随筆(2020/8/29):報われない思いは、複利で溜まる
1.報われない思いは、複利で溜まる
報われない思いは、複利で溜まる。
長年報いて来なかったことを、後日報いる段になって、報いる側が耳を揃えて払おうとしていて、
「そんなんじゃ利息分足りねえんだよ」
と報いられる側に言われて、報いる側が被害者面をすることがある。
そういうのを見ると、
「何意外そうな顔をされておられる?
こんなの当たり前では?
公正とは、公正取引ということは、ノシつけて返すことだ。
という認識が、まさか足りておられぬ…?」
という冷たい感情になってくる。
報いなかった側が、被害者顔をするんじゃあない。
2.賠償も、複利で溜まる
そのうち、報酬に利息が上乗せされるだけでなく、賠償まで必要とされるようになる。
もちろんこれにも利息がつくんだからな。複利で。
3.恨みも、複利で溜まる
あと、小説家・ライターのまくるめ氏(noteにもいらっしゃいます)が仰られていたのですが、恨みも複利で溜まるんですよ。
んで、恨みの複利は恐ろしいんですよ。
これは、返済そのものより、相手の返済能力を超えるレベルになるまで耐え抜いて、一気に破滅させることへの志向が強くなるんだから。
「返してもらっても今更それはええねん。ノシつけて返済して破滅してくれるのが一番嬉しいんじゃ」
こう思われて、天上不知唯我独損(ハコワレ)になるまで執拗に払わされるの、最悪でしょう。
当然、そういう事態がバックグラウンドで進行していたら、これはとてつもないリスクだ。
なので、「自分は相手にきちんと報いているか」ということは、常に考えていなければならない。
4.不信も、複利で溜まる
相手からの信頼が「まだ」残っているなら、「自分は相手にきちんと報いているか」と直接質問するのもいいかも知れない。
早いうちがいい。不信も複利で溜まる。
正直、おそらく、時間がちょっと経った頃には、主観的にはかなり法外な報酬を要求されるだろう。
この時点でうんざりして、それ以上訊きたくなくなるかも知れない。
だが、ここで踏ん張って、話し合いの末、妥協点、落としどころを設けた方がいい。
しばらくしたら向こうの要求は「かなり法外な」ではなく、「払ったら破滅する」レベルになるからだ。
こうなったらもう取り返しがつかない。どんな形かは分からないが、えげつない破局が待っているだろう。最悪、社会生命や、生命が、そこで終わる。
とにかく、早め早めに支払っておく。これが大事。
***
ちなみに、いったん構築された不信は、利息ごと払うことは出来ない。何らかのしこりは、必ず溜まる。
それは、ほっとくと、また大きく膨れ上がる。なので、「払いきったからもう払う必要はない」とか思っちゃいけない。
次のタイミングを見計らって、また随時払っていくしかない。
そういうことをしているうちに、最終的に、不信は、ほとんど問題にならないほど小さくなる。
もちろん、記憶が残っている限り、永遠に残るんだが、これを相手がちらつかせることは、基本的になくなる。
***
「搾取されたらどうする?」と言いたい人もいようが、話が逆なんだよな。
搾取された側がノシつけて返させようとして、払ってもらえず不信を抱えていると、「払わない側は、公正の価値観を採用しない、非人間のクズだ」と確信して、直ちに搾取者に「なる」。
返済や賠償や、恨みや不信などのしこりで収まっているうちは、まだマシだ。
搾取者は、今までしてきた話が、基本全部通用しない。
とにかく搾取するためなら何だってするだろう。
そうなったら手に負えないし、そうなる引き金を引いたのは、丁寧にしこりをほぐさなかったやつらだ。
しこりは、ほぐさなけらばならない。
搾取されたくないんなら、ガチの搾取が発生する前に、そこはキッチリ済ませなきゃならない。
マジの搾取は、今食らっている返済や賠償や、恨みや不信などのしこりとは、比べ物にならないくらいの、ガチの面倒事なんですよ。
そういうものです。
***
どうしても耐えられないなら、弁護士等に相談だ。
本当は初手でこれをやるべきなんだけどな。中長期的には安上りだし。
自力で短期的決着を目指すと、それはしばしばこじれて中長期的になるから、結局は最初からプロに任せた方がマシよ。
生活の快適さは、しばしば、労働の礎、収入の礎なんだから、場合によっては金そのものよりも重い。
そこが脅かされているんなら、テキパキ専門的に対処しないと、労働や収入面で、後で大きな損害がある。これを防げるんなら、防いだ方が絶対にいい。
5.踏み倒し戦術を取るのは、もはや危険度の方が大きい
まして、「踏み倒す」ことを前提に行動してはいけない。
損得を考えたら、踏み倒すのはごくありがちな話だ。
だが、これをやる限り、公正によってもたらされるすべてのメリットは、正規の方法では絶対に手に入らなくなる。
「そういうのは要らねえんだよ」という人、要らないんなら「ノシつけて返せ」という類いのことを二度と言わないで欲しいものだ。
自覚がないかも知れないが、彼らの多くが、かなりしょっちゅう、そういうこと、言っとるやろがい。ホンマ、よくも抜け抜けと言いよるな。
長期的に、デカイ市場で、よりリスクを分散した安定的な取引をして、きちんと回る生計がしたいのなら、公正を無視してはいけない。
それが、ある種のデカイ市場で取引を行うための、最低限の条件の一つなのだから。
これらが全部手に入らなくなるのは、ふつう、はっきりと、損だ。
そんな感じです。やっていきましょう。(いじょうです)