ABCお笑いグランプリを予習しよう
7月11日の2時25分、ABCお笑いグランプリが開催されます。ABC漫才・落語新人コンクールから2010年に名前を変えたこの大会、前身の大会から数えると、40年以上続いている由緒ある大会でございます。
関西以外でもABEMAで生配信が決定しておりますので、全国どこにいても視聴できるこの大会、是非みなさんもこの記事で予習して、予想しながらスポーツ感覚でご覧になってはいかがでしょうか。
ABCお笑いグランプリについて
先ほども説明した通り、この大会は2010年に名前を変えた大会でして、前身のABC漫才・落語新人コンクールから数えると、40年以上続いている大会でございます。
ABC漫才・落語新人コンクール時代の最優秀新人賞に輝いた芸人というと、ダウンタウンやナインティナインなど、今でもテレビを席巻している、超大物の名前が上がっております。その他でも、フットボールアワーや千鳥、トロサーモンなど誰しも名前と顔が思い浮かぶ超有名な芸人ばかりでございます。
一方で最近の優勝者といえば、意外な名前が並ぶのも事実です。昨年でいえば、M-1常連のオズワルドを押さえて優勝はコウテイ。一昨年では、宮下草薙や四千頭身を押さえて、エンペラーが優勝しております。他にも過去の優勝者で言うと、ファイヤーサンダーやセルライトスパなど、お笑い好きからすれば有名で面白い人ばかりですが、それほどお笑いを見ない人にはあまり知られていない名前ではないかと思います。
ダウンタウンが優勝する大会で、最近の優勝者はそれほど知名度がないメンツがそろっている。
これほど、人気の先取りにちょうどいい大会は無いと思うんですよ。
M-1にしても、おもしろ荘にしても、ブームの火付け役という位置づけが確固たるものになってしまっています。M-1で優勝すれば次の日から人生が変わる。おもしろ荘で優勝すれば、バラエティの露出が増えだす。それを知って流行りを先取りする為に、多くの人が見る大会・番組になったと思うんですね。逆に言うと、それ自体が流行りを作ってしまっているんですよ。これは、先取りという要素が薄くなっていると思うんですね。
ただABCお笑いグランプリは、まだその位置づけにいない大会なんですよ。
ですが優勝者の歴史を見ていると、そうそうたるメンツが名を連ねております。すなわち、みんながまだ目を付けられていない、5年後、10年後にテレビを席巻する人気者を、今からキャッチできる大会と言えるんですよ。
大会の傾向と特徴
せっかくお笑いの大会を見るんですから、スポーツの様に予想して応援をして欲しいと思っております。そのためにもまず、この大会の傾向と特徴を押さえておく必要があるでしょう。
まず一番の特徴は、この大会は関西の大会だという点でございます。
ABCお笑いグランプリと名前を変えてからの過去9回、優勝者のほとんどが大阪芸人であり、さらに出身地で考えると全ての優勝者が関西出身となっております。やはり地場の力、関西勢に勢いが乗る節がある大会で有ると言う事は、事実でございます。
ただ毎年東京勢の勢いは増しております。昨年のファイナルステージをみても、コウテイ/オズワルド/フタリシズカと、3組中2組が東京芸人になっておりました。最終的に関西勢であるコウテイが優勝しましたが、東京芸人だからと言って、優勝が遠いと言う事は無い状況と言えるでしょう。
そしてもう一つの特徴は、とにかく吉本が強い大会なんですね。
過去9回の大会でも、吉本以外で優勝したのはファイヤーサンダーただ1組。残りの8大会は、7回が大阪吉本で1回が東京吉本と、かなり吉本色の強い大会であることが見て取れます。
ファイナルステージが吉本で埋まる事はあまりありませんが、優勝者だけを見ると過去ほぼ全てが吉本で固められているような状況で、吉本勢に風が吹きやすい大会と言えるのかもしれません。
2021年出場者とグループ
ここからは各グループごとに、芸人さんの紹介と展開の予想を紹介していきます。
Aグループ【オズワルド/さすらいラビー/さや香/Gパンパンダ】
M-1常連のオズワルド、今関西で勢いに乗るさや香、東京系のネタ番組に多く出演するGパンパンダと、ダークホース的なさすらいラビーの4組でございます。
正直メンツ的に、このブロックが一番熱いブロックだと思います。応援している芸人は他のブロックにもたくさんいますし、どれも面白いのは置いて置いて、このブロックはハイレベルな戦いになることが必至でございます。
オズワルドに関しては言わずもがなでしょう。さや香に関しても同じくで、この二組で東と西の一騎打ちのような構図がまず浮かぶかと思います。ただ、このブロックに入っている残り2組、Gパンパンダとさすらいラビーは知名度こそ劣るものの、ものすごい実力のある二組なんですね。
