆哮。獣以外の何物でもない声が響いた)
和村菊臣:(鋭い爪は容易に皮膚を切り裂き、鮮血が周囲に飛び散る。地面に叩き付けられて、衝撃と痛みで朦朧としたまま、吠え猛る慶を見上げる。獣以外の何物でもないその声と姿に、それでも腕を伸ばして)「……けい、けい」(名を呼ぶ声はもう相手に届くことはなかった)

慶→黒ダイス→(白1黒3)

■PC3:和村菊臣(白2黒1)【確立】
慶であった黒熊の一撃で吹き飛ばされた菊臣。

【ポジティブ】慶が守ろうとしていた村を守ることを最後の約束とする
【ネガティブ】兄の奇病を治せる金丹を手にした雛菊ちゃんの目の前で、人と信じていた熊に喰われる

⇒ネガティブ
錯乱しているのかと慶へ腕を伸ばすが、地面に押さえ付けられて牙を食い込まされてゆく。初めて慶に感じる恐怖。そんな二人の傍に兄を救うための金丹を握り締めた雛菊が駆け寄っていく。苦痛の中、菊臣は最後の力を振り絞り、雛菊へ逃げろと声を上げるが、雛菊は何度も首を振りながら必死に黒熊を止めようと縋り付く。

和村菊臣:(聞き慣れた声がした。視線だけを動かして、妹の姿を視界の隅に捉える。地面に叩きつけられたせいか、それとも病が進行したせいか、地面から起き上がることは出来ない。目の前では、慶が猛り狂っている)「……来る、な」(危ないと、辛うじて声を絞り出す)
和村菊臣:「けい、けい、……目を覚ませ、慶」(怪我による痛みか、撃たれた衝撃か、錯乱しているのだろうと信じて咆哮する慶に呼びかけ続けて、手を伸ばす)
慶:(大きく開かれた口から覗く牙。伸ばされた手に反応するように下を向けば、牙の間から粘つく雫がボタリボタリと菊臣の顔に落ちる。答えるのは低い唸り声のみ)「———」(突き飛ばした腕がもう一度高く上がると、今度は菊臣の身体を押さえつけるように振り下ろされる)
慶:(菊臣を押さえつけようとしながら、駆け寄ってくる雛菊の気配に視線を上げる)
和村菊臣:(見上げると、そこにあるのは獣としか言いようのない顔。開かれた口から覗く牙に、落ちてくる粘り気のある雫に、低く響く唸り声に、身体の芯がぞっと冷えるような戦慄を覚える。それでも、伸ばした手は下ろさず)「……落ち着くんだ、慶」
和村菊臣:(振り下ろされる腕に逆らう力はもうなく、地面に押さえつけられるが、慶の視線が動き、その先に妹がいることに気づくと、表情に強い焦りが浮かんで)「やめろ、雛菊はダメだ」
慶:(吼え声を上げ雛菊の方へ一歩踏み出しかけたが、やめろという言葉が聞こえたのか、ただの気まぐれか。再び視線は自分の身体の下にいる菊臣へ向いた。熊の巨躯がその重みと共に菊臣の上へのしかかる)「———」(雛菊の願いを踏みにじるように、鋭い牙が菊臣の身体に深く突き刺さった)
和村菊臣:(妹の方へ踏み出そうとする巨躯に、懇願するように毛皮を掴む。視線が再び自分へ戻ると、僅かに安堵を浮かべるが、のしかかる重みにすぐ顔を歪めて)「——っぐ、が」(牙が食い込む痛みに声を上げる)
和村菊臣:「ひなぎく……にげ、ろ」(視線を妹に向けて、痛みを堪えながらこの場を離れろと告げた)

和村菊臣→黒ダイス→(白2黒2)

■PC4:和村雛菊(白2黒1)【確立】
黒熊を止めようとする雛菊だったが、暴れる黒熊に振り落とされ、兄が食い千切られてゆくのを呆然と見詰めるしかない。一人で逃げることも出来ず、懐の小刀を震える手で取り出すが――

