自分を救ってくれた大切な存在
ずっと子供の頃からあこがれ続けてきた音楽の道。音楽理論がどうしてもあまり理解できず、我流に作り再生数1000の評価数10が多いのか少ないのかもあまりわからないまま1年激しいペースで休みなしに活動をしていたらマンネリが訪れた。そしてそのまま日に日に生きることが辛くなってしまった。
好きな作家が犬や猫の保護活動をしており、自分もあまり人にほめられはしない人生を歩んできたので少し罪滅ぼしな感じに生きたいと思い県内の保健所に猫を引き取りたいと電話をかけた。しかしどこか謎なタイミングで口を出してくる父がそれならばペットショップに行き猫を買ってやると言い出した。正直内心では猫を本気で保護したかったのでその旨を伝えたかったが、人の言うことを一切聞かない父親の性格を考えると聞き入れてもらえることはほぼ不可能に近く半分罪悪感を抱きながら店に向かった。そこで全く乗り気じゃない状況で店内の猫を見ていた。白いチンチラの子猫が大人しくケージの中にいた。一瞬で電流が走った。
母には心の病があり、動物を保護している作家のペットエッセイでは不幸なことに短命に命を落としてしまった保護猫が何匹かいた。もし同じ状況が降りかかった場合、母の心がそれに耐えられるかというと結構不安だ。そういう意味でも保護猫を飼わなかったことは最悪の事態を想定すると少し仕方なかったことなのかもしれない。街頭で寄付を募る動物愛護の団体を見かけた際は50円を寄付することにしている。
家にやってきてくれたチンチラシルバーの猫すみれはめちゃめちゃに可憐であった。孤独にひたすら小説や音楽を創作しても行き詰った際に相談できるような友人も支えあえる恋人もいない自分にとってはなんとなく飼った猫の存在が日に日に大きくなっていった。今でこそある程度の絵は描けるようになったけれど愛猫を上手く描けるようになりたいという想いから猫の絵をひたすら模写してそこから自分流の画風や描き方でもふもふした長毛の猫を描けるようになっていった。
ゲージをかみかみしたり、よく鳴き声を出す子猫時代のすみれはかわいかった。余談だがすみれという名は花屋の娘という曲からとっている。好きなバンドの歌詞で出てくる女の子の名前がそれしかなかったのだ。第2候補にライカ(メレンゲというバンドの曲名)などもあったが母に却下された。
扇風機のスイッチを押してるかのような写真、カレンダーの筒の中に器用に入ってしまったりダンボール箱の中に文字通り箱入り娘と化したりうちの猫のかわいさには枚挙にいとまがない。今年5歳になるがとにかく長生きしてほしいのニャン。