Gパンパンダといえば、公認会計士とエグイIQのコンビと言う事で、キャラ的にも立っていて、ネタも緻密に計算された、かしこ面白い笑いを得意としているコンビでございます。落ち着いたオズワルド、激しいさや香に挟まれても、世界観を崩さずしっかり笑いととれるコンビやと思うんですね。
そしてダークホースのさすらいラビーですよ。正直この大会で挙がってくるまで名前も知りませんでした。
ただこのコンビ。
ダークホースとして、一発あるんすよ。
無名の感じでサッと表れて、勝ち抜けていくのも見える、めちゃめちゃ面白いコンビやったんですよね。
とにかく、このAグループはかなり面白い戦いになることが予想されます。ここから誰が勝ち抜けるかで、空気がガラッと変わる、そんなグループです。
Bグループ【蛙亭/コットン/ダブルヒガシ/パンプキンポテトフライ】
最近テレビの露出が増えてきた蛙亭が目玉になるであろう、Bグループでございます。
知名度を持っている蛙亭がいることで、ここに目が行きがちですが、個人的にはダブルヒガシとコットンは、押さえておかないといけないコンビではないかと思います。とりわけダブルヒガシは、僕の押しと言う事もありますが、勝ち抜けが期待できるコンビです。
このブロックは、蛙亭の勢いを殺せるかどうかにかかっています。
知名度と実力で順当に蛙亭が行くか、それとも他の三組がサシに来るのか、そこが見どころになってくるでしょう。
Cグループ【赤もみじ/カベポスター/空気階段/チェリー大作戦】
一番展開を予想するが難しいのは、このグループやと思います。波乱のCグループでございます。
まずCグループまで来ると、かなり場の空気も出来上がってきているはずなんですね。それは必ずしもいいモノではないでしょうから、中だるみのダラけた空気かもしれませんし、下手すると全員ドンずべりして、お通夜みたいな空気でCグループを迎えている可能性だってある訳です。
ここで変わってくるのが、空気階段やと思うんですよ。これまでの流れがどんなものかによって、空気階段の評価ってかなり変わると思うんですね。
例えば、Aブロック・Bブロックの勝ち抜けが、さや香・ダブルヒガシと大阪漫才が続いてきた場合、空気階段にとっては少し戦いづらくなるかと思います。というのもCグループには、3年連続決勝進出のカベポスターと、2年連続決勝出場のチェリー大作戦が名を連ねております。
どちらも大阪の芸人ですが、カベポスターは東京漫才のような落ち着いた雰囲気から、ロジカルなボケを淡々と繰り出す漫才で、チェリー大作戦はコテコテの大阪感を前面に出したコントを得意としています。
これまでの流れが関西に向いている場合、関西色の強い二組の若手が爆発する可能性も大いに考えられるわけです。そう考えると、空気階段にとっては少し不利な状況が予想されます。
とはいえ、空気階段は人気実力ともにピカイチで、生半可なことで負けるコンビでもありません。その全体のバランス、他の組の実力の高さから、荒れるのはCグループではないかと思います。
最後にふさわしい、面白い戦いになる事かと思います。
犬井ワンの優勝予想
せっかくですから、いちお笑いファンとして私も予想をしたいと思います。
独断と偏見と好き嫌いで、私はこのように予想します。
Aグループ勝ち残り:オズワルド
Bグループ勝ち残り:ダブルヒガシ
Cグループ勝ち残り:カベポスター
優勝 : カベポスター
穴 : さすらいラビー
優勝予想はカベポスターで、穴予想で言うとさすらいラビーです。
さすらいラビーはAブロック通過できたら、そのまま優勝するんじゃないかと思ってるくらいです。
賞レースはスポーツ
贔屓の野球チームや、スポーツ選手の試合を見て、興奮した経験はありますでしょうか。私はあまりスポーツに興味が無いのであまりそういった経験をしたことはありませんが、応援しているチームの一喜一憂を共感し、ヒヤヒヤしたり、喜んだりすることがスポーツ観戦の醍醐味なんでしょう。
一方お笑いは、休みの日についているものくらいのイメージの人がほとんどではないでしょうか。私の様に、お笑いをそれほどまでにのめり込んで見ている人の方は少なく、ましてやスポーツの様に観戦をしている人なんて、ほとんどいない事かとおもいます。
でも、スポーツで熱くなれるんだったら。
お笑いでも、熱くなってみませんか?
僕はスポーツにはあまり興味がありませんが、賞レースやお笑いバトルを見るたびに、「こういう気持ちなんだろうな」と毎回思っております。好きな人を応援して、一喜一憂して手に汗握る一瞬一瞬の興奮を、スポーツで感じられない分、僕はお笑いで感じています。
みなさんはスポーツで感じられるから、スポーツでいいと思うのかもしれません。でも、別にスポーツでも感じて、お笑いで感じても良いじゃないですか。楽しいものは増えたほうがいいに決まってるじゃないですか。僕は皆様にお笑いの楽しみ方として、観戦をしてほしいと思っているんですよ。
応援したい人を見つけて、その人の戦いを見て笑いながら応援する。
そんな参加型の観戦を、皆さんも一緒にやってみませんか。