真・中華一番! タレ仮面様スクリプト 1,2
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時は清代 最難関とされる広州特級厨師試験に史上最年少で合格した少年 劉 昴星(リュウ マオシン)
ある日マオと仲間たちは広州料理界に呼ばれて海鐘公園南の異人館に向かった
そこはかつて恐るべき裏料理界の刺客と龍蝦三争覇(イセエビ三番勝負)で戦った因縁の場所であった
が そこに待ち受けていたのは‥
「このイセエビは‥タレ仮面様!」
「オレをかつて一度は倒した‥特級厨師の小僧よ聞くが良い‥」
「何故だ! あんたは毒を呷って館に火を放って死んだはずじゃ‥‥!」
「そんなことより聞くが良い イセエビは味もさることながら 姿形に欠けのないことが極めて重要になる
衝撃を与えると自ら脚を切り離すため 運送の際には細心の注意が必要になるのだ
暗所でもみ殻に包んでおけば数日は生きているが 氷で冷やすと却って死んでしまい値打ちが下がる
龍蝦三争覇では刀工(包丁)炸(揚げもの)焼(煮込み・ナベ料理)で料理(や)ったが
他にも湯(スープ)熬(茹でる)火考(焼く)
西班牙(スペイン)では"パエリア"なる火会飯(炊き込みご飯)があるそうだ
イセエビを料理(や)る時のためによく覚えておくのだ いいな小僧!」
「は‥はいっ!」
***
2
「この大量の大型エビは‥タレ仮面様!」
「オレをかつて一度は倒した‥特級厨師の小僧よ聞くが良い‥
龍蝦(イセエビ)は美味なる高級食材だが 大型エビには ウチワエビ セミエビ ゾウリエビなどがある
これらはイセエビ含め 同じイセエビ下目に分類すべきではないかという話があるそうだ
小僧 おまえ素足で渚を歩いたことはあるか オレは初めて港の魚介市場に出たときそうした
魚のウロコやヒレや骨が刺さるのですぐにやめたがな おまえの師匠のチョウユに呆れられたよ
色とりどりの見たこともないエビを オレとチョウユは 片っ端から買って競うようにして食った
あの時はオレたちも若く たくさんバカもしたものだ‥
とまあ 大型エビ講座はここまでだ 本題だ 広州料理界に迫って出させたこの絶対服従の印(サイン)
オレはここに超級龍蝦三争覇(スーパー異種エビ三番勝負)を宣言する 料理(や)るぞ小僧!」
「応!」
(応ってマオおまえ‥)(またマオの"料理バカ"が始まった‥)(またマオ兄のうまい料理が食えるならなんでもいいけどよォ‥)
突如始まった超級龍蝦三争覇 これからマオとタレ仮面様の長い料理勝負が繰り広げられるのであった――
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