治療経過/本_20190310
前回のごとく治療経過と、暇に飽かせた余談を書いております。
=横這い=
一回目のアドセトリス投与が1月28日。
そこから約6週間、、、未だに2回目の投与は延期中(休薬中)です。
白血球の数値がずっと横這いのため、待つしかないという状態ですね。
幸い腫瘍マーカーの数値も落ち着いており、がん細胞の再燃(PD)は起きていない状態と思われますので、そこまで不安にはならずに待てています。
ベストな進捗具合ではないものの再燃のないまま時間が稼げているというだけで、本来喜ぶべきところなので。
また、血中の免疫抑制剤の濃度も安定しており、ステロイド剤も順調に減量が出来ております。
少し小難しい話になりますが、
私が移植を受けた姉の細胞が、私の正常な細胞を攻撃してしまい、様々な合併症等が出るのが免疫反応(GVHD反応)です。
そして、それと同時にガン細胞を攻撃してくれる効果をGVL効果と呼びます。
移植後GVHD反応が重篤に出ると命に関わる可能性があるため、免疫抑制剤やステロイド剤で免疫機能、GVHD反応を抑える=コントロールするわけですね。
今回私が入院していますのは、強く出てしまったGVHD反応をコントロールするためなわけですが。
免疫反応を強く抑えるということは、それに比例してGVL効果も抑えられることになってしまいます。
つまりはステロイド剤の減量ができる=GVL効果の増大にも期待ができるということになりますので、2回目のアドセトリス投与はお預け中ですが、そこに期待を持ちつつ白血球の数値上昇、可能ならばがん細胞の縮小を待ちたいと思っております。
まぁ、GVL効果につきましてはあるということは間違いないのですが、数値化、データ化できる類のものではないらしいので、本当に効果が出ているのか、どれほど出ているのかは確認出来ないんですけどね(苦笑)
=感染症=
この間、感染症には3回程罹っております。
移植後に最も罹りやすいサイトメガロウイルス(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/407-cmv-intro.html)というものが2回と、
MRSA(http://pro.saraya.com/fukushi/kansen/shurui-tokucho/mrsa/)というものが1回ですね。
サイトメガロウイルスはもう何回目だというくらい感染しておりますが、比較的症状も軽めに出るため自覚症状のないまま抗生剤で死滅しております。
ただMRSAの時は少々苦しめられました。。。
当日は午前中にリハビリ、入浴を行ない、午後は読書と、新規・深耕営業の手法についての調べもの等を行なっていて、至って何もなく、、、むしろ元気に過ごしていました。
夕方16;30頃に主治医と話した際にも特に体調に変化はない旨話してたのですが、
そこから1時間程度で若干の寒気を感じ、熱を計ると37.8℃。
37.5℃以上の発熱がありますと血液培養検査を行なう必要があるため看護師へ報告。
17;45には採血。
そこからグングン熱が上がり18;30には39.3℃まで上がりました。
久々の高熱でしたのと、アドセトリスの休薬中だったため一瞬『もしかしてガンの再燃か?』という考えが頭を過ぎりました(※これまでガン細胞が活発に動く際には必ず39℃代の熱発を伴っていたもので)が、わずか1時間程度で寒気が治まり、20;00頃には38.2℃まで解熱していましたので、そのまま下がるだろうと一安心しておりました。
で、確かにその後熱は下がりましたが、20;30頃から節々の痛みが始まり、21;00頃には尋常じゃない具合になりました。
両肘、腰、両膝、両足首が半端じゃなく痛い。。
とにかく痛い。。
なんと表現してよいのか未だに良い例えが浮かばないのですが、近しいのは関節の肉を棘のついたスプーンでずっと抉られている感じでしょうか。
あまりの痛みに顔の歪みが取れず、玉のような汗をかき、歯を食いしばりつつも漏れ出る声を抑えられず、終いにはベッド柵に頭を打ち付けて痛みを誤魔化そうとする始末で。。。
21;00の時点で痛み止めの点滴を落としてもらっていたのですが、いつまで経っても効いてくる気がしない。
22;00頃になっても肘のあたりの痛みが1割引いたかなーという程度。
看護師へ『効いてこない』『なにか別の薬を』と伝えようとナースコールをしても痛みで声が出ませんでしたからね(笑)
その後、当直医の先生も駆けつけてきて対処を試みてくれたはいいのですが、、、
私が移植後であることと、使用している抗がん剤、服用している薬の関係で確実に安全な痛み止めというのが限られてしまっており、その他のものを使用する場合に検査が必要だったんですね。
そしてその安全に使える痛み止めが21;00に点滴をした薬のみと。
更にその薬は間4時間経過しないと次が使えない。
