私がジエノゲストで生理を止めた理由。
きびのは2023年2月から約1年7ヶ月、ジエノゲスト(ディナゲスト)という薬を飲んでいます。
ジエノゲストとは、子宮内膜症など婦人科系の治療薬のことで、毎日飲むことで月経が止まるのでもう一年ほど生理のない生活をしています。
なぜそうしたのか書きたいと思いながらも、デリケートかつ医療知識の理解が必要になるため「素人が滅多なこと言えんな〜」と二の足を踏んでいました。
ところがある日「待って?このサイトのジエノゲストの説明めちゃくちゃわかりやすいじゃん!素人の私がアレコレ書くよりも引用させてもらう方が100倍良いのでは?」と思える出会いがあり、木更津のはるこレディースクリニック様にご協力いただき、この記事を作成することにしました。
同クリニックのウェブサイトはジエノゲストについてほんっとうに分かりやすく説明されているので、まずはこちらをご覧いただけますと幸いです!
横須賀はるこ先生には、いきなり「引用させてください!そしてできましたらジエノゲストについて少しお話し伺わせてください!」と電話してきた漫画家を名乗る怪しい女に「ジエノゲストの周知に繋がるなら是非!」とご快諾いただき、本当に感謝しています。ありがとうございます!
早速以下、引用させていただきます!
月経が完全になくなるって大丈夫なの?と思う方がほとんどだと思いますので、さらに引用させていただきます(ありがたや〜)。
ということなので私本人は特に不安はないのですが、薬で生理を止めていることを伝えた人の中には微妙な反応をする方もいます。自然に反している、楽したいだけじゃないのか(それは何も悪いことだと思いませんが)とか。もしかしたら性に奔放だから避妊目的で使ってるのでは?という誤解をする人もいるかもしれません(ジエノゲストはピルと違って避妊の適応はありません)
全然そんなことはなく、私の場合は、ただ普通の生活をしたい。
そんな思いから飲み始めました。
血まみれ地獄の免許更新
元々子宮内膜症の影響で生理は重く、産後も腹痛腰痛頭痛、気分が落ち込み絶望的になるといったPMS(月経前症候群)などがありましたが、一番の悩みは尋常ではない出血量でした。
異常さに気付いたのは4年前の誕生日。2駅先の警察署へ免許更新に行っていたときのこと。家を出る時に替えた〈普通の日用〉ナプキンが自宅から駅までの10分で限界を迎え、駅のトイレで交換。3分ほど電車に乗って徒歩10分の警察署に着く頃にはまた限界になっていて、教習ビデオ中に溢れては困るので近隣の薬局で〈夜用〉と〈タンポン〉を購入し交換→警察署へ。
ナプキンとタンポン、ダブルだし安心。と思いきや、教習ビデオが始まってすぐに嫌な予感が。もう横漏れしてる??
咄嗟に腰を浮かして、空気椅子状態で教習ビデオ上映を乗り切る羽目に。顔面蒼白の死んだ目で写真を撮り無事交付されたら、免許証をひったくるように受け取りその場から逃げ去りました。すっかり汚れてしまったショーツが気持ち悪くて、また先ほどの薬局に行きサニタリーショーツを買って履き替えてからの帰路。なんでこんな思いをしなきゃいけないんだ…私はただ…免許の更新に来ただけなのに…。
自分の体の中でとんでもないことが起こっているという不安と、経血を漏らしてしまった時特有の情けなさ・惨めさみたいなのに苛まれて半泣きでした。
実は数ヶ月前から「あれ?なんか今月は血の量が多いな??」と思うことはあったのですがあまり真剣に捉えておらず。こうして生活に支障が出るようになってやっと「これは何かおかしい」と考えることになったわけなのですが、こんなにおかしいのに私はすぐに病院に行かず、なんと約1年もこの状態を続けていたのです。
最も出血がやばいのが月に3日くらいあって、娘の幼稚園の行事と被ると欠席せざるを得ず、それが辛かったのをよく覚えています(なのに病院行かない不思議)。屋久島へ一人旅に行くときは絶対生理になりたくなかったので、生理を遅らせるために中用量ピルを処方してもらいました。その時少しだけ「こういう方法もあるんだ〜へ〜」とは思ったのですが、常用するまでは思い至りませんでした。
でも毎月異常な量で出血しているとどうなるかと言うと、当然ながら血が足りなくなります。貧血です。1年近く放置したことでかなり危険なレベルの貧血になってしまい、まずはそちらを治療しようとなりました。
ヘモグロビン数値が正常に戻ったタイミングで「経血過多をなんとかしないとまた貧血を繰り返す」と言われ、たまたまTwitterで見た「ジエノゲスト」とやらを服用できないかと相談し、試してみることになったのです。
