「うやまわんわん〜犬将軍を崇める一族〜」第七章 犬彦の秘密(その3)
ベッドに寝転んで天井をながめていた。視界に入る3面の壁はベージュ色だったが、天井にはきれいなモスグリーンの壁紙が貼ってあった。
分犬守の屋敷とちがって染みひとつなかったが、天井とエアコンのすき間に、分犬守と同じように蜘蛛の巣が張ってあるのを見つけた。
屋敷じゅうが〝大葬の儀礼〟の準備に忙しそうだったので、僕の部屋まで掃除の手がまわらないのだろう。
ベージュの壁に目をむけると、甘いミルクティーが飲みたくなった。お手伝いさんに頼むのは気がひけたので、近所の自販機に買いに行くこ