慶:(雛菊が抱き着くくらいでは巨体はびくともしない。菊臣の上にのしかかったまま煩わし気に身を捩るだけだったが、縋る腕が大志の撃った銃創へ触れると、痛みに跳ねるように身を起こし)「ガッ…アアアアアアア!!」
慶:(激しく身をくねらせ雛菊を振り落とそうとしながら、火が点いたように菊臣へ牙を振り下ろしていく。どこと言わず、次から次へと肉へ牙を沈めては、食い千切る)
和村菊臣:(慶だった獣が吠えるのを地面から見上げる。牙に食い千切られる痛みに途切れがちな意識で、黒い体に縋りつく妹が振り落とされて、地面に叩きつけられるのではないかと気がかりで)「ひな、ぎく……」(千切れかけた右手を上げて、拳を慶の鋭い牙の並んだ口の中へと突っ込む)
和村菊臣:「ひなぎく……、いきろ」(拳を喉の奥まで突き込んで、妹が逃れる時間を少しでも稼ごうとしながら、それだけ告げる)

【ポジティブ】小刀で熊を倒し、兄を救助!金丹を飲ませ病気が治った兄と仲良く二人で暮らす。
【ネガティブ】熊を兄から引き離そうとするも返り討ち。怪我を負い、気が立った熊に兄の目の前で犯され、金丹は踏み躙られる。

⇒ネガティブ
ある程度肉を引き裂いたところで満足した様子で、黒熊は菊臣から顔を上げ、真っ赤に染まった口で菊臣から食い千切った腕をくわえたままのしのしと雛菊に迫っていく。菊臣は無い腕を、雛菊に迫る慶に向けて伸ばすが、すでに脚も失く、自分では起き上がれない姿になっていた。
兄の腕をかき抱いて弱々しく泣く雛菊に黒い影が覆い被さる。菊臣が昔与えた雛菊の髪飾りが弾け飛び、地面に落ちて血と泥にまみれて汚れる。
菊臣はその髪飾りを口でくわえ、噛み砕いた。親友が妹を犯すのを見ながら、兄は確かに勃起していた――。

和村雛菊→黒ダイス→(白2黒2)

■PC5:鈴鹿大志(白3)【確立】
・第二幕第二巡最後のワイルドダイスにて、この選択肢はポジティブとネガティブ両方から選べる。

血管が脈打つ度に身体に激痛が走る。
地に落ちた志緒の目の前で牙を剥く灰熊。
「しくじってしまった やり直さないと やり直さないと」
真雛が泣き声のような狂ったような笑い声のような声で呪詛を吐く。
殺した筈の兄が起き上がり、菊臣の身体から血飛沫がはじけ、雛菊が泣き叫ぶ。
全てがスローモーションのように見える。
自分には兄姉を解放するなど出来なかった。慶を殺しても何も変わらない。馬鹿げた計画だった。
自由など何処にもない。此処には最初から最後まで地獄しかない。

【ポジティブ】志緒を庇って灰色熊の攻撃を受け二人で地面に崩れ落ちる。志緒は虫の息の中で純白の毛皮の小熊——志緒と慶の子——を産み落とす。鈴鹿の熊の血を色濃く掛け合わせる事で遂に原初の熊神が顕現したのだった。村は熊の呪いから解放され、降り出した雪は全てを覆ってゆく。

【ネガティブ】絶望の中、大志の中から昏い欲望が解放される。頭と腕の傷口から赤黒い毛皮が生え半獣となり、灰色熊を押し退けて欲望のままに志緒を引き裂く。志緒の腹から引きずり出し喰らうのは、ヒトの嬰児——大志の子だった。三匹の熊の咆哮が炎上する村に響き渡る。

