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真・中華一番! タレ仮面様スクリプト 3-1,3-2,3-3,3-4

3前前半

「このエビと見せかけてサソリを忍び込ませる手口は‥タレ仮面様!」

「失礼なことを言うな それは食材だ 死んでいる 食えばうまいが 手に刺さると毒だ 尾には触るなよ小僧」

「はあ‥(前の卑怯勝負の時よりだいぶまともだ‥)」

「さあ 最初の勝負は"刀工勝負"(包丁技術勝負)だ!」

「いいけどさ‥一つ訊いていいか? 何故‥今さらこんな不毛な勝負を‥」

「フ‥オレの復讐の人生は終わった オレはオレの料理人としての人生を もう一度燃やしてみたいのだ!

完成了(できたぞ)! 見よ! 白い身の雲の切れ目を舞う 3尾の殻で作った"龍"の細工だ‥‥!」

「‥やっぱり純粋な刀工はあんたの方が上だ だが‥これが僕の細工包丁 6尾の殻で作った"麒麟"だ‥‥!」

「何だと!? 扁平なウチワエビをこうも立体的(ステレオ)に細工するとは‥

なるほど‥龍蝦(イセエビ)の近縁種であることにこだわっていたオレより おまえの方が規模(スケール)がデカい

この勝負 おまえに勝ちを譲ってやる だが今度は甘くないぞ 次だ小僧!」「応!」

ガレージキットめいた道理で一勝するマオ しかしここから勝負は波乱を迎えることになるのだった――

***

3前後半

「このエビを揚げる軽快な音は‥タレ仮面様!」

「二番目の勝負は"炸"(揚げもの)だ いいか エビの揚げものの真髄は

きつね色に揚げられたエビの香ばしい風味と 濃厚なタレの味わいの組み合わせ(コンビネーション)にあるのだ!!」

「所以我説那個醤汁口尼(だからそのタレはどこ)?」

「ここにあるぞ! 我が人生を共にした乾貨(高級乾物)で作り上げた秘伝のタレが!」「‥えー!? あるの!?」

「完成了(できたぞ)!! オレのエビの揚げものの完成形!

海味乾貨湯包雲龍炸鳳尾蝦(セミエビのカシューナッツと乾物のタレ小籠包的湯葉包みアーモンド衣揚げ)!」

「ええー!? それあんたの炸鳳尾蝦と僕の雲龍揚げの組み合わせ(コンビネーション)だろ! 料理人としての"誇り"は無いのか‥‥!!」

「おいし~いっ!! おいしいお汁が『ピュピュ』って出て来る!!」

「‥シロウ!? (サクッ)そ そんな‥み 道の正邪を問わずうまいものはうまい‥‥!!」

「良い料理人は確かに良い料理を作る事ができるさ だがな"悪い料理人は何でもできる"んだぞ!! 覚えておけははははは―――ッ」

まさかの一勝一敗 そしてマオとタレ仮面様の勝負の行方は――

***

3後前半

「このエビの風味とギリギリ渡り合う乾貨(高級乾物)の旨みは‥ダシマスター!」

「もうタレ仮面ですらなくなったか‥フー‥まあいい そうだ 第三の勝負は"焼(サオ)"(煮込み・ナベ料理)よ‥‥!!

それにしてもみんなタレ仮面だのタレおじさんだのダシマスターだの失礼な呼び名だよな

オレはむしろエビにこだわっているのに エビ仮面とは誰も呼ばないのがよくわからん‥(ブツブツ)」

「‥蝦蝦麺(えびかめん)様?」「それはそれで美味そうだがな これは麺料理ではなくてナベ料理だ さあ食え オレの海鮮鍋を‥!」

「う‥ゾウリエビの甘味 うま味 エビとしての風味 どれもイセエビを上回る

この前はむせるような強いダシに ナベの主役であるべきイセエビが負けちゃってたけど

これは強い食材同士で奇跡的に調和が取れている‥‥!」

「オレの復讐の歳月を吸って来た乾貨だが‥時を経てきたものは円熟すべきもの‥‥! 復讐を捨てて初めて思い知ったのだ‥‥!」

(デ‥‥デカイ‥ タレ仮面様がとてつもなく大きく見える‥‥‥!!)(続)

***

3後後半

(続)「だが 僕も負けるつもりはない これが僕の料理 山海焼(海幸山幸煮)だ!」

「むっ! これは‥西班牙(スペイン)の 海のエビと 山の鶏とナッツのトマト煮込み"マル・イ・モンターニャ"!

小僧 おまえはかつて仏料理人にトマトのエビあんかけチャーハンで勝ったそうだが それでトマトの調理法を秘かに研究してきたという訳か‥‥!

かつて味に溺れて調和を見失っていたオレが こうして調和を取り戻したところを

おまえは調和と味の爆発力を兼ね揃えた世界の規模(スケール)で軽々と越えてきた‥

オレのこの舌に賭けて嘘は言えない‥この勝負 おまえの勝ちだ‥‥!」「太好了(やった)!」

「だが‥何故だ!?」「え‥‥?」「復讐や裏料理界を捨ててもなお勝てぬだと!? 勝てば思い残すことなく鎮魂に至るのかと思ったが‥

一度堕ちた者にそのようなうまい話はないということか! ではオレはどうすればいいというのだ! おのれーッ!」

「あれ‥何か怒ってどっか行っちゃったよあのおっさん‥ヤバくね‥?」「‥」

去っていくタレ仮面様 辛くも勝利したマオだが これで終わりではなかったのであった――

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