子宮内膜症とは
一旦すっ飛ばして話を進めてしまいましたが、私が長年患っている子宮内膜症という病気について。こちらもはるこレディースクリニックさんのページを貼らせていただき、引用させていただきます。
私は高校くらいから内膜症の疑いがあり、生まれて初めて行った産婦人科でろくに病気について説明をされないまま高齢の男性医師に「早く妊娠して子供を何人か産みなさい。それで多分治る。」と言われました。
20代−30代で子供を産む女性が減ったことと、昔みたいに一人が数人産まなくなったことから(トータルの妊娠期間が短い)現代病的に増加していると聞いたこともあるのですが、私の中で妊娠出産は「人間が正気で耐えられる苦痛の限界」だと思っているので、それを複数回行わないと病気になってしまうって、なんか女性の体の設計もうちょっとなんとかならんかったんかって思ってしまいます。
ともかく多くの女性が抱えている病気であることは事実。経血量が多ければ十分に気をつけ(私はelisのクリニクスというラスボス的な厚みのナプキン使ってました。それでも漏れましたが)痛みは鎮痛剤で和らげながら付き合っていく方がほとんどかと思います。
でも「これが普通、当たり前」と思い付き合っていくうちに、異常な事態になっても気付かずやり過ごしてしまうケースも多いのではと。
以前の私のように。
私がつらい、これ以上の理由はない
そうして始まった投薬。特にこれといった不調はありませんでした。飲み始めて数ヶ月、不正出血がほぼ毎日あるのには驚きましたが、あの異常な出血量を経験している私にしてみたら「普通の量だ!」とそれだけで嬉しかったものです。そして半年ほどで出血が完全に無くなり、毎月の憂鬱と痛みから解放されてやっと「なんであんな異常な状態に耐えていたんだろう。あれが普通や当たり前であってたまるかーー!」と思うようになりました。
本当に快適過ぎて絶対に服用をやめたくなくて、検診(3ヶ月に一度は婦人科を受診しています)の際に「子宮内膜症が改善されたら飲むのをやめなくてはいけないんですか?」という質問をしてしまったほど。
「子宮内膜症というのは生理が起こることで症状が出ます。今はジエノゲストで症状を止めている状態。また生理になれば症状が出るので、閉経まで続けるのが良いと思います」と言っていただきちょっとだけ恥ずかしい質問しちゃったなと思いましたが、それよりも閉経まで飲み続けて良いというのが嬉し過ぎて帰り道はルンルンでした。
もう何かイベントのたびに生理が重なったらどうしようとか、予想外に始まった朝なんで今…?とか思わなくて良いし、何よりあのとめどない出血に苦しめられることもない!なんて最高なんだ。
やっぱり最初は「生理を止める」と言うことに抵抗はありましたし、治療のためとはいえ何かしらの理由が必要かもとは思いました。
でも「私がつらい」これ以上の理由は無いんですよね。
周りにどう思われようが、私がどう思うかが一番重要。
私の苦しみや痛みをどうするかは私が決めることなんだと、知らず知らずのうちに囚われていた価値観から解放されていきました。
色々あるけど飲み続けたい
ところで最近「ジエノゲストは太る」と言う話を耳にして「まじか…」となったことがありまして。私この2.3年ほどでボボーンと太ったんですけど、その増え方が尋常じゃなくて。3年前に断食系ダイエットで痩せたけどリバウンド、さらに禁煙のコンボで食欲増大していたので「まあこんだけ食べたら太るよね」とある程度納得はしていたのですが、禁煙も2年以上になり食欲が落ち着いてもすごい勢いで増量していて、とにかく痩せない。
びっくりするほど痩せない。
ダンスやってるし運動量はそこそこある方なのに、こんなに痩せないことってある???と釈然としない思いを抱えていました。でも、その「どうしてこんなに痩せないの??」と思い始めたのがジエノゲスト服用期間とぴったり同じなことに気付き、これはもしかして…!と。
私は自己肯定感バリ高女なので多少増量しようが「今日も私可愛いわ〜」くらいに思っていたのですが、実を言うとここのところのシルエットの変化や痩せない具合がすこーしずつストレスになりつつあるんですよね。医学的根拠はないようですが、ジエノゲストを飲んだら太った、飲むのをやめたらスルッと痩せたと言う話、調べたらゴロゴロ出てくる。
これはもう、痩せるためにやめるしかないのか??と結構真剣に悩んでいました。でも、やっと手に入れた「普通の暮らし」を手放すことになるかもしれないし…またあんな思いをするのは嫌…!