・投票はポジ2ネガ2に分かれる。これまでは分かれた時はPLで相談して決めてきていたが、今回のみPLの希望でダイスで決めることとなった。結果は――

⇒ネガティブ
鈴鹿大志:(灰色熊の牙が志緒に掛かる。姉は自分を捨て村を選ぶ。絶望と悲しみがやがて黒い燃えるような怒りに変わって行く。許せない。許せない。何もかも。慶だった熊が雛菊を犯している。灰色熊も志緒を犯すのかもしれない。許せない。志緒が熊と村を選ぶのならば——自分が「それ」ならばよかった。そうでありたかった。そうありたい)
鈴鹿大志:(傷口が燃え上がるように痛み、苦痛が極まりある種の快感へ変化していく。動かなかった身体が動く。灰色熊の前へ飛び降りると、体当たりで突き飛ばす)
「シオ……ねえさん……」
(言葉は途中から唸り声と化す。顎が軋んで開いていく。志緒を見下ろしながら、気が付くと嗤っていた)
(傷口を縛っていた布が落ちると、血が滲む肉から赤黒い毛皮に半ば覆われた大志の姿があった)
鈴鹿志緒:(儀式の台座めいた場所は一段高い。転がり落ちる際に本能的に腹をかばおうとした手の動きをそのままに、灰熊を見上げた。これも御熊様なのだろうか。それなら良いか。儀式が無事に済んだなら、村の…まだ息のある者たちがきっと——と、どこか遠い世界の事のように未だ考え)
鈴鹿志緒:(諦めたような顔で灰熊へと片手を伸ばした矢先、何かが視界に入る。見慣れているはずのに、感じる違和感。呼ばれた名前も聞きなれたものだったのに、それに続く音は人というよりも、獣に近いそれ。そこに今いるのは確かに弟であるはずなのに、異なる姿。灰熊に差し伸べたはずの手を、今はその相手へと差し向けたまま、確かめるように、呼ぶ)「……大志、…?」
鈴鹿大志:(救いたかった。一緒に生きたかった。熊の檻の中で死のうというのならば自分がそうなってやる。終わらせたかった。思考はとり止めもなく奔り、感情と欲望が入り交ざり強烈な飢えとなって身体を満たす)
「…ぇさん、……、…………………があ゛あ゛あ゛アアアア!!!」
(繰り返し呼ぶ名は獣の咆哮に変わり。赤黒い毛皮で覆われ膨れ上がって行く身体が姉に覆い被さる———)
鈴鹿大志:(——ばりばりと骨を噛み砕く音。ぐちゃぐちゃという粘っこい咀嚼音。赤黒い熊は、飛び散った肉片の中に横たわる血濡れの身体の胎の中から小さな肉塊を引き摺り出し、そのあぎとで噛み砕いた——)
鈴鹿志緒:「大志…あぶないから。動けるなら…逃げ——……」(先に突き飛ばした罪悪感に、今更ながらにじわりと目端を歪めながら。それでも口から出るのはごめんなさいではなかった。逃げよう、なのか。逃げて、だったのか。咆哮に紛れて聞き取れないまま)
鈴鹿志緒:「…おなか、おなかは……子供が——大志、子供が…! ——ぁああああ、ぁ……ぁ…」(自ら動くにはもうほとんど力が残っていない。押さえつけられ、骨が折れても身を裂かれても意識が残るうちは両手で腹をかばおうとして微かに抵抗めいた動きも見せたがなすすべもない。引きずり出された肉塊と、見えるはずもないのに目があったような錯覚を覚えたのと、己が喰われる咀嚼音よりもよほど大きく響いた気がしたのを最後に意識が消える)
鈴鹿志緒:(咀嚼する動きに、何も映していない瞳から浮いていた涙が血に汚れた頬を滑り落ちていった)
鈴鹿大志:(きっとずっとこうしたかった。こうしたかったのだ。悲鳴をも味わうように姉の肉を咀嚼する。視界が滲み、胸の奥が切り裂かれるような痛みも獣の慶びでかき消される)
(次世代の新たな生贄の娘だったのだろう。噛み砕いた一瞬、甘美な味が咥内から広がった。しかし飢えは治まらず、ひりついた飢餓感が一層身の内を灼く)
(獲物を奪われた灰色熊が吼える。黒い熊が犯し終わった少女と倒れた男をうち捨てて此方に向かって来る)
(地獄の村の中心では、絶望に狂った女が、自らの喉に小刀を突き刺した——)

鈴鹿大志→黒ダイス(ワイルドダイスは残響では元の色として扱われる)→(白3黒1)

【第二幕/二巡目終了】

【残響へ続く】

・RP部分は編集が入っています。
・PC4のRPはPL意向により抜いています。

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