結果23;00の時点で私に伝えられたのは『あと2時間我慢してください』という無慈悲な言葉。
思わず声にならない声で『・・・無理、限界』と。
そりゃそうなんですよ。
耐えられないと思ったから21;00の時点で痛みを訴えて痛み止めを入れてもらっていて、そこから2時間痛みが継続したままでいるわけです。
更に+2時間なんて聞かされても、耐えるも耐えないも思考が及ばない(笑)
ただでさえ意識も薄まってきているというのに(※今思えば意識飛んでたほうが楽だったかもしれない)
最終的にはその後2時間我慢致しまして、倍の量の痛み止めを入れ、強めの睡眠導入剤を飲み、痛みを抑えつつ眠ってしまおうということで、よく覚えてはいませんが2;00前後には眠れたようです。
いやー、本当に地獄のような約5時間でした(笑)
たかだか発熱に伴う【節々の痛み】なんですが、通常であれば大したことにならないものも、
恐らくは免疫機能の問題であそこまで酷いものになるというのは改めて恐怖だなと感じております。
ちょうど生着後100日前後での発症ですので急性GVHDの起こる時期のギリギリの範囲内であり、今後については同様の事が起こるリスクは減るかと思いますが、
慢性のGVHDが出る可能性は十分にありますし、1年以内は間違いなく普通の人より抵抗力のない(易感染性)の状態となりますので、重々注意をしていかなければなと思っております。
長い入院の中で、退院後に上記のような感染症、GVHDで緊急で病院へ舞い戻り・・・という方を実際に何人も見ていますので、自分がまたそうならないように。。。
=余談/本=
お見舞いに本を沢山頂戴しており大変ありがたいです。
読書は好きなのですが読むのが遅いので、追いついていませんが(笑)
普段自分では買わないだろうなという類のものもあり、どんなものだろうとワクワクしております。
自分で選んでばかりいますと、どうしても嗜好が偏りますのでね。
普段読むのは小説ばかりです。
以前は日経ビジネスやコールセンタージャパン等を定期購読していたり、工業新聞を取ったりした時期もありまして、今でも一通り取りたいなーとは思うんですが、重なってきますとなかなかに家計への負担がありますので(笑)
ビジネス誌等はコンビニや書店で気になった題材の時だけ購入するようになりました。
活字を読むようになったのは中学生の頃ですかね。
『左近』という島左近を主人公とした漫画が好きになり、そのままの流れで同じ作者の『影武者徳川家康』を読んだところ、こちらも面白かった。
そうなると一度原作を読んでみたくなり、隆慶一郎の執筆を粗方読んでいきました。
今ではパチンコの方がイメージ強くなってしまっておりますが(笑)、一夢庵風流記(花の慶次)等は爽快感あり、あの年頃にはちょうど良かったのでしょう。
たまに新田次郎など挟んだりしながら時代小説をちょこちょこ齧っておりましたね。
その後、中〜高校前半にかけては姉の影響でダニエル・キイスやトリイ・ヘイデンにハマり。。
『この小説好きだ』となると、その作者の書いたものを一通り読まないと気が済まなくなってしまうんですが、他の方はどうなんでしょうか。
長く執筆されている方ですと年代によって変化があったりしますが、文章のリズムが基本同じですから題材が違っても自分の好みに合うのでしょうね。
そして、ちょうど高2の教科書でしたでしょうか。
授業では取り扱わなかったものの、『棒になった男』という安倍公房の作品が載っておりまして。
大変な衝撃を受けました。
今でも一番好きな作家は?と聞かれれば安部公房と答えます。
もう価格を忘れてしまいましたが、大学時代に神保町の古本屋でデンドロカカリヤの初版本を買うかどうか3時間悩んで、気づかぬうちに友人に先に帰られた思い出が、、、(笑)
また、最期の作品となった『飛ぶ男』と未発表作品の『天使』は何年も前に購入しているものの、未だに読んでおりません。
これらを読み終わってしまうと、もう次に読む安部公房の作品が無くなってしまい、なんだか人生の中での楽しみを一つ失ってしまう気がして手がつけられずにおります(笑)
そのくらい好きなんですけれども。
もう〜、あの〜、感想とか説明とかができるものではないと思っておりますので、もし安部公房をご存知なく、更にお暇な方は一度短編集などお手に取ってみてください。
長編ではなく。
人によって好き嫌いが分かれるものと思いますので(笑)
また、比較対象として適当かどうかわかりませんが、池井戸潤の小説を一冊読むのと安部公房の小説20ページくらい読み進めるのとで同じくらい脳の労力を要する気がしますので。。
※池井戸潤も好きなので誤解の無きよう。
ちなみにいま現在の作家で好きなのは浅田次郎と荻原浩です。
新刊のチェックをするのはこの二人くらいでしょうかね。
また退院したら、書店をプラプラしながら宝探しのような感覚で新しく好きになる作家さん探しをしたいものです。
2019年3月10日 井上誠士