QOLを取るかダイエットを取るか、どうしたらいいの〜〜?
などなど、グルグル考えた結果
「QOLもダイエットも、どっちもあきらめん!!!ジエノゲスト飲みながら痩せてみせる!!!!」という結論に。結局ゴリ押し。だけど私はどっちも手放せないから、これしかないんだ!!やるぞ、やってやる!!!
それにしても。こうして自分がそうなってみると、薬や病気の影響で痩せられないことって実際に結構あるんだろうなと。だから本当に、太った痩せただと外見的なことは絶対に言うべきじゃないと改めて思いました。あまりにも想像力が欠如していますし、体型サゲが楽しい話題だと思っているならば10バージョンくらいまとめて知識のアップデートが必要ですよね。
そういう人たちを納得させる見た目や生き方なんて、まじで要らねっス。
〈横須賀はるこ先生より〉
最後に、横須賀先生からコメントを頂戴しましたので、
ぜひご覧ください。
ジエノゲストはどんな方でも内服できるお薬です。
ピルのように禁忌事項はありませんし、飲み合わせや体質もNGなものはありません。 しかしながら不正出血のコントロールやしっかり説明を受けてなくて、やむなく断念してしまう患者さんが多いと感じています。
実際に合わないのは1割の患者さんくらいです。
ジエノゲストが悪いのではなく、むしろ私たち医療者が正しく寄り添って
フォローできていない責任だと考えています。
ジエノゲストもピルも、女性が自分らしく生きるための有効な手段になります。リスクやベネフィットなどしっかり説明を受けた上で、ご希望のお薬を使っていただきたいなと思います。私たち医療者が、治療が継続でき快適に生活できますよう、しっかりサポートさせていただきます。
自分の体のことは自分で決める、SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights=性と生殖のことを自己決定する権利)の概念は、
私たち産婦人科医が信条としている概念です。
あやとらさんのように、全ての女性がご自身にあった選択肢を選びとって
素敵な人生を送っていただけるような世の中になればいいなと思います!
また、ジエノゲスト0.5mg錠という、半分の量の規格は、日本でしか発売されてないんですが、これがピル飲む前の若い世代の子やPMSにも有効です。海外の論文に掲載されましたので、よろしければご覧ください。
https://www.mdpi.com/2673-396X/5/3/26
(https://www.mdpi.com/2673-396X/5/3/26)
生理のことでお悩みの方は、
ぜひお近くの婦人科に、お気軽に相談にいらして下さい!
横須賀 はるこ
書くなら正しい内容をという思いからコンタクトを取らせていただいたのですが、婦人科系の悩みや苦しみに寄り添い、QOLの維持・向上のためにジエノゲストやピルの周知につとめておられ、本当に横須賀先生の相談して良かったと心から思います。(私の嗅覚さすが…!)
また、先生のお話でSRHRを初めて知って、そんな素晴らしい概念があるのかと感動しました。あくまで私の実感としてですが、現代の日本では性と生殖について何かしら強制されることはそうそうなくても(あってはえらいことですが)、「なんか断りづらい」「なんか良くない気がする」みたいな空気はあるように思います。まさしく私が「生理は病気じゃないし、これくらいは耐えなきゃいけない」と思っていたのと同じで、自己決定と思っていることが実は何かしらの空気によるものだったということもあるかなと。
この記事はあくまで私のケースでの服用記録であり、ジエノゲストをおすすめするものではありません。 ですが、もしも私と同じような症状がありながら耐えている人がいるなら、一つの可能性として知ってもらえるととても嬉しく思います。横須賀先生のコメントからも分かる通り、その道は大きく開かれつつありますので安心して踏み出せると思います。
誰のためでもなく、ただただ自分のためのSRHRが当たり前の世の中になれば、私もとても嬉しいです。
※この記事のコメントの返信は致しませんのでご了承ください。
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