No.8 成長するために、「独りでいる」ということ

こんにちは。
プロテニスプレイヤーの乾祐一郎です。



今回は、心持ちというか、そんな話をしようと思っています。


テニスは、ひとりでは練習も試合もできません。
練習も大体は、テニスクラブや友達と一緒にコートを取ってするのが一般的だと思いす。
ということで、上達するには人と人との関わりが重要ということはイメージができると思います。

ここで、見方を変えてみましょう。


テニスは個人競技です。
1人では練習できないのに、個人競技なのです。
普段の練習相手も、時には対戦相手になりうるのがテニスです。
野球やサッカーの場合は大体がチーム練習なので、基本的には同じチームの人と戦うことはありません。(ポジション争いなどはありますが…)

相手になる選手と一緒に練習するということは、基本的にはライバルと同じような練習をすることになります。
その中で、突き抜けて強くなるためには何が必要なのでしょうか?

その答えはずばり、


「いかに独りになれるかどうか」

だと思います。

冒頭に、テニスは1人ではできないとお話ししました。
しかし独りになれるかというのはどういうことなのか…


答えは、

意識を1人だけでも高い次元に持っていく。


ということです。
同じ練習をしていても、しっかり自分の課題ややるべきことに意識を持っていくかどうかで効果はかなり違ってきます。

そのような気持ちの部分というのはなかなか他人には見えにくいところなので、自分自身との戦いになると思います。
そこが難しいところなのです。


人というのは、楽をしたがると思っています。
一緒に練習している人が自分より意識が低いと、どうしてもそちらに引っ張られがちなのです。


誰もが経験あると思います。
友達がやっているからといって、自分のためにならないことをしてしまう経験が…
もちろん私もあります。


そのような周りの誘惑に負けないようにするためにはどうすればいいのでしょうか?


まずは、「自分の目標をしっかりと持つこと」だと思います。


私がジュニアの時、出身である広島県で練習していました。
私の年代の選手は、全国大会に出場する選手は何人かいましたが全国大会で優勝に絡む戦績を残す人というのはなかなかいませんでした。
しかし上手い選手はかなり多く、層の厚い年代だったと思います。

元々私は、県でもそんなに強いほうではなく、中学生のころまでは県予選もぎりぎり5・6位で通過とか、そんな感じでした。

しかし幸運(今思えばですが…)にも、同じクラブの同年代の仲いい人たちと違う高校に入学したのです。


高校で、1人の環境に身を置くことになりました。
そこが思考が変わった瞬間だったと思います。
周りに友達がいない環境というのは、自分自身に集中するいい機会になりました。


そこで私は、ジュニアITFやJOPに出場するようになり、日本のトップジュニアのテニスを肌で感じることが多くなりました。
そんなこんなで私の目標が、「全国大会に出場する」というものから、「全国大会で勝つ(優勝する)」というものに変わっていったのです。


より上を見ることで、自分のテニスが底上げされ、結果最後の中国ジュニアでは、1セットも落とすことなく優勝することが出来ました。
友達と仲良く部活などでテニスをしていたら、ここまで成長はしていなかったと思います。

その目標というものが、自分を強くしてくれたと思います。


しかし、現実問題なかなか1人だけで頑張り続けるというのは難しいものです。
テニスクラブに所属していれば、必然的にライバルたちと練習することになりますし、練習強度的にも同じレベルでの練習は必要になってきます。


そこで、どのように独りの感覚を付けていけば良いのでしょうか?


私はまず、

少しでも1人で鍛錬する時間を作る

ということが大事だと思います。


例えば、「練習が始まる前に、15分壁打ちをしてから入る」だったり、「家に帰ってから必ず20分ストレッチをする」ということだったり、「レッスン最後のランニング系のトレーニングは、必ず1人で自分のペースで走る」などなど…いろいろありますよね。


その、1人で鍛錬する時間というのを自分に妥協無く突き詰めることが出来れば、月日が経つにつれ、どんどん成長していくと思います。



度が過ぎると、周りの友達から「なんやあいつ、付き合い悪いな…」と煙たがれるかもしれませんが、その瞬間、その人との差がどんどん開いていると思えば気にならないかなと思います。


余談ですが、私も、ジュニア時代大学生のアシスタントコーチに、「意識だけプロかよ」と馬鹿にされたことがあります。
今となれば、ざまあみろという感じですが…(笑)



ということで、独りになることというテーマで、書いてみました。
長いようで短いジュニア時代ですので、後悔しないような取り組み方が出来ればいいですよね。
その参考になっていれば嬉しいです。



ご覧いただき、ありがとうございました!


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